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第4章
(9)夢なんかみない女
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【日比野 初音の場合】
「初音って、綺麗な名前ね」
そう言って名前を褒められるたびに、私は苛立ちを覚えていた。
この名をつけたのは、父だ。
私の父は、ひたすら夢だけを追う現実を見れない男で、妻子を持ってなお、好き勝手に夢を追いかけていた。
生きていく為に必要なお金は母が稼ぎ、その上、夢の為にかかる費用まで母に出させていた。そんな生活に疲れ果てた母は心を病み、次第にお酒に溺れるようになっていく。
「その名前は、あの人がつけたのよ」
母は、苛立ちをぶつけるように私の名を呼ぶ。
「なにが、初めての音よ。音楽で食べていける人なんて、一握りもいないのに格好つけて。あの人のせいで私は……」
心を病んだ母を置いて、結局父はまた別の女性の元へと出ていった。女のプライドまで傷付けられた母の心はますます病み、ある夜に初音が息苦しさに目を覚ますと、視界の先に涙を流して私の首を締める母がいた。
「おか……あ……さっ……ん」
「その名前がっ! その名前が! あの人のせいで!」
苦しい。
けれど、幼い頃の私とって母の存在は全てだった。その母親が、自分の名前のせいでこんなにも苦しんでいる。
「おか……さ……っ、ごめ……んね」
私が意識を失う寸前に、母が我に返ったように手を離した。
「初音……! あああっ……な、なんてことを……私はっ……私は、なんてことをっ」
翌朝、母は私の手を引き警察へ行った。
「私はっ……このままじゃ、娘を殺してしまう」
泣き崩れる母は心神喪失で即日入院となり、私は児童養護施設に引き取られる事になった。
私は、もう顔も覚えていない父親を誰よりも恨んでいる。そして、その父がつけた自分の名前を、何よりも憎んでいた。
日比野という苗字は母の旧姓だ。
名前まで改名するには『社会的不都合な事由』というものが必要となり、簡単にできるものではなかった。
美しいその名は、死ぬまで私の心を蝕む鎖だ。
母親が壊れてしまったあの日から、児童擁護施設で一時預かりとなり、親戚中をたらい回しにされ、結局また施設に戻る。そんな日々を、繰り返し生きてきた。
まだ幼かったあの頃に、私はもう、他者を信じる心を手放していた。
私は今年、二十七歳になる。
奨学金や支援制度でなんとか学校を卒業し、中小企業に勤めている。年齢的にも中堅社員となり後輩を指導する立場となった私は、中途採用で入社してきた二十五歳の男性のマンツーマン指導者となっていた。
「真島 秋斗です。宜しくお願いします!」
私が彼に前職の経験を問うと、彼はそれまで社員で働いた経験はなく、劇団に所属し夢を追いかけていたという。それを聞いた私の心に、一気にモヤモヤした思いが広がっていく。
どうしても、父親と重ねてしまうのだ。
「何代も前の大学の先輩が立ち上げた貧乏劇団に入っていたんですが、役者としては全く芽が出ず……」
彼が苦笑しながら頭をかく。
「辞めて正解ね。現実問題、食べていける方が珍しい世界でしょ」
言葉に棘があると自覚しつつ、それでもそんな言葉しか返せなかった。
「そうですね。だからと言うか……、うちの劇団にはルールがあるんです」
その劇団の名は、劇団・七年生というらしい。
大学の演劇サークルのOB達により立ち上げられた貧乏劇団で、そこにはたった一つ、伝統となったルールが存在しているようだった。
それは、二十九歳までに芽が出なかった場合は、即刻就職先を探すこと。三十歳の誕生日を迎える前日に強制退団となる。大学卒業から二十九歳までの七年間を、夢の挑戦期限としており、劇団名はこのルールから名付けられたという。
「三十越えてフリーターの職歴のみって、なかなかその後に社員の企業面接は苦しいじゃないですか。二十代ならまだ、どうにか受け入れてもらえるところもありますけど……。だからうちの劇団には、夢の終了期限があるんです」
「夢の終了期限……」
自身がその期限を迎えた者は『夢の続き』を後輩に託す。そして劇団を辞めた後、出来得る範囲で夢の続きを託した後輩たちの手助けをする。
それが、このルールの全容との事だった。
「僕は親が体調を壊したこともあって、期限より早く諦めることになりましたけど、僕の夢の続きは、しっかり後輩に引き継ぎしてきました」
そう言って、彼が朗らかに笑う。
「夢の引き継ぎ……。とても、素敵な考えね」
思わず、初音も笑みを返していた。
もしも自身の父親に、僅かでもこんな考えがあったなら、自分と母の未来は、今とは違ったものになっていたのかもしれない。
「これ、後輩がでるミュージカルなんですけど、もし都合がよければ、日比野さんもいらっしゃいませんか? このチケットは僕の買い取ったものなのでお金はかかりません! 折角の舞台だから、客席を埋めてやりたくて」
私は今まで、父親を連想させるライブや舞台というものから遠ざかってきた。この先も、見に行くことなど無いと思っている。
けれど、差し出されたチケットを私は受け取っていた。
「……有り難う。チケットのお礼に、今度ランチを奢らせて」
そう言葉を返すと、彼はひどく恐縮しつつも、嬉しそうな笑顔を見せたのだった。
*
そしてある日の営業の帰り道。
塀の上を歩く黒猫を見た彼が、突然大きな声を出したのだ。
「あ、ラッキーキャット! 日比野さん、すみません! ちょっと追いかけてもいいですか?」
「は? ラッキーキャットって? ちょ、ちょっと、真島くん!」
真島くんが黒猫を追い、私がその後を追う。
「ちょっと真島くん! 説明しなさい!」
「幸せの都市伝説なんです!」
「は?」
そうして猫を追ううちに、閑静な住宅街へと進んで行き、そこで私たちは、老婦人と若い女性にでくわした。
「すみません。黒猫を見ませんでしたか?」
真島くんの話では、その黒猫と関わった人はもれなく幸せが訪れる。そんな都市伝説があるという。
馬鹿馬鹿しい。
そう思った。
幼い頃から私は、サンタなんていない事を知っていた。それは私が、とびきり捻くれた子供だったからでは無い。私のためにサンタを演じ、私のための贈り物を用意してくれる。そんな大人が、私のそばに居なかったからだ。
それをしてくれる大人がそばにいたのか。いなかったのか。恐らくそれが、子供にとっての『信じる』を左右する事になる。
私には、信じるに値する思い出がなかった。
老婦人と一緒にいた若い女性は、黒猫のおかげで自身も幸せなことがあったと嬉しそうに話している。きっと、なんの不自由もなく育った人なのだろうと思った。
愛されて、守られて、信じることができる環境で育った人。私には無い。それは手を伸ばしても、自分には一生届くことの無い場所にあるモノだ。
その時、不意に老婦人と目が合った。
優しい目をしている。
なぜだか、懐かしさを感じる瞳。
突然、胸が締め付けられるような思いに襲われ、私は訳も分からず、逃げるようにその場を立ち去った。
あの黒猫と老婦人を見てから心がざわめく。
まだ泣き虫だった弱い自分が顔を出してしまいそうで怖くなるのだ。
ずっと、強くあろうと必死にもがきながら生きてきた。その虚勢が、音を立てて崩れそうで怖い。
そんな思いを抱えながら、私は老婦人に背を向け、そこから逃げるように走り続けたのだった。
「初音って、綺麗な名前ね」
そう言って名前を褒められるたびに、私は苛立ちを覚えていた。
この名をつけたのは、父だ。
私の父は、ひたすら夢だけを追う現実を見れない男で、妻子を持ってなお、好き勝手に夢を追いかけていた。
生きていく為に必要なお金は母が稼ぎ、その上、夢の為にかかる費用まで母に出させていた。そんな生活に疲れ果てた母は心を病み、次第にお酒に溺れるようになっていく。
「その名前は、あの人がつけたのよ」
母は、苛立ちをぶつけるように私の名を呼ぶ。
「なにが、初めての音よ。音楽で食べていける人なんて、一握りもいないのに格好つけて。あの人のせいで私は……」
心を病んだ母を置いて、結局父はまた別の女性の元へと出ていった。女のプライドまで傷付けられた母の心はますます病み、ある夜に初音が息苦しさに目を覚ますと、視界の先に涙を流して私の首を締める母がいた。
「おか……あ……さっ……ん」
「その名前がっ! その名前が! あの人のせいで!」
苦しい。
けれど、幼い頃の私とって母の存在は全てだった。その母親が、自分の名前のせいでこんなにも苦しんでいる。
「おか……さ……っ、ごめ……んね」
私が意識を失う寸前に、母が我に返ったように手を離した。
「初音……! あああっ……な、なんてことを……私はっ……私は、なんてことをっ」
翌朝、母は私の手を引き警察へ行った。
「私はっ……このままじゃ、娘を殺してしまう」
泣き崩れる母は心神喪失で即日入院となり、私は児童養護施設に引き取られる事になった。
私は、もう顔も覚えていない父親を誰よりも恨んでいる。そして、その父がつけた自分の名前を、何よりも憎んでいた。
日比野という苗字は母の旧姓だ。
名前まで改名するには『社会的不都合な事由』というものが必要となり、簡単にできるものではなかった。
美しいその名は、死ぬまで私の心を蝕む鎖だ。
母親が壊れてしまったあの日から、児童擁護施設で一時預かりとなり、親戚中をたらい回しにされ、結局また施設に戻る。そんな日々を、繰り返し生きてきた。
まだ幼かったあの頃に、私はもう、他者を信じる心を手放していた。
私は今年、二十七歳になる。
奨学金や支援制度でなんとか学校を卒業し、中小企業に勤めている。年齢的にも中堅社員となり後輩を指導する立場となった私は、中途採用で入社してきた二十五歳の男性のマンツーマン指導者となっていた。
「真島 秋斗です。宜しくお願いします!」
私が彼に前職の経験を問うと、彼はそれまで社員で働いた経験はなく、劇団に所属し夢を追いかけていたという。それを聞いた私の心に、一気にモヤモヤした思いが広がっていく。
どうしても、父親と重ねてしまうのだ。
「何代も前の大学の先輩が立ち上げた貧乏劇団に入っていたんですが、役者としては全く芽が出ず……」
彼が苦笑しながら頭をかく。
「辞めて正解ね。現実問題、食べていける方が珍しい世界でしょ」
言葉に棘があると自覚しつつ、それでもそんな言葉しか返せなかった。
「そうですね。だからと言うか……、うちの劇団にはルールがあるんです」
その劇団の名は、劇団・七年生というらしい。
大学の演劇サークルのOB達により立ち上げられた貧乏劇団で、そこにはたった一つ、伝統となったルールが存在しているようだった。
それは、二十九歳までに芽が出なかった場合は、即刻就職先を探すこと。三十歳の誕生日を迎える前日に強制退団となる。大学卒業から二十九歳までの七年間を、夢の挑戦期限としており、劇団名はこのルールから名付けられたという。
「三十越えてフリーターの職歴のみって、なかなかその後に社員の企業面接は苦しいじゃないですか。二十代ならまだ、どうにか受け入れてもらえるところもありますけど……。だからうちの劇団には、夢の終了期限があるんです」
「夢の終了期限……」
自身がその期限を迎えた者は『夢の続き』を後輩に託す。そして劇団を辞めた後、出来得る範囲で夢の続きを託した後輩たちの手助けをする。
それが、このルールの全容との事だった。
「僕は親が体調を壊したこともあって、期限より早く諦めることになりましたけど、僕の夢の続きは、しっかり後輩に引き継ぎしてきました」
そう言って、彼が朗らかに笑う。
「夢の引き継ぎ……。とても、素敵な考えね」
思わず、初音も笑みを返していた。
もしも自身の父親に、僅かでもこんな考えがあったなら、自分と母の未来は、今とは違ったものになっていたのかもしれない。
「これ、後輩がでるミュージカルなんですけど、もし都合がよければ、日比野さんもいらっしゃいませんか? このチケットは僕の買い取ったものなのでお金はかかりません! 折角の舞台だから、客席を埋めてやりたくて」
私は今まで、父親を連想させるライブや舞台というものから遠ざかってきた。この先も、見に行くことなど無いと思っている。
けれど、差し出されたチケットを私は受け取っていた。
「……有り難う。チケットのお礼に、今度ランチを奢らせて」
そう言葉を返すと、彼はひどく恐縮しつつも、嬉しそうな笑顔を見せたのだった。
*
そしてある日の営業の帰り道。
塀の上を歩く黒猫を見た彼が、突然大きな声を出したのだ。
「あ、ラッキーキャット! 日比野さん、すみません! ちょっと追いかけてもいいですか?」
「は? ラッキーキャットって? ちょ、ちょっと、真島くん!」
真島くんが黒猫を追い、私がその後を追う。
「ちょっと真島くん! 説明しなさい!」
「幸せの都市伝説なんです!」
「は?」
そうして猫を追ううちに、閑静な住宅街へと進んで行き、そこで私たちは、老婦人と若い女性にでくわした。
「すみません。黒猫を見ませんでしたか?」
真島くんの話では、その黒猫と関わった人はもれなく幸せが訪れる。そんな都市伝説があるという。
馬鹿馬鹿しい。
そう思った。
幼い頃から私は、サンタなんていない事を知っていた。それは私が、とびきり捻くれた子供だったからでは無い。私のためにサンタを演じ、私のための贈り物を用意してくれる。そんな大人が、私のそばに居なかったからだ。
それをしてくれる大人がそばにいたのか。いなかったのか。恐らくそれが、子供にとっての『信じる』を左右する事になる。
私には、信じるに値する思い出がなかった。
老婦人と一緒にいた若い女性は、黒猫のおかげで自身も幸せなことがあったと嬉しそうに話している。きっと、なんの不自由もなく育った人なのだろうと思った。
愛されて、守られて、信じることができる環境で育った人。私には無い。それは手を伸ばしても、自分には一生届くことの無い場所にあるモノだ。
その時、不意に老婦人と目が合った。
優しい目をしている。
なぜだか、懐かしさを感じる瞳。
突然、胸が締め付けられるような思いに襲われ、私は訳も分からず、逃げるようにその場を立ち去った。
あの黒猫と老婦人を見てから心がざわめく。
まだ泣き虫だった弱い自分が顔を出してしまいそうで怖くなるのだ。
ずっと、強くあろうと必死にもがきながら生きてきた。その虚勢が、音を立てて崩れそうで怖い。
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