DEEP BLUE OCEAN

鼓太朗

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第四章 初めての海へ

マスククリア・レギュレーターリカバリー

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何事にも最初というものはある。
海人にだって初めての海はあった。

海人の店には本当に様々な客が訪れる。
多くが純粋に海を楽しむ「ファンダイブ」と呼ばれるダイビングスタイルの客だが、中には「トレーニングダイブ」というライセンスを取得するためのダイブに来る客がいる。
そのほとんどが、和歌山市内や大阪などの他府県のダイビングショップが主催するライセンス取得ツアーだが、ごく稀に直接DEEP BLUEにアポイントを取ってライセンスを取得しに来る客がいる。
今日の海人はそんな珍しいお客様の対応だ。

岡本憲章おかもとけんしょう
和歌山出身で大阪の大学に通う学生だ。
彫りの深い顔立ちで男前。
ガッチリとしたスポーツマンタイプの男の子だ。
髪は黒髪・短髪だが、なんでもない仕草や物言いから今時の子という感じがする。
それでも海人の店に単身でやって来るのだから根は真面目な性格なのだろう。
午前中な学科講習も熱心にメモを取り、真剣な表情で海人の説明を聴いて(見て)いた。

午後からは海洋実習。
DEEP BLUE前のビーチが、憲章の海デビューの地だ。
海水浴場ではないので真っ白の砂浜、とはいかないが、船着き場の北側は広目のビーチになっていて、地元の小学生たちはよく遊びに来る。
海人も小学生くらいの時はよく洋平と洋平の友達(とんでもない悪ガキ軍団)と遊んだものだ。
夏の間は潮音とその仲間たち(更なるとんでもない悪ガキ軍団)がライフセーバーのトレーニングに使っているので、彼らがいるときは子どもだけで遊びに行っても良いというのがご近所のママたちの共通認識だ。


海人と憲章は機材を装着し、水面で呼吸法や器材の簡単な操作法を説明していざ初めての世界へ!

DEEP BLUE前ビーチは水深5~8mほどの浅い海だ。
地形はゴロタ(波にかどが削られた丸い石)が広がっている。
周りにはコモンフグやソラスズメダイなどの小魚がたくさん見ることができて初心者にも楽しめる海だ。
少し進むと開けた砂地があり、二人はそこで膝立ちになる(初心者は意外とこの膝立ちもバランスをとるのが結構大変だ)。
マスククリア(水中マスクに水が入った時の対処法)やレギュレーターリカバリー(呼吸源を水中ではずしてみてまたつける)など、緊急時の対処法をトレーニングする。
ダイビング中にマスクに水が入ったり、レギュレーターが突如はずれたりすると多少なりともパニックになる。
ただ、複数で潜っていると他のダイバーと接触したりフィンに蹴られたりしてマスクの中に水が入ったり、レギュレーターが外れたりすることもある。
そのときの対処法を落ち着いて学ぶのが最初の第一歩だ。

マスクの上から故意に海水を少し入れる。
半分くらい海水が入ると鼻が濡れてかなり気持ち悪い。
そんなときはマスクの上に手を添えて鼻息で下から水を押し出す。
水がなくなればマスククリア完了だ。

レギュレーターも水中ではずすのはかなり抵抗があるが、自分のペースではずしてみる。
そして再びレギュレーターをくわえて息で中に入った海水を押し出せばリカバリー完了。
もし息が無いときのためにファージボタンというボタンがレギュレーターにはついている。
そのボタンを押すとオートで水が抜ける仕組みになっている。

憲章は基礎体力が高いので難なくこなし、どうだ!という目で海人を見る。
なかなか筋が良いようだ。
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