秘密の学園生活

Seabolt

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恭子事件  11

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 特別室に戻った私を待っていたのは、この間とは違って、機嫌が悪い九条だった。いつもなら、机に座っている状態なんだけど、何か落ち着きがない。すると、私を見つけるなり、立ち上がり近づいて。いきなり頬をつねってきた。

 「なぜ、すぐにでないんだ」

 頬をつねられている状態では、まともに声も出るはずもなく

 「しゅ・・しゅみめしぇん・・しゃぁんじょうしゃまに・・・」

 「何を言っているんだ?」

 そういいつつも、私の頬をつねっている手は放してくれない・・じわじわとい痛みが伝わってくる私の頬・・・

 「れす・・・からぁ・・しゃんじょうしゃまに・・・」

 「そうか・・・三条か・・・」

 ようやく私の頬は解放された・・・あ・・・痛かった・・と頬を撫でていると九条は、不思議なことを言い出した。

 「断られたよ・・・」

 「は?」

 「だから・・・断れたよ」

 そういうと両手を机の上について、うなだれる九条・・・こんな姿を見るとは?思ってもみなかったので驚いていると

 「なにをですか?」

 実は・・・と話し始めたのは、恭子に次回の会う約束をした時だったらしい、しかも、どこぞの遊園地を貸切るようなことまで言ったようだった。そんな金銭感覚がづれた話を聞かされて、頭を抱えるしかないんだけど、せっかく、最初の第一歩が出来たろことに、いきなり、エベレストに登るような話は、相手が引くと思うんだけど、九条は、そう思っていないようだった。

 「そんな話聞いたら引くでしょう」

 「ひくって?どういう意味だ・・」

 勘違いしていることに気付かない九条は、私に怒りの表情を打かけべている。このまま言い続ければ、また、頬をつねられることに・・・でも・・・いってあげないといけない。

 「いきなり遊園地を借りたなんて言われたら・・・当然、引きますよ」

 「なぜだ・・・二人きりになれるんだぞ!!」

 どうしてここまで自意識過剰なのだろう・・・まだ、そんな中にもなっていないだろうに・・・思わず眉を掻きながら話していた。

 「だいたい・・・恋人同士になったんですか?」

 「いや・・ちがう・・」

 「だったら・・引くでしょう・・・恋人でもない人から、遊園地借りたっていきなり言われた・・」

 「ふつう喜ばないか?」

 「全然・・まず・・・そんなこと現実にありえない・・ましてや彼女は、一般市民の特進科の生徒ですよ。そんな勉強へ集中している恭子もそんなこと言われた困惑するに決まっているわよ」

 「そんなものかな・・・」

 まだ理解できないのかこのお坊ちゃんは・・・すこしイラついている私なんだけど、どうやら、わかったようだった。しかし、この数日後、あることによって、九条は、私を再び呼び出すことに・・

 それは、定期テストで、恭子が1番を取ったことだった。しかも・・・これで2回連続だった。


  
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