27 / 50
第八章 虫と獣の戦争
狼少年からのSOS 後編
しおりを挟む
デッドマンティスたちはヒソヒソと話している。
「テレーヌ大帝の話、本気かな?」
片方のデッドマンティスは川の水を拭うとそう言った。
「まぁ遅かれ早かれその時はくるんだろう。いつまでもあいつらにでかい顔はさせてらんねーしよ!」
もう片方がそう言って返す。
ウィンは息を潜めて聞いている。
あいつらとは確実に自分達のことだろう。
いったい何があるんだろう?
ウィンは更に聞き耳をたてる。
二人の会話は続いた。
「もうすぐヴェスパナイトの孵化が始まる。そうすればあの忌まわしい獣どもを無きものにする計画がいよいよ動き始めるんだ。我らマンティスナイトも大帝様に付き従って戦いに馳せ参じることになる。用意はしておくべきだな」
「もともとヴィスパ族とは敵対関係にあったが、ここは共通の敵を撃つために致し方がない。ヴェスパ族のやつらにでかい顔をされるのは癪だが、これも獣たちを無き者にしてこの島の統一のためだ」
「そうだな。そのあとの領地の分配はすべてが終わってから。必要あらば力ずくでいけばいい」
「我らマンティス族にいよいよ日の目を見る時が来る。考えるだけでワクワクするな」
二人はそう言うとまた羽を広げて飛び去った。
「これはヤバイんじゃないか?」
辺りに誰もいないことを注意深く確認したウィンは草むらから飛び出すと暫しの間思案した。
どうする?
このままでは獣族が危機に瀕する。
「これは王子さまの出番だろ!」
ニヤリと笑うウィンは力強く地面を蹴ると、獣たちの集落の中央、父であるウェライのもとに急いだ。
*****
「虫たちが来るぞ~!!!」
大きな声でそう叫びながら獣たちの居住区を走り抜けるウィン。
大人たちはそんなウィンをなんとも冷ややかな目線で追った。
誰も彼の言うことを信じてはいなかった。
実は数日前もそう言って回ってプチパニックになったばかりだった。
しかし実際にそんなことはなく、ウィンへの不信感だけが募る結果となった。
今度のことも「またはじまったよ…」という視線で呆れたようにため息をつくだけ。
誰もウィンの言うことを信じていなかった。
「父さん!」
ウィンは半ば涙目で訴える。
しかしウェライの反応も似たようなものだった。
ため息をつくとウィンに少し強い口調で言った。
「お前はまたそんなことを言って周りを振り回すのか? 前だってそうだった。こんなことが続けば誰もお前のことを信じなくなるんだぞ?」
冷たい口調にウィンはただただうちひしがれた。
「だって父さん!」
更に食い下がるウィン。
「もう聞きたくない。まだ俺を失望させたりないのか?」
にべもない物言いにしょんぼりと尻尾を丸めるウィン。
すごすごと引き下がるしかなかった。
その様子を物陰から見ている者たち。
ポックとマーフィーだ。
「どう思う? いまの話」
ポックはマーフィーに問いかける。
「話の筋は通ってるけど、あいつには前科があるからねー」
そう言うとどうしたもんかと思案を始める。
ただ、「行こう」とポックを引っ張るマーフィーの目はいつもより強い光があった。
何か考えがあるのだろうか?
マーフィーは森の中へと走っていった。
「おーい! マーフィー! 一人で森に入ったら危ないって!」
ポックが止めるのも聞かず、マーフィーはウェライの前からしょんぼりと引き下がったウィンを追いかけてかけた。
「ったく! どいつもこいつも!」
ポックはまたため息をつくとマーフィーを追いかけた。
「テレーヌ大帝の話、本気かな?」
片方のデッドマンティスは川の水を拭うとそう言った。
「まぁ遅かれ早かれその時はくるんだろう。いつまでもあいつらにでかい顔はさせてらんねーしよ!」
もう片方がそう言って返す。
ウィンは息を潜めて聞いている。
あいつらとは確実に自分達のことだろう。
いったい何があるんだろう?
ウィンは更に聞き耳をたてる。
二人の会話は続いた。
「もうすぐヴェスパナイトの孵化が始まる。そうすればあの忌まわしい獣どもを無きものにする計画がいよいよ動き始めるんだ。我らマンティスナイトも大帝様に付き従って戦いに馳せ参じることになる。用意はしておくべきだな」
「もともとヴィスパ族とは敵対関係にあったが、ここは共通の敵を撃つために致し方がない。ヴェスパ族のやつらにでかい顔をされるのは癪だが、これも獣たちを無き者にしてこの島の統一のためだ」
「そうだな。そのあとの領地の分配はすべてが終わってから。必要あらば力ずくでいけばいい」
「我らマンティス族にいよいよ日の目を見る時が来る。考えるだけでワクワクするな」
二人はそう言うとまた羽を広げて飛び去った。
「これはヤバイんじゃないか?」
辺りに誰もいないことを注意深く確認したウィンは草むらから飛び出すと暫しの間思案した。
どうする?
このままでは獣族が危機に瀕する。
「これは王子さまの出番だろ!」
ニヤリと笑うウィンは力強く地面を蹴ると、獣たちの集落の中央、父であるウェライのもとに急いだ。
*****
「虫たちが来るぞ~!!!」
大きな声でそう叫びながら獣たちの居住区を走り抜けるウィン。
大人たちはそんなウィンをなんとも冷ややかな目線で追った。
誰も彼の言うことを信じてはいなかった。
実は数日前もそう言って回ってプチパニックになったばかりだった。
しかし実際にそんなことはなく、ウィンへの不信感だけが募る結果となった。
今度のことも「またはじまったよ…」という視線で呆れたようにため息をつくだけ。
誰もウィンの言うことを信じていなかった。
「父さん!」
ウィンは半ば涙目で訴える。
しかしウェライの反応も似たようなものだった。
ため息をつくとウィンに少し強い口調で言った。
「お前はまたそんなことを言って周りを振り回すのか? 前だってそうだった。こんなことが続けば誰もお前のことを信じなくなるんだぞ?」
冷たい口調にウィンはただただうちひしがれた。
「だって父さん!」
更に食い下がるウィン。
「もう聞きたくない。まだ俺を失望させたりないのか?」
にべもない物言いにしょんぼりと尻尾を丸めるウィン。
すごすごと引き下がるしかなかった。
その様子を物陰から見ている者たち。
ポックとマーフィーだ。
「どう思う? いまの話」
ポックはマーフィーに問いかける。
「話の筋は通ってるけど、あいつには前科があるからねー」
そう言うとどうしたもんかと思案を始める。
ただ、「行こう」とポックを引っ張るマーフィーの目はいつもより強い光があった。
何か考えがあるのだろうか?
マーフィーは森の中へと走っていった。
「おーい! マーフィー! 一人で森に入ったら危ないって!」
ポックが止めるのも聞かず、マーフィーはウェライの前からしょんぼりと引き下がったウィンを追いかけてかけた。
「ったく! どいつもこいつも!」
ポックはまたため息をつくとマーフィーを追いかけた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる