GO TO THE FRONTIER

鼓太朗

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第八章 虫と獣の戦争

若き殺し屋

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「ウィン!」
ポックはトボトボ歩くウィンに追い付いた。
「行こうぜ!」
ポックはウィンをまっすぐに見た。
「お前、このまま嘘つきみたいに思われて終わりたくないだろ?」
ため息混じりにそう言うと、ウィンは涙目で訴えた。
「俺、嘘つきなんかじゃない!」
彼なりの必死な訴えだ。
嘘をついているとも思えない。
「とりあえず現場に連れてってくれる?」
ポックはそう言うとウィンと並ぶように歩き始める。
「デッドマンティスって言う巨大なカマキリのモンスターが話してたんだ。もうすぐヴェスパナイトの孵化が始まる。そうすればあの忌まわしい獣どもを無きものにする計画がいよいよ動き始めって」
「ヴェスパナイトって?」
ポックは聞き返す。
「大っきいスズメバチのモンスターのことだよ。巨大な槍と毒針で攻撃してくる凶悪なモンスターだって聞いてる。そいつらが巨大な巣を作っていて、そのさなぎがもうすぐ孵るんだ」
それが本当ならかなり緊急事態だ。
「きっとあいつら、大挙をなして俺たちの住み処に押し寄せてくる。そうしたら間違いなく戦争が始まる。きっと俺たちのことを殺して回る。どうしよう!?」
「どうしようって…戦うしか…ないよな?」
ポックはそう言ったが特に名案があるわけではない。
相手が団体で来るならこちらも協力しあって立ち向かわなければ勝ち目はないし被害は甚大だろう。
その時、草むらの中から黒い影が飛び出し、ポックたちの前に立ちはだかった。

!!!

ポックは唖然とする。目の前にはまさに今、話題になっていた若き殺し屋、孵化してそれほど間もないヴェスパナイトが姿を現したのだ。
日の光に反射する黄色と黒の縞模様。
自然物か?と思うようなカラーリングは自分は危険な存在だと暗に誇示している。
体は鋼鉄のごとき防御力を誇り、手にした長い槍と鋭い毒針がのほほんとした晴れた空に不釣り合いなくらい不気味に光る。
赤い複眼はポックたちを鋭く突き刺すようににらみ、動きには寸分の隙もない。
ヴェスパナイトは無言で槍を構えるとこちらに激しいは羽音をたてて突っ込んできた。
すくい上げるように槍を振り回すと、ホックもウィンもマーフィーもぶっ飛んだ。
「うわぁ!」
槍で切り刻まれるのはごめんなのでなんとか体を振ってかわしたが、風圧だけで背後に吹き飛ばされる。
とっさにポックが思念波を発し、マーフィーが石つぶてを放ったが、ヴェスパナイトは何の効果もなく槍をひとふるいすると飛んでいった小石を軽くいなした。
槍の柄でポックの脇腹を突くと素早く柄で空へと放り投げた。
「ぐぇ!」
ポックは変な声をあげてもんどりうった。
息が止まるかと思う。
意識が遠退きそうな位の痛みがポックを襲った。
それでも持てる精神力を振り絞り、続けて繰り出される槍の攻撃をすんでのところで転がりかわす。
危うく切り身にされるところだ。
「刺身にされるわけにはいかないからな!」
ポックはコロコロ転がるようヴェスパナイトの攻撃をかわしながら必死に思案し続けた。
レオンに思念波を送って手元に呼び寄せてもらうことも考えたが、ポックとマーフィーは助かったとしてもウィンが取り残されてしまう。
それはどう考えてもできない。
でも…。
力の差は明らかで倒すことができるとも思えない。
相手は虫族最凶の戦士だ。
生まれながらの殺人機械のようなモンスターに万にひとつも勝ち目はない。
どうする?
そう思っている間にもヴェスパナイトの攻撃は続いている。
ポックにロックオンしているように執拗に槍を振り回すヴェスパナイト。
残像しかないようなすばやい槍の動きをかわすだけで精一杯だった。
「やめろー!」
その時、果敢にもウィンがヴェスパナイトに飛びかかった。
ありったけの勇気を振り絞ってウィンは半ば体当たりでヴェスパナイトに飛び付いたのだ。
場所はヴェスパナイトの腰の辺り。
一番細くなっている場所にとりついたウィン。
彼の本能がヴェスパナイトの急所に攻撃を仕掛けた。
しかし、彼の鋭い牙もヴェスパナイトの鋼鉄のようなボディーを噛みちぎることはおろか傷すらつけることもできず、ヴェスパナイトが鬱陶しそうに腰を振るうと、ウィンは無下もなく振り落とされた。
おまけに転がった場所に無惨にも槍を振り下ろす。
「危ない!」
ポックがそう思ったまさにその瞬間。
とんでもない速度でヴェスパナイトの複眼に赤い塊が投げつけられた。
思わず手を止めるヴェスパナイト。
何やら赤い果実がトマトのようにベチョッとヴェスパナイトにへばりついた。
粘りけのある果実のようで、たまらず手を止めるヴェスパナイトは、身体をくねらせて赤い塊を落とそうと身もだえした。
ポックは思わず物体の飛んできた方を見た。
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