超次元コンビニ 異世界支店 営業中

速翼

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未開のダンジョン探索 ①

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「え?いいんですか?」


危険そうならいやだけど、興味はある。


「うん。別にいいけ」

「おい、アルシア!」


イラさんがアルシアさんに拳のフルスイング。あぁ痛そう。


「いっ、たいわね!」

「トーカ殿を連れて行ってどうするつもりだ!ダンジョンは危地だぞ。ましてや情報の無いダンジョンに、素人を守りながら挑むなど愚策だ!」


で、ですよねー。いや、分かってましたよ。僕も命張ってまでダンジョン見たい訳じゃないし。


「えー」

「えー。じゃない!アルシア、☆4チームのリーダーの発言じゃないぞ」


そういやアルシアさんはリーダーって言ってたな。☆4って上から2番目のランクなんだよな?そうまでして僕を連れていくなんて...絶対食べ物と『収納』目当てだよね。


「何も不思議な事じゃないわ?いつも大きなアイテムバッグや『アイテムストレージ』スキル持ちの冒険者には、荷物持ちを頼んでるじゃない。彼も『アイテムストレージ』を持っている、ただそれだけよ」

「それはある程度踏破経験のあるダンジョンだからだ!未踏破ダンジョンや初見ダンジョンでは危険だから同☆数以上の冒険者以外は連れていかないだろう」


2人はひたすら論争している。ちなみに僕の『収納』機能は、彼女達の説明を省いたが『アイテムストレージ』というこの世界にある似たような能力として理解されている。


「あ、あの、私は別に無理に付いていかせて頂かなくても...」

「ちょっと、そんな事言わないでよ!私はアナタに来て欲しいのよ!」


正直、ついて行きたくない。聞いてる限りではダンジョンって本当に危なそうだし。


「じゃあ、最初に少しダンジョン内を軽く調べて危なそうなら引き返して私達だけで行くわ。それでいい?」


彼女は僕だけじゃなく、他のチームメンバーにも問いかけている。

と、そこで1人ルインさんがため息をついた。


「無駄だよ、皆。こうなったらアルシアは意固地だもん。それで納得する他ないよ」

「そういうこと!」


アルシアさんが嬉しそうにサムズアップする。これは決まりの流れっぽいね。


「勿論アナタには報酬は支払うわ。なんならこの店が軌道に乗るまで手伝えることは何でもしてもいいわ」


「報酬しだいだけどね」とアルシアさんが言う。まぁ、危険度次第で離脱していいならいいけど。正直ダンジョン見てみたいしね。


「分かりましたよ」

「はい、決まり!」


半ば強引に同行が決まった。そこからはチームの荷物を全部『収納』機能に預けられ、色んな店内の商品も持たされた。さっきの分と含めてちゃんと費用は支払って貰った。勿論現在の価格で。


「それじゃ、このお店は一時閉店。準備出来たら行きましょ」


僕は言われるがまま店を施錠する。これもスマホの『店内管理』機能で一瞬だ。そもそもこれらは『超次元コンビニ』というアプリで一括に纏められているモノで、ヘルプもあるから大体すぐ分かる。『収納』機能もヘルプがあったから色々分かった。だから一つ試してみたい事があった。それは追追。


「でもぉ、随分とぉ、便利ですねぇ」


ふわふわ青髪美女のイマリさんが僕のスマホを不思議そうに覗き込んでくる。あ、いい匂い。おかしいな、この世界ってコスメや柔軟剤が浸透してなさそうなのにこんな優しい匂いが出せるなんて。この人たちはいい匂いが出せるスキルでも持ってるのかな?


「まぁ、これが僕の数少ない、現状食いつなぐ上での必須スキルですからね」

「その現状がぁ、凄く優秀すぎませんかぁ?」

「ありがとうございます」


僕自身が優れている訳じゃないし、素直に喜べないけどね。


「準備出来たなら早くいくわよ」


という事でダンジョン調査に出発。


ダンジョン内も近辺も至って普通の洞窟といった感じだ。特筆すべきは何も無い。ただ、少し明るい気はする。少し奥まで見えるくらいに。


「それじゃ調査開始ね。陣形を組むからトーカは真ん中に居てね。あまり動き回ると守りきれないから気を付けて」

「は、はい」


僕の周りを美女が囲む。なんとも情けなくなるぜ。まぁ、いい気分だけど。

そしてダンジョンに入ってすぐ階段を見つける。


「どうやらこの下から本当にダンジョンのようね」


階段を下りると大きな両開きの扉が現れた。そこでアルシアさんが振り返る。


「いい?この先からはおそらく魔物が現れる。皆気を引き締めて」


皆が静かに頷く。一応僕も頷いておく。するとイマリさんが頷き返してくれた。おぉ、雰囲気出てる。冒険者してる。

アルシアさんが扉をゆっくりと開く。


「おぉ!ゴブリン!スライムも!」


よくゲームで見るようなTheゴブリンといった出で立ちのボロ布を纏った醜い顔の人間の子供サイズの小人と、プルプルしたゼリー状の生物が辺り一面に居た。


「これは、まずいわね」

「まずい?」


アルシアさんは静かに扉を開いた。ゲームだと序盤の雑魚敵っぽいイメージが強いんだけど、まずいの?


「どうする?一時撤退?トーカがいると危ないよ?」


白髪猫耳美少女のマリンさんが入店以来、初めて口を開いた。可愛い声だな。水○○のりさんみたいな声だ。


「あの、どうして危ないんですかね?」


そんな顔するなよ。皆僕の経緯は知ってんだろ?知らねぇもん、ここの常識。よく言うじゃん聞くは一時の恥、聞かぬはナントヤラって。


「あの魔物自体は☆1冒険者でもある程度の経験があれば余裕を持って討伐出来るわ」


アルシアさんが口を開く。そして変わるように茶髪ツインテ美女のルインさんも口を開く。


「でもさっきも見たように数が多いんだよ。幸いにもここはおそらくパッシブタイプのダンジョンだから、この扉を出るまでは襲って来ないよ。だけど、一度奴らに攻撃したら」

「したら?」


ちょっと予想出来て僕は唾を飲み込む。


「一斉に襲われちゃうね」


やっぱりね。僕は戦えないからそれじゃ困ると。そこで黒髪袴美女のイラさんが変わる。


「別に我らはこの程度の魔獣が集まった所で問題はないが、トーカ殿を守りながら戦うというのは骨が折れるという事だ」


つまり、僕は回れ右と。


「それじゃあ、一つ試してみたい事があるんですけど良いですか?」

「え、なになに!」


アルシアさんの食いつきはいいな。そんなにくっつかれると少し面食らうんだけど。


「僕のスキルを試してみたいんですけど」


『収納』のヘルプ画面にはこう書かれていた。


なんでも90種類まで実態のない状態で保存出来る。いつでも取り出し可能でこれといった制限はない。収納中の物は最適の状態で、時間が停止し保存される。『収納』機能は端末で操作できる。


などこの先もと長々と書かれているが、最後に


生物等にも制限はない、指定範囲は端末所有者の半径100m。同時指定数制限無し。


っていうことが書かれている。おそらく、魔物もいける。


「もしかしたら魔物も収納出来るかもしれません」

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