スパンキング短編集

紅臀堂律

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ある生徒の仮病の話(M/f、平手、パドル、教育的指導)

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この世界では、病気や怪我をしている者、あまりに年少の子どもや高齢すぎる人には決してスパンキングは科されない。
安全を守るための一般常識であり、誰もが幼い頃から教え込まれてきた決まりごとだった。

だからこそ――その隙を突いて「仮病」でお仕置きを逃れようとする者が、ときおり出る。

 ***

その朝。
教室の点呼のあと一人の女子生徒が恐る恐る手を上げた。
彼女は度重なる宿題忘れで今日の放課後にお仕置きが決まってしまった生徒だった。

「せ、先生……あの……きょ、今日ちょっと熱があって……」
「ほう? じゃあ体温を測ってみるか」

にこやかに言った先生が体温計を取り出す。生徒は最初はやんわりと抵抗してたが、観念して測らされた結果は、当然のごとく平熱。
一瞬で嘘は露見した。

「……お前なあ。病気を理由にすれば放課後叩かれないって、知っててやったな?」
「ち、違っ……!」
「言い訳はいい。仮病で罰を逃げようとしたら、余計に叱られるってわかってただろ」

先生の声は怒鳴りではない。
だが低く、重みのある響きに、その生徒もクラス全体もシンと静まり返った。

「……来い」

呼ばれて、生徒は教壇横に進み出る。
その場で椅子に腰を下ろした先生は、自分の膝を軽く叩いた。

「ここにうつ伏せだ。……みんな、よく見とけ。嘘で罰を逃げようとするとどうなるか、な」

頬を赤くして「やだ……」とつぶやく間もなく、先生に手を取られ、生徒はあっさり膝に横たえられた。
制服のスカートがめくられ、下着に包まれたお尻が晒され、クラス中の視線が刺さり、羞恥に震える。

 パンッ! パンッ!

乾いた音が響くたび、生徒の身体がビクリと跳ねた。
先生の平手は容赦なく、しかし乱暴ではなく、確実に効かせる叩き方だった。

「いっ……! あぁ、ごめんなさい! ごめんなさい先生っ!」
「謝って済むなら嘘なんかつくな。……これで懲りろよ」

約三分間たっぷりと叩かれて下着越しでもわかるくらいにお尻を真っ赤にされてようやく解放され、涙目のまま席に戻った。
クラスメイトたちは誰一人として笑わなかった。ただ(あいつ馬鹿だな~)という呆れという空気が広がっていた。

 ***

その日の放課後。
再び呼び出された生徒は、準備された台の前に立っていた。

「さて。本来のお仕置きがまだ残ってるな」
「……はい」

今度は仮病の罰ではなく、宿題を忘れたことへの正規のお仕置きだ。
生徒は覚悟を決めてスカートを捲り、自ら台にうつ伏せになった。
そして先生が今度は下着を下ろすと朝のお仕置きの赤みはすっかりとなくなった白いお尻があわらになる。

「じゃあ規定通りに手で50回とパドル20回だ……始めるぞ」

 パンッ! パンッ! パンッ!

まずは平手五十回。
再びお尻が徐々に真っ赤に染まっていきさらに熱を帯びていく。
声を殺そうとしても、最後の方ではどうしても涙声になり、鼻をすする音が教室に響いた。

「……次はパドル二十回だ。動くなよ」

 バシッ! バシッ! バシッ! 

学校指定の木製パドルが振り下ろされるたび、鈍く重い痛みが尻肉に食い込み、流石に生徒は悲鳴を上げて机を握りしめた。

「ひぃっ! いったぁぁ……! も、もうしませんっ!」
「当然だ。宿題忘れもそうだが、もう二度と仮病なんて考えるな」

二十回叩き終える頃には、生徒は真っ赤に腫れたお尻を晒しながら涙と汗でぐったりしていた。

「……よし、終わりだ」

先生がパドルを置き、深く息をついた。
生徒は下着を直しながら、俯いたまま「……ごめんなさい」と呟く。

すると先生は、柔らかな声で言った。

「罰は終わった。これ以上引きずるな。お前が今日学んだのは『嘘は自分をもっと苦しめる』ってことだ。それを忘れなきゃいい」

その言葉に、生徒の胸が熱くなる。怒鳴られたり憎まれたりしているのではなく、きちんと導かれているとわかったからだ。

「……はい。もう、絶対にしません……」
「よし。それでいい」

優しくも揺るぎない声音に、女子生徒は心から「信じてついていける先生だ」と思った。

 ***

廊下に出ると、友達が待っていてくれた。
「もう……仮病でお仕置き逃げたりしない……」と涙ながらに言うと、友達は呆れ顔でひとこと。

「いや当たり前でしょ……」

それでも隣を歩いてくれる友達の存在に、生徒は小さく笑った。
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