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秘密の放課後
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「今日は、帰ってもいいでしょうか」
「ああ・・」
き・・・気まずい。実は、さっきまで抱きしめられていたところ、携帯が鳴ってやっと我に返った私は、九条から離れ、特別室を後にしてしまった。結局、私達は約5分ほど抱き合っていたことになる。けど、これからどうしたら・・・って、この後、何をどうやって、家までたどり着いたのか、よく覚えていない。授業に遅れて教室に戻り、先生に何かを言われたが記憶になく、じゃが終わると教室から逃げるように家に帰った。
翌日、本当は休みたいんだけど、休むことは許されない。基本的に特待生は授業に出席しないといけない。休むこと、イコール、ペナルティ、そんな雰囲気があって、結局学校へ来てしまった。そこで最初に声をかけてきたのは、敦子だった。
「和希、おはよう」
「あ・・おはよう」
「なんか元気ないわね」
「何でもないわよ」
やはり元気でない。そんなことに気付いた敦子
「ひょっとして、本命に渡せなかったの」
「そんなんじゃないわよ」
「あら・・そう・・・てっきりキス」
「げほげほげほ・・」
思わずせき込んでしまった。って、なんでそこでキスの話が出てくるのよ。
「どうしたの?」
なぜか勝ち誇ったような顔をしている。これはやばい、完全に否定をしないと
「違うわよ。昨日は九条の対応で大変で‥」
「そうよね・・確かあれは大変だわ。けど、あなた放課後は逃げたでしょう」
「う・・」
す・・鋭い放課後のチャイムが鳴った途端、特別室を飛び出した私は、そのまま家に帰ってしまった。
「それは、九条がかえっていいって・・」
「おかしいわね・・」
私の顔を怪訝そうに見る敦子の後ろから恭子の声がしてきた。
「おはよう」
「あ・・おはよう」
「和希どうしたの、あんなにあわてて帰って」
「九条様と何かあったの」
図星だ。けど、ここは否定しないと
「ち・・・違うわよ。私には私の事情があって・・」
すると二人は顔を見合わせた。
「じゃ・・あとで、報告してもらうから」
そう言い残すと、二人は私の前から去って行ったんだけど、後ろを振り向くとそこには指宿さんが立っていた。何か言いたそうだったが、ふんと言い残して目の前から消えて行った。すると、三条様が耳元にふっと息をかけてきた
「きゃ!!」
思わず悲鳴を上げると微笑む三条様の姿が、
「さ・・三条様・・・なんなんです」
「あとで聞かせてもらうわよ。さっきの続き・・・」
最悪だ・・・と思っていると携帯が鳴った。九条からだ、迷ったんだけど、私は特別室に向かった。
そこに待っていたのは、やはり九条だった。しかし、私は彼の顔をまともに見ることも出来ない。だから、気まずい雰囲気がそこに流れていた。すると九条から声をだした。
「このチョコを仕分けてくれ」
大量のチョコレートこれを仕分ける必要があるというのだ。ある程度は、仕分けてあるのだが、結構な量が残っていた。特別にお礼をしないといけない物としなくていい物があるらしい。けど、その仕訳は私にはできない。だから、ここからは九条との共同作業ということになった。そんな作業をやっていると九条は昨日のことはなかったかのように、いつも通りに行動をしている。時折、彼と手が触れドキッとしている私とは対照的に、淡々と作業をし、的確な指示をしている。こうして、作業が終わろうとした頃お茶を飲もうということになった。
今日はお茶菓子はないと思っているとフォンデショコラが残っていた。これを九条に差し出し、いつものコーヒーを淹れて、お茶にすることに、当然、私の分はないんだけど、そのことに気付いた九条、
「松本の分はどうした?」
「昨日、食べました」
そういって九条の前においてあるフォンデショコラを指さした。すると、九条は、それれを半分に割って、はいと私に渡してくれた。
「お茶菓子がないと寂しいだろ」
「ありがとうございます」
どうして?ここまで優しくなったの?昨日のこと、とは言え、ここまで昨日のことは一切触れていない。目の前では、半分になったフォンデショコラを口に入れている九条の姿があった。そして、コーヒーをすすったかと思うと、私の横にやってきた。
「松本は食べないのか」
「あ・・いえ・・」
「うまいぞ・・これ・・・」
そして、耳元と呟かれた言葉に耳まで真っ赤になってしまった。そんなことまで言われては、と思わず声を上げると
「九条・・昨日のことは」
「俺、わすれないから」
どういう意味?と聞けない、今の話を他人が聞いていると、昨日私が職場放棄をしたことを九条は、忘れねえぞと言っているように聞こえているはずなんだけど、私たちの会話の中ではその主語が違う。主語をここではいうことも出来ない。と思っていると、何故か、三条様、佐伯様、敦子、恭子が入ってきた。
「和希ちゃん。昨日、ファーストキスしたんだって?」
そんな佐伯様の一言に丁度、コーヒーを飲み込もうとしている私、コーヒーが気管に入り込み咽リかえってしまった。というより、私の横に座っていた九条がすっと私から離れて行った。
「和希、大丈夫?」
「その反応、絶対キスしたわよね」
って、恭子が珍しくはしゃいでいる。
「で?どうでしての?」
三条様まで・・ちょっと、ふと九条をチラ見したら、みんなの視線が九条に向かった。
「松本、かたずけ頼んだぞ」
そう言い残して、特別室から出て行ってしまった。
この後、4人に追及されたの言うまでもない。実は、数日前の話で海野という人物からラブレターをもらっていた話まで、飛び出して、話が収拾する気配もなかった。けど、九条とキスをしてしまったという事実は、私と九条の秘密、そして、九条がなぜあのような行動をとったのかも秘密のままだった。
「ああ・・」
き・・・気まずい。実は、さっきまで抱きしめられていたところ、携帯が鳴ってやっと我に返った私は、九条から離れ、特別室を後にしてしまった。結局、私達は約5分ほど抱き合っていたことになる。けど、これからどうしたら・・・って、この後、何をどうやって、家までたどり着いたのか、よく覚えていない。授業に遅れて教室に戻り、先生に何かを言われたが記憶になく、じゃが終わると教室から逃げるように家に帰った。
翌日、本当は休みたいんだけど、休むことは許されない。基本的に特待生は授業に出席しないといけない。休むこと、イコール、ペナルティ、そんな雰囲気があって、結局学校へ来てしまった。そこで最初に声をかけてきたのは、敦子だった。
「和希、おはよう」
「あ・・おはよう」
「なんか元気ないわね」
「何でもないわよ」
やはり元気でない。そんなことに気付いた敦子
「ひょっとして、本命に渡せなかったの」
「そんなんじゃないわよ」
「あら・・そう・・・てっきりキス」
「げほげほげほ・・」
思わずせき込んでしまった。って、なんでそこでキスの話が出てくるのよ。
「どうしたの?」
なぜか勝ち誇ったような顔をしている。これはやばい、完全に否定をしないと
「違うわよ。昨日は九条の対応で大変で‥」
「そうよね・・確かあれは大変だわ。けど、あなた放課後は逃げたでしょう」
「う・・」
す・・鋭い放課後のチャイムが鳴った途端、特別室を飛び出した私は、そのまま家に帰ってしまった。
「それは、九条がかえっていいって・・」
「おかしいわね・・」
私の顔を怪訝そうに見る敦子の後ろから恭子の声がしてきた。
「おはよう」
「あ・・おはよう」
「和希どうしたの、あんなにあわてて帰って」
「九条様と何かあったの」
図星だ。けど、ここは否定しないと
「ち・・・違うわよ。私には私の事情があって・・」
すると二人は顔を見合わせた。
「じゃ・・あとで、報告してもらうから」
そう言い残すと、二人は私の前から去って行ったんだけど、後ろを振り向くとそこには指宿さんが立っていた。何か言いたそうだったが、ふんと言い残して目の前から消えて行った。すると、三条様が耳元にふっと息をかけてきた
「きゃ!!」
思わず悲鳴を上げると微笑む三条様の姿が、
「さ・・三条様・・・なんなんです」
「あとで聞かせてもらうわよ。さっきの続き・・・」
最悪だ・・・と思っていると携帯が鳴った。九条からだ、迷ったんだけど、私は特別室に向かった。
そこに待っていたのは、やはり九条だった。しかし、私は彼の顔をまともに見ることも出来ない。だから、気まずい雰囲気がそこに流れていた。すると九条から声をだした。
「このチョコを仕分けてくれ」
大量のチョコレートこれを仕分ける必要があるというのだ。ある程度は、仕分けてあるのだが、結構な量が残っていた。特別にお礼をしないといけない物としなくていい物があるらしい。けど、その仕訳は私にはできない。だから、ここからは九条との共同作業ということになった。そんな作業をやっていると九条は昨日のことはなかったかのように、いつも通りに行動をしている。時折、彼と手が触れドキッとしている私とは対照的に、淡々と作業をし、的確な指示をしている。こうして、作業が終わろうとした頃お茶を飲もうということになった。
今日はお茶菓子はないと思っているとフォンデショコラが残っていた。これを九条に差し出し、いつものコーヒーを淹れて、お茶にすることに、当然、私の分はないんだけど、そのことに気付いた九条、
「松本の分はどうした?」
「昨日、食べました」
そういって九条の前においてあるフォンデショコラを指さした。すると、九条は、それれを半分に割って、はいと私に渡してくれた。
「お茶菓子がないと寂しいだろ」
「ありがとうございます」
どうして?ここまで優しくなったの?昨日のこと、とは言え、ここまで昨日のことは一切触れていない。目の前では、半分になったフォンデショコラを口に入れている九条の姿があった。そして、コーヒーをすすったかと思うと、私の横にやってきた。
「松本は食べないのか」
「あ・・いえ・・」
「うまいぞ・・これ・・・」
そして、耳元と呟かれた言葉に耳まで真っ赤になってしまった。そんなことまで言われては、と思わず声を上げると
「九条・・昨日のことは」
「俺、わすれないから」
どういう意味?と聞けない、今の話を他人が聞いていると、昨日私が職場放棄をしたことを九条は、忘れねえぞと言っているように聞こえているはずなんだけど、私たちの会話の中ではその主語が違う。主語をここではいうことも出来ない。と思っていると、何故か、三条様、佐伯様、敦子、恭子が入ってきた。
「和希ちゃん。昨日、ファーストキスしたんだって?」
そんな佐伯様の一言に丁度、コーヒーを飲み込もうとしている私、コーヒーが気管に入り込み咽リかえってしまった。というより、私の横に座っていた九条がすっと私から離れて行った。
「和希、大丈夫?」
「その反応、絶対キスしたわよね」
って、恭子が珍しくはしゃいでいる。
「で?どうでしての?」
三条様まで・・ちょっと、ふと九条をチラ見したら、みんなの視線が九条に向かった。
「松本、かたずけ頼んだぞ」
そう言い残して、特別室から出て行ってしまった。
この後、4人に追及されたの言うまでもない。実は、数日前の話で海野という人物からラブレターをもらっていた話まで、飛び出して、話が収拾する気配もなかった。けど、九条とキスをしてしまったという事実は、私と九条の秘密、そして、九条がなぜあのような行動をとったのかも秘密のままだった。
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