GO TO THE FRONTIER

鼓太朗

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第八章 虫と獣の戦争

狼少年からのSOS 後編

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デッドマンティスたちはヒソヒソと話している。
「テレーヌ大帝の話、本気かな?」
片方のデッドマンティスは川の水を拭うとそう言った。
「まぁ遅かれ早かれその時はくるんだろう。いつまでもあいつらにでかい顔はさせてらんねーしよ!」
もう片方がそう言って返す。
ウィンは息を潜めて聞いている。
あいつらとは確実に自分達のことだろう。
いったい何があるんだろう?
ウィンは更に聞き耳をたてる。
二人の会話は続いた。
「もうすぐヴェスパナイトの孵化が始まる。そうすればあの忌まわしい獣どもを無きものにする計画がいよいよ動き始めるんだ。我らマンティスナイトも大帝様に付き従って戦いに馳せ参じることになる。用意はしておくべきだな」
「もともとヴィスパ族とは敵対関係にあったが、ここは共通の敵を撃つために致し方がない。ヴェスパ族のやつらにでかい顔をされるのは癪だが、これも獣たちを無き者にしてこの島の統一のためだ」
「そうだな。そのあとの領地の分配はすべてが終わってから。必要あらば力ずくでいけばいい」
「我らマンティス族にいよいよ日の目を見る時が来る。考えるだけでワクワクするな」
二人はそう言うとまた羽を広げて飛び去った。
「これはヤバイんじゃないか?」
辺りに誰もいないことを注意深く確認したウィンは草むらから飛び出すと暫しの間思案した。
どうする?
このままでは獣族が危機に瀕する。
「これは王子さまの出番だろ!」
ニヤリと笑うウィンは力強く地面を蹴ると、獣たちの集落の中央、父であるウェライのもとに急いだ。

*****

「虫たちが来るぞ~!!!」
大きな声でそう叫びながら獣たちの居住区を走り抜けるウィン。
大人たちはそんなウィンをなんとも冷ややかな目線で追った。
誰も彼の言うことを信じてはいなかった。
実は数日前もそう言って回ってプチパニックになったばかりだった。
しかし実際にそんなことはなく、ウィンへの不信感だけが募る結果となった。
今度のことも「またはじまったよ…」という視線で呆れたようにため息をつくだけ。
誰もウィンの言うことを信じていなかった。
「父さん!」
ウィンは半ば涙目で訴える。
しかしウェライの反応も似たようなものだった。
ため息をつくとウィンに少し強い口調で言った。
「お前はまたそんなことを言って周りを振り回すのか? 前だってそうだった。こんなことが続けば誰もお前のことを信じなくなるんだぞ?」
冷たい口調にウィンはただただうちひしがれた。
「だって父さん!」
更に食い下がるウィン。
「もう聞きたくない。まだ俺を失望させたりないのか?」
にべもない物言いにしょんぼりと尻尾を丸めるウィン。
すごすごと引き下がるしかなかった。

その様子を物陰から見ている者たち。
ポックとマーフィーだ。
「どう思う? いまの話」
ポックはマーフィーに問いかける。
「話の筋は通ってるけど、あいつには前科があるからねー」
そう言うとどうしたもんかと思案を始める。
ただ、「行こう」とポックを引っ張るマーフィーの目はいつもより強い光があった。
何か考えがあるのだろうか?
マーフィーは森の中へと走っていった。
「おーい! マーフィー! 一人で森に入ったら危ないって!」
ポックが止めるのも聞かず、マーフィーはウェライの前からしょんぼりと引き下がったウィンを追いかけてかけた。
「ったく! どいつもこいつも!」
ポックはまたため息をつくとマーフィーを追いかけた。
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