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【36:謎の転校生】
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◆◇◆
ゴールデンウイークが終わって、久しぶりの学校が始まった。
俺はショッピングモールに行った翌日からは、ほとんど家でゲームしたりネット動画を見て過ごしたから、なんだか身体がなまっててだりぃ。でもまたいつもの日常に戻るのに、一日もあれば慣れるだろ。
そう考えて、登校して席に座ると、すぐに机に突っ伏した。
「天心君、おはよー!」
ん? さくらの声がした。だけどやけに明るくハイテンションだ。教室内でこんな声を出すなんて珍しい。他のクラスメイトが訝しげに思うだろ。
そう思って机から顔を上げたら、にっこにこしてるさくらと、横に仲良く日和も立ってた。
「天心君、おはようですぅ!」
こっちもご機嫌な感じだ。
二人揃って登校してきて、しかも二人ともご機嫌な感じなんて珍しい。
「二人一緒に登校なんて、珍しいな」
「ああそうね。あの一件以来、日和ちゃんと仲良くなっちゃって。ゴールデンウイーク中あの後二回も、一緒に遊びに行っちゃった」
「えっ? そうなの?」
「そうなんですぅ」
意外だ。俺の知らない間に、さくらと日和がそんなに仲良くなってたなんて、全然知らなかった。
まあそれはそれでいいとして、また人気ナンバーワン・ツーの二人が仲良く俺に話しかけてるって絵柄はまずいよな。
でもあんまり強く言うのも悪いから、ちょっと声をひそめて優しく二人に言った。
「あの……前から言ってるように、お前ら人気女子と仲良くしてると、俺が恨まれるしさ。それにお前らも変なヤツ扱いされるから、教室内ではさり気なく接したほうがいいと思うんだけど……」
さくらと日和は二人で顔を見合って、そしてにっこり笑顔で俺を見た。なんだろ? 何か二人で示し合わせてるような感じ。悪い予感しかしない。
「それだけどね、天心君。もう別にいいよね」
「な、なにが?」
「みんな素直に、本音を出して過ごしましょうってことですぅ」
へっ? どういうこと? 意味がわからん。
「天心君は陰キャでもなんでもないし、女の子にモテたっておかしくないってことを、みんなにわかってもらったらいいでしょ」
「そうでスよぉ」
さくらも日和も簡単にそんなことを言うけど、そんなことできないだろ。特に『陰かわ眺め会』の面々の嫉妬心なんて、相当根深いんだぞ。
「私たちも、天心君と仲良くして変なヤツだなんて思われないよ。……もしもそう思う人がいたら、天心君がいかに素晴らしい人かってことを、私たちが広めるから」
「えっ?」
さくらはなんだか凄く俺を買いかぶってないか? どうしたんだ、急に。
「私もね、みんなの前でももう清楚を装ったりするのは完全にやめて、自分の気持ちや感情を素直に言うことにした! 自分を隠してても、なんの得もないってわかった」
えっ? チョイ待て。なんか俺の株がこいつの中で急上昇!? それはありがたいけど、そこまで言ってくれなくてもいいぞ。
「だからね!」
さくらが急に声の大きさとトーンを上げた。
なんだ? どうした?
周りを見回すと、クラスのみんなも、何ごとかとこっちに注目してるじゃんか。
「私たちは、柴崎天心ファンクラブを結成しましたー!! 私、神凪さくらが、会員番号1番でーす!」
「月影日和は、会員番号2番なのじゃ!」
はぁーっ!? マジ!?
「チョイ待て、お前ら。そう言ってくれるのはとても嬉しいんだけど、トラブル発生の予感しかしないぞ!」
さくらと日和が大きな声で、二人ともが俺のファンクラブ会員だなんて宣言したもんだから、教室中がパニックになったようにどよめいた。
「えっ? 神凪さんてそんなキャラだった?」
「二人揃って柴崎のファンクラブだなんて、あいつら気が狂ったのか?」
「あれって、何かのネタだろ?」
色んな声が聞こえてくるけど、ほぼすべてがネガティブ発言だ。
高柳は前の席から振り返って、ぽかんと口を開けて、信じられないって顔をしてる。『陰かわ眺め会』の面々なんて、顔面蒼白だ。そして、でぶっちょの高木とメガネの仲本が、鬼の形相になって俺を睨みだした。エライこっちゃ。
俺が彼らを気にしてることに気づいたさくらが、「あの子達も一緒に仲良くすればいいでしょ?」と言った。
確かにそうしたら、あいつらは喜んで嫉妬を軽減できるかもしれない。
それはそうかもしれないけど、ホントに大丈夫だろうか? これからどうなってしまうんだ?
その時朝のホームルームの予鈴が鳴って、それと同時に担任の小町《こまち》先生が教室に入ってきた。
今日は先生が来るのがえらく早いな。連休明け初日だから、色々と連絡事項とか溜まってるのか? でもおかげで教室のどよめきも収まって助かった。
「はーい、みんな席に着いて! 今日は転校生を紹介するぞー!」
先生に続いて、背が高くてやや茶色い長髪で、ビジュアルバンドのボーカリストみたいに整った顔の男子が教室に入ってきた。
めっちゃイケメンだ。教室中の女子がどよめいてる。「キャー」とか悲鳴を上げてるヤツすらいてる。
転校生?
高校で、しかもゴールデンウイーク明けのこのタイミングなんて、めちゃくちゃ珍しいな。何かよっぽどの事情があるんだろうか。
小町先生が教壇に立って、彼の名前を黒板に板書しながら、転校生を紹介した。
「家庭の事情で急きょ我が校に転入してきた、二階堂 幽君です」
「はじめまして、二階堂 幽です。よろしくお願いします」
長髪の前髪をかき上げながら、転校生は名乗った。なんかキザなヤツだな。でも教室のあちこちから「カッコいい」っていう女子のため息が聞こえてくる。
まあ、俺には関係ないし、きっとあんまり俺は仲良くなれなさそうなタイプだし。
そう思って、転校生君のことはあまり気にしないことに決めた。
ゴールデンウイークが終わって、久しぶりの学校が始まった。
俺はショッピングモールに行った翌日からは、ほとんど家でゲームしたりネット動画を見て過ごしたから、なんだか身体がなまっててだりぃ。でもまたいつもの日常に戻るのに、一日もあれば慣れるだろ。
そう考えて、登校して席に座ると、すぐに机に突っ伏した。
「天心君、おはよー!」
ん? さくらの声がした。だけどやけに明るくハイテンションだ。教室内でこんな声を出すなんて珍しい。他のクラスメイトが訝しげに思うだろ。
そう思って机から顔を上げたら、にっこにこしてるさくらと、横に仲良く日和も立ってた。
「天心君、おはようですぅ!」
こっちもご機嫌な感じだ。
二人揃って登校してきて、しかも二人ともご機嫌な感じなんて珍しい。
「二人一緒に登校なんて、珍しいな」
「ああそうね。あの一件以来、日和ちゃんと仲良くなっちゃって。ゴールデンウイーク中あの後二回も、一緒に遊びに行っちゃった」
「えっ? そうなの?」
「そうなんですぅ」
意外だ。俺の知らない間に、さくらと日和がそんなに仲良くなってたなんて、全然知らなかった。
まあそれはそれでいいとして、また人気ナンバーワン・ツーの二人が仲良く俺に話しかけてるって絵柄はまずいよな。
でもあんまり強く言うのも悪いから、ちょっと声をひそめて優しく二人に言った。
「あの……前から言ってるように、お前ら人気女子と仲良くしてると、俺が恨まれるしさ。それにお前らも変なヤツ扱いされるから、教室内ではさり気なく接したほうがいいと思うんだけど……」
さくらと日和は二人で顔を見合って、そしてにっこり笑顔で俺を見た。なんだろ? 何か二人で示し合わせてるような感じ。悪い予感しかしない。
「それだけどね、天心君。もう別にいいよね」
「な、なにが?」
「みんな素直に、本音を出して過ごしましょうってことですぅ」
へっ? どういうこと? 意味がわからん。
「天心君は陰キャでもなんでもないし、女の子にモテたっておかしくないってことを、みんなにわかってもらったらいいでしょ」
「そうでスよぉ」
さくらも日和も簡単にそんなことを言うけど、そんなことできないだろ。特に『陰かわ眺め会』の面々の嫉妬心なんて、相当根深いんだぞ。
「私たちも、天心君と仲良くして変なヤツだなんて思われないよ。……もしもそう思う人がいたら、天心君がいかに素晴らしい人かってことを、私たちが広めるから」
「えっ?」
さくらはなんだか凄く俺を買いかぶってないか? どうしたんだ、急に。
「私もね、みんなの前でももう清楚を装ったりするのは完全にやめて、自分の気持ちや感情を素直に言うことにした! 自分を隠してても、なんの得もないってわかった」
えっ? チョイ待て。なんか俺の株がこいつの中で急上昇!? それはありがたいけど、そこまで言ってくれなくてもいいぞ。
「だからね!」
さくらが急に声の大きさとトーンを上げた。
なんだ? どうした?
周りを見回すと、クラスのみんなも、何ごとかとこっちに注目してるじゃんか。
「私たちは、柴崎天心ファンクラブを結成しましたー!! 私、神凪さくらが、会員番号1番でーす!」
「月影日和は、会員番号2番なのじゃ!」
はぁーっ!? マジ!?
「チョイ待て、お前ら。そう言ってくれるのはとても嬉しいんだけど、トラブル発生の予感しかしないぞ!」
さくらと日和が大きな声で、二人ともが俺のファンクラブ会員だなんて宣言したもんだから、教室中がパニックになったようにどよめいた。
「えっ? 神凪さんてそんなキャラだった?」
「二人揃って柴崎のファンクラブだなんて、あいつら気が狂ったのか?」
「あれって、何かのネタだろ?」
色んな声が聞こえてくるけど、ほぼすべてがネガティブ発言だ。
高柳は前の席から振り返って、ぽかんと口を開けて、信じられないって顔をしてる。『陰かわ眺め会』の面々なんて、顔面蒼白だ。そして、でぶっちょの高木とメガネの仲本が、鬼の形相になって俺を睨みだした。エライこっちゃ。
俺が彼らを気にしてることに気づいたさくらが、「あの子達も一緒に仲良くすればいいでしょ?」と言った。
確かにそうしたら、あいつらは喜んで嫉妬を軽減できるかもしれない。
それはそうかもしれないけど、ホントに大丈夫だろうか? これからどうなってしまうんだ?
その時朝のホームルームの予鈴が鳴って、それと同時に担任の小町《こまち》先生が教室に入ってきた。
今日は先生が来るのがえらく早いな。連休明け初日だから、色々と連絡事項とか溜まってるのか? でもおかげで教室のどよめきも収まって助かった。
「はーい、みんな席に着いて! 今日は転校生を紹介するぞー!」
先生に続いて、背が高くてやや茶色い長髪で、ビジュアルバンドのボーカリストみたいに整った顔の男子が教室に入ってきた。
めっちゃイケメンだ。教室中の女子がどよめいてる。「キャー」とか悲鳴を上げてるヤツすらいてる。
転校生?
高校で、しかもゴールデンウイーク明けのこのタイミングなんて、めちゃくちゃ珍しいな。何かよっぽどの事情があるんだろうか。
小町先生が教壇に立って、彼の名前を黒板に板書しながら、転校生を紹介した。
「家庭の事情で急きょ我が校に転入してきた、二階堂 幽君です」
「はじめまして、二階堂 幽です。よろしくお願いします」
長髪の前髪をかき上げながら、転校生は名乗った。なんかキザなヤツだな。でも教室のあちこちから「カッコいい」っていう女子のため息が聞こえてくる。
まあ、俺には関係ないし、きっとあんまり俺は仲良くなれなさそうなタイプだし。
そう思って、転校生君のことはあまり気にしないことに決めた。
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