DEEP BLUE OCEAN

鼓太朗

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第二章 雨上がりの海

クマノミ王国

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6月最後の日曜日。
前日までの大雨の影響から、キャンセルが相次いだ。
天気は持ち直してカラッとした快晴だが、海の中はうねりが多少入っていて、初心者には心配だからちょうどよかったかもしれない。
アルバイトのガイドも何人か頼んでいたが、結局潮音の高校時代の友人の隆司たかしを潮音のアシスタントとしてつけた以外は断った。

結局午前中は海人と潮音と隆司の3人で雨なんて何のそのとやって来た京都のダイビングサークルの大学生18人とそのサークルのOBという30代男性と彼が誘ったという会社仲間の5人組を連れて1本。
午後からは潮音が大学生たちの中でも上級生たち7人を連れて外海へ。洋平がOBの男性たちと残りのメンバー、さらに午後からのお客も3人加わって総勢19人について自らガイドをすることになった(洋平のガイドはとても珍しいので小さく歓声があがった)。
普通19人を1人で見るのは大変だが、OBの先輩グループと午後からの3人は各々で潜るので、実質ガイドをするのは大学生の11人だ。中にはかなりの本数を潜っている者もいるので、隆司は予定通り潮音と一緒に外洋に向かうことになった。
先輩たちは口を揃えて「えぇなぁ、洋平さんのガイドなんて1年に何回も当たらへんでぇ。」と言っていた。
本当はそんなことはないけれど…。

海人は、昼前に到着した和歌山市街地に住む父親と中学生の兄弟の3人についた。
お客が多いときなら今日の海の状態は少し心配だが、3人だけなら海人の目が届くので問題はないだろう。

船は先日の明日香を乗せたときよりもかなり揺れた。
船に乗る前のブリーフィングで酔う可能性があるので出来るだけ遠くを見ること、船の後ろの方に座ることは伝えていたが、やはり弟の幸助こうすけは少し酔ってしまったようだ。
気分が悪そうに青い顔をしている。
海に潜るのは確か3回目。
海人がダイビングを始めたのが中3の時なので、幸助たちを見るとなんだか親近感が湧く。

今回のポイントは「クマノミ王国」。
名前の通り、クマノミとクマノミの棲むイソギンチャクがたくさんいるポイントだ。
少し前に映画になってカクレクマノミはかなり有名になった。
カクレクマノミは沖縄などの熱帯の海にしか棲んでいないが、カクレクマノミの仲間であるクマノミの方ははここでもたくさん見ることができる。
横(頭から尻尾にかけて延びる模様)の白い線が3本あるのがカクレクマノミ、2本あるのががオーソドックスなクマノミ。
子どもたちには可愛らしく、すぐに見つけられて紹介もしやすい。
さらにこの時期は他の魚たちと同じように産卵、子育ての時期だ。
海人の狙いは銀色に輝くクマノミの卵を彼らに見せること。
もしかしたら爪の先程の子魚に会えるかもしれない。
海人は少し酔った幸助と兄の亮助りょうすけの手をしっかり握って潜行した。
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