【選択小説】枯男は生還したい。〜旧校舎の神隠し〜

ルナ

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last day 5月5日 水曜日

失神

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 うん。おかしいじゃん?
 何がどうしてこうなった?
 え?何で俺今ゆっくり自宅の湯船に浸かってるの?
 で、何で風呂の脱衣場で今姉が服を脱いでるの?
 あれ~?おかしいな~?

「誠司…入るね」

 妖艶な湯気が立ち込める世界の扉が…今開かれた。





☆●◇■△▼一時間前▽▲□◆○★





 あれから俺達はアトラクションを何周か周り、日が暮れた頃に帰り支度を進めた。最後まで楽しめたかと聞かれると回答に困る。確かに途中までは姉はもちろん、俺も無邪気に楽しんでいた。しかし姉友の一件以来、姉はずっと上の空。どことなく気まずい空気が続いたので、日が暮れた事を言い訳にして逃げるように帰宅したのである。
 そして何を思ったのか、姉は俺と一緒に風呂に入りたいと言い出した。
 俺はもちろん断った。この歳で実の姉と一緒に入浴なんて誰かに知られれば、俺は"シスコン"のレッテルを貼られてしまう。そしてそのまま高校生活を送る羽目になるだろう。
 しかし姉はしつこかった。帰宅してから俺の一挙一動を観察、隙を見計らって誘って来る。飯の前後や部屋でくつろいでいる時、トイレの前で待ち構えていた事もある。そして鉢合わせる度に姉は「お風呂…」と呟いてくる。全くもって意味不明である。タチの悪い嫌がらせだろうか。

「誠司…お風呂」

 俺は今着替えを持って風呂へ向かっている最中。タイミング的に「お風呂」コールはこれが最後。
 さすがに本当に入っては来ないだろう。そう自分に言い聞かせながら、そろそろ「お風呂」コールを疎ましく感じ始めていた俺は言った。

「…好きにすれば」

 そのまま俺は風呂場へ直行。浴室の扉を開けた途端、ドタドタと二階から騒がしい足音が聞こえた。俺は思考を放棄した。

 姉と風呂なんて何年ぶりだろう。
 自らの体を流しながらふと思う。小さい頃はよく一緒に入っていた。何の気兼ねも無しに。姉が中学に上がる頃だろうか、気がつけば風呂は自然と別々に入るようになっていて、会話や交流も減っていった。
 いや、風呂なんて些細な事。会話が減った大きな原因は俺にある。父親が消息を絶ち、その原因を突き止めるべく俺は探偵を始めた。そのせいで姉に構ってあげられる時間が減ってしまった。挙句の果てにゴールデンウィークの約束をも忘れる始末。今のこんな俺を見て、あの親父は何と言っただろうか。

(親父…どこに行ったんだよ…)

 そんな事を考えていると、脱衣場の扉が開く音がした。扉が閉まったかと思えば、すぐにファサっと衣服が脱ぎ捨てられる音が。その音を聞いて父親に対するノスタルジーな気分はどこかへ飛んで行った。
 一瞬取り乱したが、なんてことは無い。ただの風呂だ。そうさ、姉の素っ裸なんて幼少期の頃から見慣れてるんだ。
 そう、幼少期の頃は…な。

 今の姉は…

ボンッ
キュッ
ボンッ

 うん、やはり駄目だ。俺という名のオープンワールドの世界にr18指定が入ってしまう。引き留めよう。そう思い、俺は浴槽の縁に足をかけたのだが

ズルっ

「あっ」

 かけた足を滑らせ、勢いよく俺は体勢を崩した。更に運の悪い事に、男の急所が浴槽の縁にクリーンヒット。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 俺は声にならない声を上げ、風呂の床に頭から転落。俺はそのまま気絶。

「え!?なに!?何事!?誠司!?」

 気絶する直前、風呂の扉が開かれたのがみえた。
 俺が最後に見た光景は実の姉の素っ裸であった。
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