5 / 31
第2話 マニアック
マニアック その3
しおりを挟む
俺と源尾は光の道を辿り、城へと向かっている。好奇心という理由は一切ない。ただただ夢からの脱出を目指してのことである。いくら互いに頰を引っ張りあっても、いくら「覚めろ」と繰り返し念じてみても、元の布団の中に戻れないことに、突如現れたアレが関係しているのは想像するに容易い。
「大丈夫なのかな」と呟く源尾は、絵を描いていた時までとは打って変わって心底不安そうな様子だ。あんな気味の悪い建物を目の前にしているだけではなく、これからそこに行かなければならないのだから無理もない。俺だってひとりだったらこんな顔をしていたはずだ。根拠のないまま「大丈夫」と言い切って、俺は源尾に微笑みかけた。
「それに、もし大丈夫じゃなくても、俺がなんとかしてやる」
「ありがと、伊瀬冬くん。でも、無理だけはしちゃだめだよ」
遠目から見るだけで寒気がするというのに、近づいてみるとその城の造形はなおさら不気味に感じた。中学校の構成物質を無理やり組み替えて作り上げたというのが見て取れる造りであり、城の周囲を囲む濠はプールで、そこに掛かる橋は学習机の集合体、橋の先の巨大な門は体育館の床で出来ていた。
門を抜けるとコンクリートの緩やかな坂が伸びていて、そこを歩いていった先に城の内部へと通じる戸があった。お世辞にも立派とは言えない造りのその戸は恐らく、教室の出入り口に使われているのと同じものだろう。
用心しながら戸を開けてみると、中はホテルのエントランスのように広々としていた。正面には上階へと続く階段、天井を見れば部屋を煌々と照らす水銀灯の照明がある。左右の壁には歴代校長の写真が飾ってある。全体的に薄暗い。お化け屋敷みたいだ。
独特な城の雰囲気に怯えているのか、俺の背後に隠れた源尾はシャツの裾をきゅっと掴む。ここは頭のひとつでも撫でた方がいいのだろうか? いやいや、さすがにそれは気が早すぎる。だがしかし、せめて手くらいは繋ぎたい――などと心中で葛藤していると、「おやおや」という声が部屋に反響した。コツコツという靴音と共に階段を降りてきたのは、燕尾服を着たいかにも怪しい女だった。顔つきはまだ若く、年齢はきっと俺と同じくらいだろう。
「こんなところに客人とは。珍しいこともあるものです。ようこそ、カチョウ様の御城へ」
「カチョウ様?」と俺が困惑しつつ問うと、女は「ええ」と笑顔で頷いた。
「私のご主人様でございます。なんとも美しいお方で、人を惹き付ける魅力がある。少々、お戯れが過ぎることもございますが、それもまた一興」
やけに芝居染みた奴だ。しかし、マトモに対応したら面倒な奴だということだけはとりあえずわかった。どうせ夢の中なのだし、多少は雑に扱っても問題無かろうとスムーズに判断した俺は、相手の会話には乗らず、聞きたいことをさっさと訊ねてしまうことにした。
「そのサトー様っていうのはさておき、俺達、元の世界に帰りたいんだ。なにか知らないか?」
「元の世界とは、またずいぶん興味深いことを仰る方だ。カチョウ様もきっとお気に召すことでしょう」
「そうか。で、なにか知らないのか」
「残念ながら、私の口からはなにも言えません。カチョウ様のお許しを頂かなければ。それが、この城のルールなのです」
その時、階段の上から「新しいお客様?」と誰かが声を掛けてきた。燕尾服の女が恭しく頭を下げながら「ええ」と答えたところを見るに、声の主は『カチョウ様』とやらに違いない。
やがて階段を降りてきたのは、目に痛いほど強烈に赤いドレスを身に纏った女だった。ギラギラ輝く宝石のついたティアラといい、性格のキツそうな目元といい、西洋画みたいに濃い化粧といい、やたらと高いヒールといい、悪い魔女と悪い女王を足して二で割ったみたいなヤツである。
女王は階段の中頃で止まると、俺達へ「あなた達、お名前は?」と威圧的に問いかけてきた。俺と源尾がそれぞれ名前を名乗ると、そいつは値踏みするようにこちらを眺めながらふんと鼻を鳴らし、それから口を開いた。
「私はカチョウ、この城の主です。その女は私の執事。さあ、どうぞこちらへ。温かいお茶でも飲みながらお話を伺いましょう」
俺のシャツの裾を握る源尾の力が、ほんの少し強くなった。
〇
カチョウ様とやらに連れられながら、俺達は城内を進んでいる。エントランスから階段を上っていった先には果てが見えないほど長い廊下が伸びていて、歩いているだけで億劫になる。廊下の左右の壁は一面壁で窓はない。低い天井からこちらを照らす蛍光灯は切れかけなのか常にチカチカしていて恐ろしい。ただでさえ息が詰まりそうな圧迫感があるというのに、背後にぴったり燕尾服の女がついてくるのだから、尋常ではないストレスである。
しばらく真っ直ぐ進んでいると、廊下の突き当たったところに大きな扉が現れた。扉を開いて中へ入ると、大きな長机とキャスターの付いた椅子が並べられただけの、会議室めいた簡素な部屋の光景が広がっていた。外装や内装のみならず、備品まで中学校産とは。仮にも城だというのに、なんとも虚しいことだろうか。
「さあ、座って」と俺達に言いながら適当な席に座ったカチョウは、手のひらを軽く二度打ち鳴らした。すると背後に控えていた執事が、どこからともなく用意したティーポットとカップを机の上に並べ、紅茶を淹れはじめる。
カチョウと対面する席へふたりで並んで座った俺と源尾は、出された紅茶をとりあえず一口飲んだ。味が薄い、というよりも無い。とても客に出していいものじゃない。これなら『2045』のコーヒーの方がマシだ。源尾も少し眉をひそめている。
マズイ紅茶を涼しい顔ですすったカチョウは、「それで」と話を切り出した。
「あなた達ふたりは、『外の世界』からいらっしゃったとか」
「そうだ。もてなしてもらって悪いけど、早く帰りたい。この世界から出る方法を知ってるなら教えてくれ」
「そう言わずに。外の世界からのお客様は久しぶりなの。お話を聞かせて頂戴」
「話すほどのもんじゃない。そうたいして、ここと変わらん。まずいコーヒーが出るかまずい紅茶が出るかの違いだ」
「施しも無く見返りだけを求めるおつもり? たいしたものね。ここから出るための手掛かりも無いのでしょう?」
そう言われてしまうと、あまり強くは出られない。紅茶を一気に飲み干した俺は、熱いため息と共に「わかったよ」と呟いた。
「……それで、なにが聞きたいんだ。知ってることなら全部答える」
「そうね。たとえば、あなたの隣に座ってる女の子について、とか」
「源尾についてか?」
冷たい微笑みを浮かべたカチョウは「そう」と答えて源尾に視線を向けた。
「その、見た目〝だけ〟は可愛らしくて、腹の中ではなにを考えているのかわからない、甘く囁いてあなたを動かすことだけが大得意なその源尾ちゃんについて、私にも教えて」
「ふざけんな」と椅子が倒れる勢いで席を立った俺が、そのまま対面のカチョウの胸倉へ掴みかかれなかったのは、源尾が俺の腕にしがみついてそれを止めたからだ。「放してくれ」と言ったが、「大丈夫だから、わたしなら」と泣きそうな顔で言われてしまっては、それ以上は何も言えないし、できなかった。
やり場のない怒りをなんとか胃の底に沈めた俺は、人を小馬鹿にするような笑みを浮かべるカチョウを強く睨んだ。
「……帰る。マズイ茶をどうも」
「あら、どこから、どうやって、出るつもりなのかしら?」
「知らん。だけど、とりあえずお前の顔はもう一秒も見ていたくないことは間違いない。後はこっちでどうにかする」
「そう。でも、現実は厳しいと思うわよ」
背筋を撫でられたような嫌な感覚を覚え、俺は恐る恐るこの部屋の出入り口へ目を向けた。つい先ほどまでそこにあったはずの扉は消しゴムで擦ったかのように、跡形もなく消えている。
カチョウは心底楽しそうに「くっくっ」と喉の奥を鳴らして笑うと、ぱちんと指を鳴らした。ほんの一瞬だけすべての照明が消えた後、すぐに元の明るさが戻ってきたが、その時にはすでにふたりの姿は部屋のどこにもなかった。
「あなた達はもう一生、私の世界に留まるしかないの。ご愁傷様」
呆然とする俺達の耳へ、腹立たしい調子の声だけがどこからか届いた。
「大丈夫なのかな」と呟く源尾は、絵を描いていた時までとは打って変わって心底不安そうな様子だ。あんな気味の悪い建物を目の前にしているだけではなく、これからそこに行かなければならないのだから無理もない。俺だってひとりだったらこんな顔をしていたはずだ。根拠のないまま「大丈夫」と言い切って、俺は源尾に微笑みかけた。
「それに、もし大丈夫じゃなくても、俺がなんとかしてやる」
「ありがと、伊瀬冬くん。でも、無理だけはしちゃだめだよ」
遠目から見るだけで寒気がするというのに、近づいてみるとその城の造形はなおさら不気味に感じた。中学校の構成物質を無理やり組み替えて作り上げたというのが見て取れる造りであり、城の周囲を囲む濠はプールで、そこに掛かる橋は学習机の集合体、橋の先の巨大な門は体育館の床で出来ていた。
門を抜けるとコンクリートの緩やかな坂が伸びていて、そこを歩いていった先に城の内部へと通じる戸があった。お世辞にも立派とは言えない造りのその戸は恐らく、教室の出入り口に使われているのと同じものだろう。
用心しながら戸を開けてみると、中はホテルのエントランスのように広々としていた。正面には上階へと続く階段、天井を見れば部屋を煌々と照らす水銀灯の照明がある。左右の壁には歴代校長の写真が飾ってある。全体的に薄暗い。お化け屋敷みたいだ。
独特な城の雰囲気に怯えているのか、俺の背後に隠れた源尾はシャツの裾をきゅっと掴む。ここは頭のひとつでも撫でた方がいいのだろうか? いやいや、さすがにそれは気が早すぎる。だがしかし、せめて手くらいは繋ぎたい――などと心中で葛藤していると、「おやおや」という声が部屋に反響した。コツコツという靴音と共に階段を降りてきたのは、燕尾服を着たいかにも怪しい女だった。顔つきはまだ若く、年齢はきっと俺と同じくらいだろう。
「こんなところに客人とは。珍しいこともあるものです。ようこそ、カチョウ様の御城へ」
「カチョウ様?」と俺が困惑しつつ問うと、女は「ええ」と笑顔で頷いた。
「私のご主人様でございます。なんとも美しいお方で、人を惹き付ける魅力がある。少々、お戯れが過ぎることもございますが、それもまた一興」
やけに芝居染みた奴だ。しかし、マトモに対応したら面倒な奴だということだけはとりあえずわかった。どうせ夢の中なのだし、多少は雑に扱っても問題無かろうとスムーズに判断した俺は、相手の会話には乗らず、聞きたいことをさっさと訊ねてしまうことにした。
「そのサトー様っていうのはさておき、俺達、元の世界に帰りたいんだ。なにか知らないか?」
「元の世界とは、またずいぶん興味深いことを仰る方だ。カチョウ様もきっとお気に召すことでしょう」
「そうか。で、なにか知らないのか」
「残念ながら、私の口からはなにも言えません。カチョウ様のお許しを頂かなければ。それが、この城のルールなのです」
その時、階段の上から「新しいお客様?」と誰かが声を掛けてきた。燕尾服の女が恭しく頭を下げながら「ええ」と答えたところを見るに、声の主は『カチョウ様』とやらに違いない。
やがて階段を降りてきたのは、目に痛いほど強烈に赤いドレスを身に纏った女だった。ギラギラ輝く宝石のついたティアラといい、性格のキツそうな目元といい、西洋画みたいに濃い化粧といい、やたらと高いヒールといい、悪い魔女と悪い女王を足して二で割ったみたいなヤツである。
女王は階段の中頃で止まると、俺達へ「あなた達、お名前は?」と威圧的に問いかけてきた。俺と源尾がそれぞれ名前を名乗ると、そいつは値踏みするようにこちらを眺めながらふんと鼻を鳴らし、それから口を開いた。
「私はカチョウ、この城の主です。その女は私の執事。さあ、どうぞこちらへ。温かいお茶でも飲みながらお話を伺いましょう」
俺のシャツの裾を握る源尾の力が、ほんの少し強くなった。
〇
カチョウ様とやらに連れられながら、俺達は城内を進んでいる。エントランスから階段を上っていった先には果てが見えないほど長い廊下が伸びていて、歩いているだけで億劫になる。廊下の左右の壁は一面壁で窓はない。低い天井からこちらを照らす蛍光灯は切れかけなのか常にチカチカしていて恐ろしい。ただでさえ息が詰まりそうな圧迫感があるというのに、背後にぴったり燕尾服の女がついてくるのだから、尋常ではないストレスである。
しばらく真っ直ぐ進んでいると、廊下の突き当たったところに大きな扉が現れた。扉を開いて中へ入ると、大きな長机とキャスターの付いた椅子が並べられただけの、会議室めいた簡素な部屋の光景が広がっていた。外装や内装のみならず、備品まで中学校産とは。仮にも城だというのに、なんとも虚しいことだろうか。
「さあ、座って」と俺達に言いながら適当な席に座ったカチョウは、手のひらを軽く二度打ち鳴らした。すると背後に控えていた執事が、どこからともなく用意したティーポットとカップを机の上に並べ、紅茶を淹れはじめる。
カチョウと対面する席へふたりで並んで座った俺と源尾は、出された紅茶をとりあえず一口飲んだ。味が薄い、というよりも無い。とても客に出していいものじゃない。これなら『2045』のコーヒーの方がマシだ。源尾も少し眉をひそめている。
マズイ紅茶を涼しい顔ですすったカチョウは、「それで」と話を切り出した。
「あなた達ふたりは、『外の世界』からいらっしゃったとか」
「そうだ。もてなしてもらって悪いけど、早く帰りたい。この世界から出る方法を知ってるなら教えてくれ」
「そう言わずに。外の世界からのお客様は久しぶりなの。お話を聞かせて頂戴」
「話すほどのもんじゃない。そうたいして、ここと変わらん。まずいコーヒーが出るかまずい紅茶が出るかの違いだ」
「施しも無く見返りだけを求めるおつもり? たいしたものね。ここから出るための手掛かりも無いのでしょう?」
そう言われてしまうと、あまり強くは出られない。紅茶を一気に飲み干した俺は、熱いため息と共に「わかったよ」と呟いた。
「……それで、なにが聞きたいんだ。知ってることなら全部答える」
「そうね。たとえば、あなたの隣に座ってる女の子について、とか」
「源尾についてか?」
冷たい微笑みを浮かべたカチョウは「そう」と答えて源尾に視線を向けた。
「その、見た目〝だけ〟は可愛らしくて、腹の中ではなにを考えているのかわからない、甘く囁いてあなたを動かすことだけが大得意なその源尾ちゃんについて、私にも教えて」
「ふざけんな」と椅子が倒れる勢いで席を立った俺が、そのまま対面のカチョウの胸倉へ掴みかかれなかったのは、源尾が俺の腕にしがみついてそれを止めたからだ。「放してくれ」と言ったが、「大丈夫だから、わたしなら」と泣きそうな顔で言われてしまっては、それ以上は何も言えないし、できなかった。
やり場のない怒りをなんとか胃の底に沈めた俺は、人を小馬鹿にするような笑みを浮かべるカチョウを強く睨んだ。
「……帰る。マズイ茶をどうも」
「あら、どこから、どうやって、出るつもりなのかしら?」
「知らん。だけど、とりあえずお前の顔はもう一秒も見ていたくないことは間違いない。後はこっちでどうにかする」
「そう。でも、現実は厳しいと思うわよ」
背筋を撫でられたような嫌な感覚を覚え、俺は恐る恐るこの部屋の出入り口へ目を向けた。つい先ほどまでそこにあったはずの扉は消しゴムで擦ったかのように、跡形もなく消えている。
カチョウは心底楽しそうに「くっくっ」と喉の奥を鳴らして笑うと、ぱちんと指を鳴らした。ほんの一瞬だけすべての照明が消えた後、すぐに元の明るさが戻ってきたが、その時にはすでにふたりの姿は部屋のどこにもなかった。
「あなた達はもう一生、私の世界に留まるしかないの。ご愁傷様」
呆然とする俺達の耳へ、腹立たしい調子の声だけがどこからか届いた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる