同級生で美少女の巫女さんが、陰キャの俺に興味を持って追いかけてくるのは何故なのか?

波瀾 紡

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【18:GWの予定】

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◆◇◆

 数日後、ゴールデンウイーク前最後の授業が終わり、放課後のホームルームで担任の小町先生がみんなに言った。

「明日からゴールデンウイークです。大事な高三の時期だから、羽目を外さないで、ちゃんと勉強もするんだぞー」

 ここ数日は日和も神凪も大人しくしてくれたおかげで、そして変な邪神とかも現れることもなく、平和な日々を過ごせた。

 そして明日からはお待ちかねの大型連休だ。全力でだらだらして過ごそう!

 そうだ。日和には、休みの日にたい焼きを買ってやる約束をしたな。でも後は、ゲーム三昧、昼寝三昧だ。

「天心君は、ゴールデンウイークはどこか行くの?」

 帰ろうかと席から立ち上がったところで、神凪が小声で訊いてきた。

「いや、どこも」
「じゃあちょっと付き合って」
「どこに?」

 休みの日にわざわざ会うなんて、何を企んでるんだ?

「天心君のおうちの新築現場」
「えっ?」
「地鎮祭の時にいた貧乏神。ホントにいなくなったのか心配だから、見に行きたいの。ウチの神社の責任だからね。連休中は工事が休みだと思うし」
「神凪一人で行けばいいじゃん」
「勝手に建築現場に入って行くのは気が引けるから、お施主《せしゅ》様と一緒にね」
「おせしゅさま? 何それ?」
「建築主のことよ。そんなのも知らないの?」

 知らん。
 バカで悪かったな。

「やっぱりタワケね」
「タワケ?」
「名古屋の人はバカって言われると腹が立つから、使い慣れたタワケって言われたほうがいいんでしょ?」
「なんで俺が名古屋人なんだ? いったいどこからその情報を仕入れたんだ?……って、同じようなくだりが、前もなかったか?」

 神凪は「そうかもね」と言いながら、くくくと笑ってる。

 あれ? もしかして、俺、遊ばれてる?

「まあそんなことより、明日のお昼一時でいい?」
「あ、えっと……」

 まだ一緒に建築現場に行くって決めてないけど、『陰かわ眺め会』のメンバーが三人揃ってこっちを睨んでる。

「わかった」
「じゃあ現地で待ち合わせね」

 そう言い残して、神凪は帰って行った。


 話が長引いて高木達の恨みを買うのが嫌で、ついオーケーしちまった。

 新しい我が家がちゃんと建つか気になるし、まあいいか。





「天心くーん、今帰りですかぁ?」

 学校を出て下校路を歩いてると、後ろから間延びした声が聞こえる。日和だ。

「ああ」
「久しぶりに、一緒に帰りましょ」

 周りを見回すと、他の生徒はほとんどいない場所まで来てるし、良しとしよう。

「何の用だ?」
「用事がなきゃ、話しかけたらダメなんですかぁ? ぐすん」
「あ、いや、そうじゃないけど……いつも言ってるみたいに、学校のやつらがいる所ではあんまり親しげにしてるとまずいんだよ」
「用事は、いつ、たい焼きを買いに行くのかを決めときましょうってことですゥ」
「なんだそりゃっ?」

 おーい! ちゃんと用があるじゃないかー

 それならややこしいこと言わないで、用件を言えよ。

 ──と思ったけど、話が長くなるから言うのはやめた。

「明日から連休だしどうせ暇だから、まぁいつでもいいよ」
「じゃあ明日行こうよぉ。午前中は色々あるし、昼から」
「あっ、明日の昼からは用事がある」
「えぇ~っ? いつでもいいって言ったのにィ。天心君は嘘つきですゥ」

 日和はうるうるした目で、俺を見つめてる。

「いやいや、こんなことで嘘つき呼ばわりするな。唯一予定があるのがそこだ」
「なんの予定ですかぁ?」
「な、なんでもいいじゃないか」

 神凪と二人で出かけるなんて言えない。
 例えそれが建築現場の貧乏神を確認するという目的であってもだ。

 日和はきっと変な誤解をするに決まってる。

「隠すなんて怪しいですぅ」
「あ、怪しくなんかない!」
「焦るなんて怪しいですぅ」
「あ、あせっ、焦ってなんかない!」

 日和は俺の顔をじっと見てる。
 マズいな。なんといっても幼なじみで、付き合いが長い。見破られたらどうしよう。

「やっぱり天心君は何かを隠してますね?」
「違うって」

 できるだけ冷静を装ってるけど、このドキドキは耐えがたい! 胸が苦しい。

「わかった! 私に黙って、美味しい物を食べに行くのですね? 天心君、酷いですぅ!」

 へっ?
 日和は今にも泣き出しそうな顔をしてる。どうやら本気で言ってるみたい。

「あ、ば……ばれたか。さすが幼なじみの日和だ。う、嘘はつけないなぁ。あはは」
「私は天心君のことなら、なんでもわかりますぅ。私に嘘はつけないですよ?」

 日和は『えへん!』って感じの顔で、得意げだ。いや、長い付き合いの割に全然俺のことわかってないけど、大丈夫か?

「そうだな。日和には敵わないなぁ」
「でしょ?」

 日和はえらくご機嫌な笑顔でにんまりとした。普段はほとんど日和を女の子として意識してないけど、さすがにコレはドキッとした。

 神凪はスリムで顔もシュッとしてるけど、日和は付くべき所に肉が付いて、顔も柔らかくて優しい感じ。

 まあ男子たちに人気なのもわかる、可愛い系の美少女だもんな。

「うん。でもさぁ日和。日和にはたい焼きを奢るんだから、明日の美味しいモノは俺一人で食いに行くぞ。それは譲れない!」
「ふわぁい。わかったのじゃ」

 なんでいきなり、侍口調なんだ?
 可愛いじゃないか!

「じゃあ、他の日でいいですぅ。その代わりお詫びに、たい焼きを3個奢ってくださいね」

 いくつ食うんだよっ!
 食いしんぼさんかっ!?

 でもそれで万事うまく収まるんなら、まあいいか。

「いいけど。じゃあ明後日な」
「やったーぁ! たいやっき、たいやっき!」

 日和はにっこにこして喜んでる。たい焼きひとつでこんなに幸せになれるなんて、いいな。
 ──いや、たい焼き三つか。

 でもゴールデンウイークはだらだらしようと考えてたのに、二日も予定が入ってしまったよ。

 まずは明日、神凪と建築現場だな。何も起こらなければいいけど……
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