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【7】代償
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「えっと…今なんて?」
俺は今一度確認のため聞き返す。確かに「ごめんなさい」と言われた気がした。王女が俺にだ。
「本当に申し訳ない。妹からよくよく話を聞いた結果、アナタは無実だと…それどころか、うちの妹を助けてくれた恩人だと分かった。その恩人にこの仕打ち…本当に申し訳ない!」
どうやらスティナが無事に誤解を解いてくれたようだ。助かった、これで死刑は免れそうだ。よし…それならば。
「ほおおおおん?で?んでぇ?王女さんはこの罪なき民間人の俺にぃ?こ~んな仕打ちしてぇ、どう責任取るつもりなんですかねぇ?」
「ぐっ…あぁ、本当に申し訳ない事をした…」
「だ~か~ら~、ただの謝罪なんかで済むと思ってんのか~?あぁん!?」
俺は鉄格子を蹴り飛ばし更に威圧をかける。
「誠意を!形として!見せろって言ってんだあよぉ!俺はよお!!」
「そう…だな…。ならば私の一番大切なモノを君に捧げよう」
キタキタキタキタァ!最初はもう人生終わったかと覚悟したが、何とか逆転勝利してやったぜ!これで国の莫大な資産でも貰えりゃ、良い感じに豪遊して暮らしてから目を覚ます事ができるぜぇ!
「よおーし!それじゃあ出して貰おうか、アンタの一番大切なモ・ノ」
「うむ」
「はいっ!」
「お…?」
レティナの後ろから元気よく手を挙げて現れたのはスティナ。いつの間にレティナの背に隠れていたのだろう。いや、最初からいたのか?全く気が付かなかった。
…ん?
え?ちょっと待て。今の会話の流れからすると、まさか…。
「ふっ…私の一番大切な妹…。君を我が妹スティナの婿候補として認めようじゃないか!」
「改めてよろしくね!お・兄・さ・ん♡」
「いやあああああああああああああああ」
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「なんで…なんで…」
「お兄さ~ん…お兄さ~ん♡」
「いやあ!触らないでケダモノォ!」
無罪放免になり牢屋を出たは良いものの、まさかこんな事になるとは。
今いるのは城の客室。「ちょっと待っててくれ」とレティナが出て行ったきり、俺はスティナと部屋に二人きり。こんな地獄はなかなか無い。
「お・兄・さ~ん♡」
「触らないでって言ってるでしょ!このエッチ!」
何が困るってこの娘、隙あらば俺の身体をベタベタ触ってくるのだ。手の甲や首筋、胸板などを優しく撫でるように…あぁ、おぞましい。
…おい、ちょっと待て、そこは…そこはダメぇ…
「すまない、待たせたな」
「た…助かった…」
「ぶー…お姉ちゃんのぶー…」
何か超えてはいけない一線を越えようとした時、レティナがようやく帰って来てくれた。手には無数の書類が握りしめられている。パッと見た感じ百枚か二百枚…いや、もっとあるかもしれない。
「さて、これから君とスティナの婚約の話を進めたいのだが…さてさて、どうしたものか…」
レティナは持ってきた数多の書類に幾度と目を通し、何か困った様子で頭をポリポリと掻きむしる。突然、レティナの鋭い眼光が俺に向けられた。
「なぁ、君はいったい何者なんだ…?」
部屋の空気は一変。和やかな話し合いに見えたそれは、既に冷酷な尋問に変わっているような気がした。
俺は今一度確認のため聞き返す。確かに「ごめんなさい」と言われた気がした。王女が俺にだ。
「本当に申し訳ない。妹からよくよく話を聞いた結果、アナタは無実だと…それどころか、うちの妹を助けてくれた恩人だと分かった。その恩人にこの仕打ち…本当に申し訳ない!」
どうやらスティナが無事に誤解を解いてくれたようだ。助かった、これで死刑は免れそうだ。よし…それならば。
「ほおおおおん?で?んでぇ?王女さんはこの罪なき民間人の俺にぃ?こ~んな仕打ちしてぇ、どう責任取るつもりなんですかねぇ?」
「ぐっ…あぁ、本当に申し訳ない事をした…」
「だ~か~ら~、ただの謝罪なんかで済むと思ってんのか~?あぁん!?」
俺は鉄格子を蹴り飛ばし更に威圧をかける。
「誠意を!形として!見せろって言ってんだあよぉ!俺はよお!!」
「そう…だな…。ならば私の一番大切なモノを君に捧げよう」
キタキタキタキタァ!最初はもう人生終わったかと覚悟したが、何とか逆転勝利してやったぜ!これで国の莫大な資産でも貰えりゃ、良い感じに豪遊して暮らしてから目を覚ます事ができるぜぇ!
「よおーし!それじゃあ出して貰おうか、アンタの一番大切なモ・ノ」
「うむ」
「はいっ!」
「お…?」
レティナの後ろから元気よく手を挙げて現れたのはスティナ。いつの間にレティナの背に隠れていたのだろう。いや、最初からいたのか?全く気が付かなかった。
…ん?
え?ちょっと待て。今の会話の流れからすると、まさか…。
「ふっ…私の一番大切な妹…。君を我が妹スティナの婿候補として認めようじゃないか!」
「改めてよろしくね!お・兄・さ・ん♡」
「いやあああああああああああああああ」
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「なんで…なんで…」
「お兄さ~ん…お兄さ~ん♡」
「いやあ!触らないでケダモノォ!」
無罪放免になり牢屋を出たは良いものの、まさかこんな事になるとは。
今いるのは城の客室。「ちょっと待っててくれ」とレティナが出て行ったきり、俺はスティナと部屋に二人きり。こんな地獄はなかなか無い。
「お・兄・さ~ん♡」
「触らないでって言ってるでしょ!このエッチ!」
何が困るってこの娘、隙あらば俺の身体をベタベタ触ってくるのだ。手の甲や首筋、胸板などを優しく撫でるように…あぁ、おぞましい。
…おい、ちょっと待て、そこは…そこはダメぇ…
「すまない、待たせたな」
「た…助かった…」
「ぶー…お姉ちゃんのぶー…」
何か超えてはいけない一線を越えようとした時、レティナがようやく帰って来てくれた。手には無数の書類が握りしめられている。パッと見た感じ百枚か二百枚…いや、もっとあるかもしれない。
「さて、これから君とスティナの婚約の話を進めたいのだが…さてさて、どうしたものか…」
レティナは持ってきた数多の書類に幾度と目を通し、何か困った様子で頭をポリポリと掻きむしる。突然、レティナの鋭い眼光が俺に向けられた。
「なぁ、君はいったい何者なんだ…?」
部屋の空気は一変。和やかな話し合いに見えたそれは、既に冷酷な尋問に変わっているような気がした。
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