ダンボールの中身は捨て幼女でした

ルナ

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日常の波乱

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「クソッ…ハハッ、なんだコレ…何がどうなったんだ…」
「…」

 数時間前、委員長が死んだ。脈とか測って確かめた訳では無いが、あんな状態、生きている訳が無い。あまりの非日常的展開に脳がフリーズした俺のとった行動は。

「なんで…俺は逃げちまったんだろうな…」

 病院からの逃走だった。
 本来ならば確かめなければいけない事、しっかり当事者と話し合って、色々決めなければいけないはずなのに。ただ一つの真実。「心美が人を殺した」これを理解した途端、俺は心美の腕を引っ張って走っていた。責任、現実、友達、死、全てを捨てて。

「お兄ちゃん…」

 あぁ、そうだ。全てじゃない。たった一つだけ持っていた。残っているじゃないか。俺の傍らにたたずむ少女が。

「大丈夫…大丈夫だからな」

 俺は心美の頭を優しく撫でてあげた。
 心美は委員長を殺した。仇のはずなのに、不思議と憎悪が湧いてこない。俺の頭がこの現実に着いて行けて無いだけなのか、あまりにも急なストレスで感情が死んだのかもしれない。
 ともかく俺が思ったのは「心美を守らなければ」それだけだった。
 俺は病院から少し離れた河川敷に一先ず身を隠す事にした。橋の下の暗闇に心美と二人座り込む。

「心美…大丈夫か?」
「う、うん」
「なぁ、心美。お前、あれ…どうやって」
「ぁ…あ…ママ…」
「…ママ?」

 息を切らし、虚ろな目をしている心美が呟いた。確かに「ママ」と母親を呼ぶ声が聞こえた。もしかしてと俺はハッとし、心美の肩を掴んで詰め寄る。

「心美!お前、まさか記憶が…!」

 喜んだのも束の間。心美の様子が変貌した。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなっ…おえっ!」

 頭を抱えて謝罪の言葉をひたすら連呼する。俺が呆気にとられていると、心美は嘔吐していた。

「ごめんな…ゲッホゲホ…さい…ごめんなさ…ぅ」
「心美!?も、もう喋んな!落ち着け!」

 恐らく心美が思い出したのは母親関連の記憶。だがそれは決して良いものでは無かった。人が耐えきれず吐くような記憶、ろくなもんじゃない。俺は軽はずみな発言をした事を後悔した。
 未だ咳き込み続ける心美の背中を擦りながら、俺は自分のスマホを取り出した。吐いて苦しんでいる心美を撮るわけでは無い。俺はそこまで鬼畜では無い。

「もっと早くにやった方が良かった…初めからこうすれば良かったんだ…」

 逃げたは良いが限界だ。一人でこの問題は解決できない。
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