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3day 5月3日 月曜日
夜明け
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月神と話し込んでいる内に、すっかり朝方になってしまった。
「もうこんな時間か…。一先ず寝た方が良い、ツクヨミと戦うつもりなら体調管理はしっかりしなさい」
月神はそう言い残し、学校から去って行った。登り始めた太陽が酷く眩しい。俺も早く帰って寝よう。そう思い、帰路を辿ってい時だった。
『あ』
道角で偶然出くわしたのは自転車に跨ったよく見知った人物。姉の松谷奈緒だ。自転車の前のカゴにはビニール袋、後ろの荷台には箱が取り付けられており、何かを大量に入れている様子。
「姉貴…こんな時間に何してんだ?」
「誠司こそ…まさか、今帰り?」
互いに謎の不信感を抱き、しばし朝方の空の下で睨み合う。先に折れたのは姉。観念したかのようにため息をついてから話し始めた。
「まぁ、いいや。先に聞かれたのは私だったね。配達してんだ。新聞の」
そう。自転車のカゴにかけてあるビニール袋の中身は全て新聞の束。荷台に積んである箱の中身も恐らくそうだろう。
「配達…?そんなのいつから…」
「お父さんがいなくなって…すぐかな。お母さんだけじゃ荷が重いと思ってさ、私も家にお金入れることにしたんだ。それに…」
「それに?」
俺が聞き返すと、姉は俺に無邪気な笑顔を向けて言った。幼い時からずっと向けられてきた笑顔だ。
「誠司行きたいって言ってたでしょ?大学!」
姉は俺の大学費用を貯めようとしてくれていた。それも俺に気を使わせないためにコッソリと。
「私バイクの免許無いし、自転車だから配達の範囲は狭くて、貰えるお金も他の人より少ないけど…それでもそれなりの額は貰え…ゑぇ!?誠司なんで泣いてんの!?」
「ぅ…うるせぇ!」
自転車に跨った目の前の姉が神々しく見え、それと同時に俺は自分を恥じた。
正直、俺は心の底で姉を見下していた。
居眠りして授業を真面目に受けず、成績が落ちて留年。そのループに囚われていた姉をどこか蔑んでいた。ただの姉の怠慢、だらしなさが招いた結果だと思っていた。元々姉の頭が良くない事も知っていた。けれど全てがそうでは無かった。
居眠りしていたのは配達からの疲労のせい。それは元を辿れば俺のせい。俺のためによる姉の自己犠牲の結果だった。
それを知らず俺は、今まで姉に冷たい態度を取っていた事を深く後悔した。
そして申し訳なさや不甲斐なさ、色んな感情が押し寄せて来て気づけば涙を流してしまった。
(クソ…クソっ!…無駄にカッコイイ事してんじゃねぇよ…)
「ふえぇ…誠司、えと、どうしよう私…何で急に泣いて…えと病院!…救急車!…」
「ぅ…呼ばんで良い!」
俺が泣き出しただけで救急車を呼ばれかけた。なんだか泣くのが馬鹿らしくなった俺は必死に涙を拭い、姉に向き直る。
「…姉貴!」
「は、はいっ!」
「遊び…どこ行きたい!」
「え、えと…遊園地とか…?」
「よしっ!分かった!」
姉の答えを聞いて、すぐさま俺は自宅へ駆け出した。これ以上みっともない顔を晒したくは無かったから。
ゴールデンウィーク最終日。俺の予定は確定した。
「もうこんな時間か…。一先ず寝た方が良い、ツクヨミと戦うつもりなら体調管理はしっかりしなさい」
月神はそう言い残し、学校から去って行った。登り始めた太陽が酷く眩しい。俺も早く帰って寝よう。そう思い、帰路を辿ってい時だった。
『あ』
道角で偶然出くわしたのは自転車に跨ったよく見知った人物。姉の松谷奈緒だ。自転車の前のカゴにはビニール袋、後ろの荷台には箱が取り付けられており、何かを大量に入れている様子。
「姉貴…こんな時間に何してんだ?」
「誠司こそ…まさか、今帰り?」
互いに謎の不信感を抱き、しばし朝方の空の下で睨み合う。先に折れたのは姉。観念したかのようにため息をついてから話し始めた。
「まぁ、いいや。先に聞かれたのは私だったね。配達してんだ。新聞の」
そう。自転車のカゴにかけてあるビニール袋の中身は全て新聞の束。荷台に積んである箱の中身も恐らくそうだろう。
「配達…?そんなのいつから…」
「お父さんがいなくなって…すぐかな。お母さんだけじゃ荷が重いと思ってさ、私も家にお金入れることにしたんだ。それに…」
「それに?」
俺が聞き返すと、姉は俺に無邪気な笑顔を向けて言った。幼い時からずっと向けられてきた笑顔だ。
「誠司行きたいって言ってたでしょ?大学!」
姉は俺の大学費用を貯めようとしてくれていた。それも俺に気を使わせないためにコッソリと。
「私バイクの免許無いし、自転車だから配達の範囲は狭くて、貰えるお金も他の人より少ないけど…それでもそれなりの額は貰え…ゑぇ!?誠司なんで泣いてんの!?」
「ぅ…うるせぇ!」
自転車に跨った目の前の姉が神々しく見え、それと同時に俺は自分を恥じた。
正直、俺は心の底で姉を見下していた。
居眠りして授業を真面目に受けず、成績が落ちて留年。そのループに囚われていた姉をどこか蔑んでいた。ただの姉の怠慢、だらしなさが招いた結果だと思っていた。元々姉の頭が良くない事も知っていた。けれど全てがそうでは無かった。
居眠りしていたのは配達からの疲労のせい。それは元を辿れば俺のせい。俺のためによる姉の自己犠牲の結果だった。
それを知らず俺は、今まで姉に冷たい態度を取っていた事を深く後悔した。
そして申し訳なさや不甲斐なさ、色んな感情が押し寄せて来て気づけば涙を流してしまった。
(クソ…クソっ!…無駄にカッコイイ事してんじゃねぇよ…)
「ふえぇ…誠司、えと、どうしよう私…何で急に泣いて…えと病院!…救急車!…」
「ぅ…呼ばんで良い!」
俺が泣き出しただけで救急車を呼ばれかけた。なんだか泣くのが馬鹿らしくなった俺は必死に涙を拭い、姉に向き直る。
「…姉貴!」
「は、はいっ!」
「遊び…どこ行きたい!」
「え、えと…遊園地とか…?」
「よしっ!分かった!」
姉の答えを聞いて、すぐさま俺は自宅へ駆け出した。これ以上みっともない顔を晒したくは無かったから。
ゴールデンウィーク最終日。俺の予定は確定した。
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