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46 外にあるもの(1)
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一人、離れで過ごすようになってから、2年の月日が流れた。
相変わらず、魔術の研究だけを行なって過ごした。
金色に輝く髪も、切ることもなく伸び放題で、背中まで伸びた髪を雑に纏めただけにしていた。
コンコン。
ある朝、朝食が乗ったワゴンを運んできたメイドが、食事のこと以外で口を聞いた。
「こちら、お手紙になります」
「…………」
無言で受け取る。
ここに運ばれる手紙には、嫌な思い出しかない。
メイドが出ていってしまってから、晴れた窓辺のテーブルにセットされた朝食の前に、いかにも面倒だという体で座る。
オレンジジュース。
サンドイッチ。
果物。
……朝からのサンドイッチは、喉が詰まるから嫌だな。
それでも、黙々と食事をつつく。
その合間に、パンだらけの手で、手紙の封を開けた。
中を開けると、随分と達筆な文字で、『大魔術師マルー』と書いてある。
「…………?」
何となしに開けた封の印章を、もう一度よく見た。
確かにそれは、魔術師の塔から送られた手紙であるらしかった。
手紙を見直す。
それを書いたのは、どうやら大魔術師マルーで、手紙には、シエロに会いたいと書いてあった。
大魔術師といえば、精霊とも交信があるとも噂される、この国切っての魔術師じゃないか。
なんでそんな人間が、僕に用事があるっていうんだ。
こんな……、引きこもりの。
不可解だったけれど、このまま魔術師を目指すならば、無視するわけにはいかない。
塔から……、それもこの国一番の大魔術師からの手紙を無視すれば、今後魔術師への道は閉ざされるかもしれない。
何と言っても、シエロには魔術しか生きる道が無いのだから。
走り書きのような返事を書き、それから、メイドが朝食の片付けに来たのを見計らって、声をかけた。
「セイス」
「はい」
朝食の皿を片付けていたメイドが、くるりと静かに振り返る。
「これを、塔に届けて。大魔術師が来るらしいから、来客の準備を」
そう言うと、メイドが一瞬キョトンとした顔をしたあと、「分かりました」とすんなり言って、手紙を受け取った。
その日の午後、大魔術師はすでに、シエロの目の前に居た。
「…………」
本当に、大魔術師だ。
目の前の大魔術師は、いかにもなとんがり帽子を被り、古木でできたような細い杖を手に持っていた。
「コホン」
これ見よがしに咳払いを一つして、大魔術師は話を始めた。
「お前さんは、優秀な魔術師だと聞く」
……こんな引きこもりが?
シエロはその言葉を否定したかったけれど、わざわざそれを言葉にすることはしなかった。
「それでな、ワシの、弟子になって欲しいと思っているのじゃ」
「はぇ…………?」
変な声が出てしまう。
弟子。
大魔術師は、なかなか弟子を取らないことで有名だった、らしい。
それをシエロが知ったのは、大魔術師が初めての弟子を取ったと話題になったその時だ。
この国の王太子と、その側近を弟子にした、その時。
それまで弟子を取ったことがなかったとは……。
「突然な話だとは理解している。まず、塔を見るだけでも、どうかな?」
確かに、この申し入れを受けてしまうと、今までと同じ生活はできなくなる。
魔術師の師弟関係は、一緒に住んでいる事も多い。
けれど、シエロにとってそれが、またとないこの家を出る好機だった。
◇◇◇◇◇
さてさて、シエロくんの過去話続きます。
とうとうおじいちゃんが出てきましたね!
ここから少しずつ明るくなってくるかな?
相変わらず、魔術の研究だけを行なって過ごした。
金色に輝く髪も、切ることもなく伸び放題で、背中まで伸びた髪を雑に纏めただけにしていた。
コンコン。
ある朝、朝食が乗ったワゴンを運んできたメイドが、食事のこと以外で口を聞いた。
「こちら、お手紙になります」
「…………」
無言で受け取る。
ここに運ばれる手紙には、嫌な思い出しかない。
メイドが出ていってしまってから、晴れた窓辺のテーブルにセットされた朝食の前に、いかにも面倒だという体で座る。
オレンジジュース。
サンドイッチ。
果物。
……朝からのサンドイッチは、喉が詰まるから嫌だな。
それでも、黙々と食事をつつく。
その合間に、パンだらけの手で、手紙の封を開けた。
中を開けると、随分と達筆な文字で、『大魔術師マルー』と書いてある。
「…………?」
何となしに開けた封の印章を、もう一度よく見た。
確かにそれは、魔術師の塔から送られた手紙であるらしかった。
手紙を見直す。
それを書いたのは、どうやら大魔術師マルーで、手紙には、シエロに会いたいと書いてあった。
大魔術師といえば、精霊とも交信があるとも噂される、この国切っての魔術師じゃないか。
なんでそんな人間が、僕に用事があるっていうんだ。
こんな……、引きこもりの。
不可解だったけれど、このまま魔術師を目指すならば、無視するわけにはいかない。
塔から……、それもこの国一番の大魔術師からの手紙を無視すれば、今後魔術師への道は閉ざされるかもしれない。
何と言っても、シエロには魔術しか生きる道が無いのだから。
走り書きのような返事を書き、それから、メイドが朝食の片付けに来たのを見計らって、声をかけた。
「セイス」
「はい」
朝食の皿を片付けていたメイドが、くるりと静かに振り返る。
「これを、塔に届けて。大魔術師が来るらしいから、来客の準備を」
そう言うと、メイドが一瞬キョトンとした顔をしたあと、「分かりました」とすんなり言って、手紙を受け取った。
その日の午後、大魔術師はすでに、シエロの目の前に居た。
「…………」
本当に、大魔術師だ。
目の前の大魔術師は、いかにもなとんがり帽子を被り、古木でできたような細い杖を手に持っていた。
「コホン」
これ見よがしに咳払いを一つして、大魔術師は話を始めた。
「お前さんは、優秀な魔術師だと聞く」
……こんな引きこもりが?
シエロはその言葉を否定したかったけれど、わざわざそれを言葉にすることはしなかった。
「それでな、ワシの、弟子になって欲しいと思っているのじゃ」
「はぇ…………?」
変な声が出てしまう。
弟子。
大魔術師は、なかなか弟子を取らないことで有名だった、らしい。
それをシエロが知ったのは、大魔術師が初めての弟子を取ったと話題になったその時だ。
この国の王太子と、その側近を弟子にした、その時。
それまで弟子を取ったことがなかったとは……。
「突然な話だとは理解している。まず、塔を見るだけでも、どうかな?」
確かに、この申し入れを受けてしまうと、今までと同じ生活はできなくなる。
魔術師の師弟関係は、一緒に住んでいる事も多い。
けれど、シエロにとってそれが、またとないこの家を出る好機だった。
◇◇◇◇◇
さてさて、シエロくんの過去話続きます。
とうとうおじいちゃんが出てきましたね!
ここから少しずつ明るくなってくるかな?
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