スパンキング短編集

紅臀堂律

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ある歴史の話(M/f、鞭、平手、歴史、妄想でのお仕置き)

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帰宅後制服のまま椅子に座った彼女は、ノートパソコンに映る学術的なサイトを食い入るように見つめていた。
検索窓には「スパンキング 奴隷 制度 歴史」……彼女今日の授業で耳にした言葉であり、それが頭から離れなかったのだ。

『スパンキングは我々が人類が生まれてから愛情や秩序のために行われてきました。……しかし残念ながら神話から続くこの行為にも負の歴史も多くあります。最も近年では例えば奴隷制度の時代に、男性の奴隷は畑仕事や鉱山などの重労働力としてしか見なされませんでしたが、女性の奴隷の多くは軽作業の労働力と見世物や娯楽としてお尻を叩かれる存在であり……』

その先生の説明がどうしても気になり、教科書には少ししか乗ってなかったので帰宅してすぐに調べてみた。
サイトには淡々とした文章とともに、そのページには二枚の挿絵が掲載されていた。

【図1】奴隷市場での公開鞭打ち。
壇上に立たされた全裸の女性奴隷が泣き叫びながら観衆に晒された尻を鞭で打たれている。壇上の下では買い手候補たちが値踏みするように女性の尻を見上げ、歓声を上げている。

【図2】豪邸での娯楽としての尻叩き。
広間で家主が椅子に座り、女性奴隷を膝に載せてその手で尻を叩いている。
その周囲では子どもを含めた家主の家族たちまるでスポーツ観戦をしているように楽しそうに笑みを浮かべ、楽しそうに見ている。そして家主の後ろには壁に向かって順番待ちの奴隷が尻を出したまま立たされいる。

「……」

目を離そうとしても離せなかった。
そして気づけば彼女は、もし自分がその時代に生まれていたらと想像していた。

 ***

――青空の元、広場に備え付けられた壇上に立たされる、観衆の視線が突き刺さり羞恥でうつむく。簡素な奴隷用のワンピースを乱暴に剥かれて裸……特に白い尻を晒されるとどっとざわめきが広がる。
そして台に拘束されて尻を突き出さされると、男の持った鞭が尻に振り下ろされ、鋭い痛みが尻に焼きつく。

 ビシッ! ビシィン!

何度も繰り返される打撃に、息が乱れ、足が震える。

「痛い!やめてぇ!!」

涙が込み上げても、泣き叫んでも、容赦なく叩かれる。
壇上の下にいる自分を買うかもしれない客たちの笑い声と視線が、彼女を……特に尻を値踏みしていた。

 ***

場面は変わる。
とある豪邸の広間。椅子に腰掛けた男の膝に無理やり載せられるとお尻を丸出しにされた瞬間、家族の笑い声が耳を打つ。

 パン! パン! パン!

乾いた平手の音が広間に響く。
平手がお尻を打ち、熱が広がる。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

泣き声と謝る声が漏れるたび、周囲から笑いが起こり子どもたちのはしゃぐ声すら混じっている中、彼女は泣き叫びながら必死に謝る。
お尻は赤く腫れ上がり、視線と笑い声が突き刺さる中ただただお尻に与えられる痛みに耐えるしかなかった。

その後ももし自分がこの時代の奴隷だったら……と色んな妄想をする。

掃除していて花瓶を割って罰としてお尻を叩かれる。
主人のパーティーで余興として招待客の前での鞭打ち。

考えつくありとあらゆる奴隷としてのお尻叩きを妄想していった……

 ***

そして一通り挿絵以上ののスパンキングを妄想すると

「……こんなの、絶対に嫌」

声に出すと胸がざわめいた。
親や先生にお仕置きとして叩かれることはあるが、それは愛情と秩序のためで、最後には抱きしめられる温もりや許しがある。

けれど奴隷としてのスパンキングは違う。永遠に笑い者にされ、終わりのない羞恥を与えるものだった。

「……現代でよかった」

呟いた頬は、恐怖と安堵が混ざって赤く染まっていた。
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