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溜息
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「わざとらしい!!今日こそ確認するわよ」
入ってきたのは、なんとバンネッサと数名のお嬢様方、本当に信じられない。というより、紫苑様がここにいること自体、やばいんだけど、しかも、紫苑様は、まだ、私を抱きしめたままなんだけど、こんな格好見られたらどうなるやら、と近づく足音にびくびくしているんだけど、紫苑様は、離れようとしない。しかも、紫苑様とは言えない。完全に緊張していると
「さわがしいわよ。あなたたち」
指宿さんの声がしてきた。すると、その横から三条様の声もしてきた。
「そうですわよ。ここは保健室よ。なにしにいらしたの?」
その声とともに足音は消え、代わりにバンネッサのさえない声が聞こえてきた。
「あ・・いや・・・」
「けがでもなさったの?」
「あ・・別に・・・」
扇子を口元に当てた三条様、その瞬間、パチリと扇子をたたむ音が響いた。向こうの様子はわからないんだけど、びくっとしているバンネッサ・・・
「おさぼりにでもいらっしゃったの?」
三条様の声が少しすごんだ。
「し・・失礼しました」
そう叫んで、がらがらピシャという音とともにバタバタと足音が保健室から遠ざかっていった。すると、紫苑様が
「三条・・・指宿・・・いつからいた」
すると、指宿さんは
「これはこれは、ごきげんよう」
「いつからだ」
「さぁ・・・これにて私たちも退散いたしましょう」
三条様の声がしたかと思うと、保健室のドアが、開いてしまったような音がした。しかし、紫苑様は、私から離れたかと思うと、カーテンを開けた。するとそこには、指宿さんと三条様がおられた。そして、三条様は
「あら・・・残念、見つかってしまいましたわね」
そういって、指宿さんをみると
「ほほほ・・・そうね・・」
そういって、ようやく保健室から出ていかれた。
「あいつら・・盗み聞ぎしやがって・・」
そうつぶやく紫苑様は振り返った。
「そういえば、大丈夫か」
「あ・・うん・・・」
そういった瞬間に、私の唇を奪ったかと思うと、軽く手を引いてくれた。そして、
「かえるぞ」
紫苑様に手を引かれ、車に乗った私、ふと外を見るとバンネッサの姿が見えた。最悪、乗り込むところを見られた。そう思っていると紫苑様の手が私の手にそっと添えられていた。凛々しいその横顔をみると凛と前を見て
「このまま、行こう」
「はい」
私は俯きながら添えられた手を見ていた。あの時のように
一年前
修学旅行での出来事、私は、紫苑様と恭子をくっつけるために奔走していた。しかし、ある出来事によって、あえなく計画は失敗に終わった。それは、自由時間、紫苑様と恭子を二人きりにさせる予定だった。
「じゃぁ・・・わたしはここで」
そう言って、二人を置いて立ち去ろうとした時だった。
「きゃ!!」
グイッとカバンを引っ張られた私は、そのまま、もの凄い勢いで引きずられた。ひったくりだった。しかも、相手はオートバイ、運が悪いことにカバンは私の手に引っかかって、外れなかったのだった、
こうしてしばらく引きずられた私は、電柱見たいなものに直撃、そのまま、記憶がない。しばらくして、目を覚ますと病院だった。しかも、紫苑様がそこにいたのだった。計画を失敗した私は、ただ、俯いて謝っていた。
「ごめんなさい・・・」
すると、その時、そっと手をそえてくれたのは紫苑様だった。
「やっと二人きりになれた」
「えっ?」
驚いて顔をあげると紫苑様が真剣な眼差しで私を見つめていた。
「で・・でも、私、失敗して・・」
「なにを」
「恭子とよ。二人きりになれるチャンスだったのに・・・ごめんなさい」
すると紫苑様は、私の両肩にてを置いて、顔を覗き込んできた。
「藤原のこと?ある日、俺は気付いたんだ。好きなのは、藤原じゃなかったと、本当に好きにな人は別にいることに」
「え?じゃぁ。私のこれまでの苦労は?」
思わず飛び出た言葉は、途中でとぎれた、それは、あまりにも紫苑様の顔が近いことに驚いたためだったんだけど、さらに、驚くことが
「お前が好きだ」
「へ?」
これ以上、言葉は出なかった。
しかし、話はこれだけではなく、旅行から帰った私を待っていたのは、軽い脳挫傷と言う診断だった。血がたまっていて、定期的に病院に行くことに、そして、徐々にその血だまりは大きくなっていっているらしい。だから、紫苑様とは、付き合えないと言ったんだけど、結婚までしてしまった。
1ヶ月、それは、医者から宣告された、手術の予定日、私は、紫苑様を信じてここまできたんだけど、このまま行こう。その言葉が私を支えてくれた。
入ってきたのは、なんとバンネッサと数名のお嬢様方、本当に信じられない。というより、紫苑様がここにいること自体、やばいんだけど、しかも、紫苑様は、まだ、私を抱きしめたままなんだけど、こんな格好見られたらどうなるやら、と近づく足音にびくびくしているんだけど、紫苑様は、離れようとしない。しかも、紫苑様とは言えない。完全に緊張していると
「さわがしいわよ。あなたたち」
指宿さんの声がしてきた。すると、その横から三条様の声もしてきた。
「そうですわよ。ここは保健室よ。なにしにいらしたの?」
その声とともに足音は消え、代わりにバンネッサのさえない声が聞こえてきた。
「あ・・いや・・・」
「けがでもなさったの?」
「あ・・別に・・・」
扇子を口元に当てた三条様、その瞬間、パチリと扇子をたたむ音が響いた。向こうの様子はわからないんだけど、びくっとしているバンネッサ・・・
「おさぼりにでもいらっしゃったの?」
三条様の声が少しすごんだ。
「し・・失礼しました」
そう叫んで、がらがらピシャという音とともにバタバタと足音が保健室から遠ざかっていった。すると、紫苑様が
「三条・・・指宿・・・いつからいた」
すると、指宿さんは
「これはこれは、ごきげんよう」
「いつからだ」
「さぁ・・・これにて私たちも退散いたしましょう」
三条様の声がしたかと思うと、保健室のドアが、開いてしまったような音がした。しかし、紫苑様は、私から離れたかと思うと、カーテンを開けた。するとそこには、指宿さんと三条様がおられた。そして、三条様は
「あら・・・残念、見つかってしまいましたわね」
そういって、指宿さんをみると
「ほほほ・・・そうね・・」
そういって、ようやく保健室から出ていかれた。
「あいつら・・盗み聞ぎしやがって・・」
そうつぶやく紫苑様は振り返った。
「そういえば、大丈夫か」
「あ・・うん・・・」
そういった瞬間に、私の唇を奪ったかと思うと、軽く手を引いてくれた。そして、
「かえるぞ」
紫苑様に手を引かれ、車に乗った私、ふと外を見るとバンネッサの姿が見えた。最悪、乗り込むところを見られた。そう思っていると紫苑様の手が私の手にそっと添えられていた。凛々しいその横顔をみると凛と前を見て
「このまま、行こう」
「はい」
私は俯きながら添えられた手を見ていた。あの時のように
一年前
修学旅行での出来事、私は、紫苑様と恭子をくっつけるために奔走していた。しかし、ある出来事によって、あえなく計画は失敗に終わった。それは、自由時間、紫苑様と恭子を二人きりにさせる予定だった。
「じゃぁ・・・わたしはここで」
そう言って、二人を置いて立ち去ろうとした時だった。
「きゃ!!」
グイッとカバンを引っ張られた私は、そのまま、もの凄い勢いで引きずられた。ひったくりだった。しかも、相手はオートバイ、運が悪いことにカバンは私の手に引っかかって、外れなかったのだった、
こうしてしばらく引きずられた私は、電柱見たいなものに直撃、そのまま、記憶がない。しばらくして、目を覚ますと病院だった。しかも、紫苑様がそこにいたのだった。計画を失敗した私は、ただ、俯いて謝っていた。
「ごめんなさい・・・」
すると、その時、そっと手をそえてくれたのは紫苑様だった。
「やっと二人きりになれた」
「えっ?」
驚いて顔をあげると紫苑様が真剣な眼差しで私を見つめていた。
「で・・でも、私、失敗して・・」
「なにを」
「恭子とよ。二人きりになれるチャンスだったのに・・・ごめんなさい」
すると紫苑様は、私の両肩にてを置いて、顔を覗き込んできた。
「藤原のこと?ある日、俺は気付いたんだ。好きなのは、藤原じゃなかったと、本当に好きにな人は別にいることに」
「え?じゃぁ。私のこれまでの苦労は?」
思わず飛び出た言葉は、途中でとぎれた、それは、あまりにも紫苑様の顔が近いことに驚いたためだったんだけど、さらに、驚くことが
「お前が好きだ」
「へ?」
これ以上、言葉は出なかった。
しかし、話はこれだけではなく、旅行から帰った私を待っていたのは、軽い脳挫傷と言う診断だった。血がたまっていて、定期的に病院に行くことに、そして、徐々にその血だまりは大きくなっていっているらしい。だから、紫苑様とは、付き合えないと言ったんだけど、結婚までしてしまった。
1ヶ月、それは、医者から宣告された、手術の予定日、私は、紫苑様を信じてここまできたんだけど、このまま行こう。その言葉が私を支えてくれた。
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