スパンキング短編集

紅臀堂律

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あるスパンキング用品チェーン店の話(F/F×2、試し打ち、ラブ用バラ鞭、懲罰用バラ鞭)

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この世界には、スパンキングに使う道具を専門に扱う店が数多く存在する。
高級ブランドを揃える店、職人が一点ずつ手作りする工房、気軽に立ち寄れる量販型のチェーン店――。
形態はさまざまだが、どれも生活に密着した「スパンキング用品店」として広く利用されていた。

この店は国内でも最大規模を誇るチェーン店の店舗であり、広大ではないが、各メーカーの商品が並び、ケア用品も充実。
資格を持つスタッフが常駐し、利用者が実際に体験できる「試し打ち室」が設けられているのも特徴だった。

そしてこのチェーン店の試し打ちには明確な規則がある。

『1日に試せる道具は3つまで』
『1つにつき2回まで』
『叩くのは必ず資格を持った店員』

あくまで道具の試用であってお仕置きではないので叩く強さも“効果を確認できる範囲”に調整する、だからこそ安心して試し打ちできるのだ。

 ***

休日の午後。
店内には一人で棚を見比べる女性や道具を手に取って相談する夫婦などそこそこの賑わっており、試し打ち室からはお尻を叩く音も店内に響いていた。
とあるカップルは入店するなり、迷わず「ラブスパンキング用品」の棚と向かった。
そこには淡い色合いの柔らかい素材の道具が並んでおり、懲罰用とは明らかに雰囲気が違う道具が陳列されていた。

「ねぇこれにしない? 新作だって!」

彼女が指さしたのはピンク色の柔らかな素材で作られたバラ鞭で『新作!』と大きく貼られたシールが目立っている。

「お、いいな……。というか、またバラ鞭? 本当に好きだな」
「だって、ぴりっとした痛みがちょうどいいんだもん」
「じゃあガチのお仕置きもバラ鞭のほうがいい?」
「やだ! お仕置き用のバラ鞭は痛すぎるの!」
「痛いってことは試したことあるの?」
「あるよ。店員さんに試し打ちしてもらったけど……めちゃくちゃ痛かった! だからバラ鞭はラブ用だけでいいの!」

彼女は顔を赤くしてぷいとそむけると彼氏は苦笑いをする。
そんな二人は軽いやりとりを交わしながら、資格証を胸につけた女性スタッフに声をかけた。

「すみませーん、この新作、試し打ちできますか?」
「はい。当店の規定には同意いただけますでしょうか?」

カップルは規約に同意すると試し打ち室へと案内された。
試し打ち室は試着室のように仕切られ、大きな鏡とその前には台が置かれていた。
彼女は迷いなくショートパンツを下ろし、それをバックとともに荷物置きに置くと下着姿で台に腹這いになり。

「それでは始めます、こちらはラブ用ですので痛みは殆ど無く音は大きめのタイプです。」

 ビシッ。

鋭い音が響き、小さな悲鳴が上がる。

「んっ……!」

続く二打目を受けた彼女は頬を赤らめながら「これ、いいかも」と彼氏に微笑む。
彼氏も満足げに「音もいいな」と頷き、購入を即決した。

 ***

一方、別のカップルは雰囲気がまるで違った。

「すみません、試し打ちお願いします」

そう別の店員に真剣な表情でかごに三本のバラ鞭を入れて声をかけた男性、その後ろには女性は暗い顔で俯いている。

「承ります。当店の規定には同意いただけますでしょうか?」

カップルは承諾すると、店員と共に試し打ち室へ。
女性はバックを男性に預けるとスカートをめくり、下着越しにお尻を露わにして台に伏せる。その肩とお尻がわずかに震えていた。

スタッフは静かに説明した。

「それではこちらは革製ののバラ鞭です。、打撃が深く響きます」

 パシンッ! パシンッ!

鋭い音が二度響き、女性は「ひっ……!」と短く声を上げた、次に店員は二本目を手に取る。

「こちらはしなやかに作られており、また衝撃が重く残ります」

 パシィッ! パシィッ!

太腿まで響く痛みに、女性は涙を浮かべ「あぁ……!」と小さく漏らす、最後の一本。

「こちらは当店で最も強いタイプです。お仕置き用としては即効性がありますが、反面ケアが必須になります」

 ピシィッ! ピシィッ!

女性の体が大きく震え、悲鳴に近い声が洩れた。

「あぁっ……!」

試し打ちを6回終えた女性のお尻はほんのりとだが赤くギリギリ下着の上からわかる程度に腫れている。
そんな女性のお尻を見て男性が横から問いかける。

「……どれが一番、反省できそうだった?」

涙を滲ませたまま、女性は震える声で答え、店員も改めて注意点を説明した。

「今回は試し打ちですので、特にケアは不要です。ただしこのバラ鞭をご自宅でのお仕置きに使用されたあとは必ずケアを推奨します。当店にも各種ケア用品をご用意していますので合わせてご利用ください」

女性の身支度を終えて試し打ち室から出たカップルはケア用品を選んで選んだバラ鞭と共にレジに向かう。
お会計を終えてお店を出ると隣を歩く彼女に、男性は小声で囁いた。

「帰ったらこれでお仕置きだからな」

その言葉に女性は啜り泣きながら頷いた。

 ***

同じ「試し打ち」でも、楽しげにラブ用を選ぶカップルと、真剣に懲罰用を決めるカップル。
スパンキング用品専門店は今日もまた、さまざまな事情を抱えた客を受け入れていた。
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