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【46:その蓋をこじ開ける】
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日和と二階堂、そして凪桑神様は三人とも何やらぶつぶつと呪文を唱えてる。いったいに俺に何をしようと言うのか。いや、そんなことはどうでもいい。俺はとにかく、柴崎天心だ! 絶対に天頂神なんかになるもんか。絶対にさくらを置いて、天の国なんかに行くもんかっ!!
その時三人が、声を揃えて「はぁーっ!!」と叫んだ。その瞬間、頭の中に白い光がスパークする。
なんだこれ?
なんだ……これ?
なんだ……
なん……
◆◇◆
「天頂神様。天頂神様」
誰かが俺の身体をゆすってる。俺の名前を呼ぶのは誰だ?
「天頂神様、大丈夫ですか?」
目を開けると、目の前にいたのは凪桑神殿だ。
「おお、凪桑神殿。ここは?」
「気が付かれましたか。よかった」
凪桑神殿は微笑んで、「あなた様のお名前は?」とおかしなことを訊いてきた。
「俺の名は天頂神だ。お前もさっき、そう呼んでおったろうが。おかしなことを言う凪桑神殿だな」
どうやら俺は気を失って、倒れていたようだ。身体を起こして周りを見回すと、ここはどこかの神社の神殿内のようだ。凪桑神殿以外に、人間が二人。
「お前たちは……」
そこまで言って、思い出した。
一人は俺と一緒に人間界に転生修行していた、月影日和こと空司守。そしてもう一人は、最近人間界に様子を見に来たと言った堂宮神だ。二階堂という人間の姿の後ろに、堂宮神の本当の姿が見える。懐かしい。
「天心くーん、思い出しましたか?」
「ん……」
頭を少し振ると、すっきりしてきた。もちろん、すべて覚えている。天頂神としての我が身。そして人間界で修行をしてきた柴崎天心としての17年間。両方の記憶がしっかりと自分の中にある。天の国の理と人間界の理。そのすべてがちゃんと己が頭の中に存在する。
まあ修行とは言っても、まったくもって成長が遅い、ダメな自分であったが。
「ああ、大丈夫だ空司守」
「よかったですぅ。ぐすん」
「ばかもの。泣くな」
「だって……ホントにうまくいくか、心配だったんですよぉ」
「そうか、心配かけたな空司守。でも、もう大丈夫だ。すべて思い出した」
「じゃあ天頂神様が天の国に戻って、混乱を収めなきゃいけないってことも?」
「ああ、それが自分の役目だということもわかっておる」
空司守は天の国でも人間界でも、長きにわたって俺を助けてくれている、大切な部下だ。心配をかけてしまって本当にすまない。
「じゃあ、一刻も早く天の国に戻っていただきたいのですが、よろしゅうございますか?」
堂宮神が頭を下げて、恭しく問うてきた。
「ああ、もちろん。今すぐ参ろう」
「はっ。かしこまりました」
「はい。私も一緒に行くですぅ」
そうだ。隣の拝殿には、凪桑神殿が時空を止めたままの神凪さくらとその父がいる。
「ちょっと待ってくれ。さくらの顔を見てから天の国に行きたい」
拝殿に戻り、凪桑神殿の術によって動きが止まった巫女姿のさくらの顔を見つめる。
──美しい。そして愛おしい。
さくらの顔を脳裏に焼き付ける。大変な大仕事をするにあたり、さくらの姿を思い出すことは我の力になるはずだ。
「さあ待たせたな、空司守、堂宮神。そろそろ参ろうか」
「はっ、天頂神様」
「はい~、天頂神様」
「凪桑神殿。我々が完全に立ち去ってから、さくら達にかけた術を解いてやってくれよ」
「はい、かしこまりました。お気をつけて」
「うむ」
◆◇◆
私はいったいどうしてたんだろう? 確かお父さんと一緒に、天心君たちに祈願をしてたはずなのに。気がついたら拝殿の中にはお父さんと私しかいなくて、天心君も日和ちゃんも二階堂君もいなくなってた。
みんながいつの間に帰ったのか、全然記憶がないんだけど……
それにしても、特に天心君、ひどくなーい?
ああやって告白してくれたのは凄く嬉しかった。だけどその相手を、知らない間にほったらかして帰るってどういうこと?
この後ジェラートを奢ってくれる約束はどうなったの? ジェラート食べたぁい!
でももしかしたら何かあったのかも。
とりあえず『どうしたの? 帰った?』ってラインを送ってみよっと。
夜まで待ったけど、天心君からは何の返事もない。メッセージに既読もつかない。
もう一度『大丈夫?』っていうメッセージを送る。日和ちゃんと二階堂君にも、『無事に帰れた?』というメッセージを送った。
だけど夜の12時になっても、三人とも既読すら付かない。なんで?
その時三人が、声を揃えて「はぁーっ!!」と叫んだ。その瞬間、頭の中に白い光がスパークする。
なんだこれ?
なんだ……これ?
なんだ……
なん……
◆◇◆
「天頂神様。天頂神様」
誰かが俺の身体をゆすってる。俺の名前を呼ぶのは誰だ?
「天頂神様、大丈夫ですか?」
目を開けると、目の前にいたのは凪桑神殿だ。
「おお、凪桑神殿。ここは?」
「気が付かれましたか。よかった」
凪桑神殿は微笑んで、「あなた様のお名前は?」とおかしなことを訊いてきた。
「俺の名は天頂神だ。お前もさっき、そう呼んでおったろうが。おかしなことを言う凪桑神殿だな」
どうやら俺は気を失って、倒れていたようだ。身体を起こして周りを見回すと、ここはどこかの神社の神殿内のようだ。凪桑神殿以外に、人間が二人。
「お前たちは……」
そこまで言って、思い出した。
一人は俺と一緒に人間界に転生修行していた、月影日和こと空司守。そしてもう一人は、最近人間界に様子を見に来たと言った堂宮神だ。二階堂という人間の姿の後ろに、堂宮神の本当の姿が見える。懐かしい。
「天心くーん、思い出しましたか?」
「ん……」
頭を少し振ると、すっきりしてきた。もちろん、すべて覚えている。天頂神としての我が身。そして人間界で修行をしてきた柴崎天心としての17年間。両方の記憶がしっかりと自分の中にある。天の国の理と人間界の理。そのすべてがちゃんと己が頭の中に存在する。
まあ修行とは言っても、まったくもって成長が遅い、ダメな自分であったが。
「ああ、大丈夫だ空司守」
「よかったですぅ。ぐすん」
「ばかもの。泣くな」
「だって……ホントにうまくいくか、心配だったんですよぉ」
「そうか、心配かけたな空司守。でも、もう大丈夫だ。すべて思い出した」
「じゃあ天頂神様が天の国に戻って、混乱を収めなきゃいけないってことも?」
「ああ、それが自分の役目だということもわかっておる」
空司守は天の国でも人間界でも、長きにわたって俺を助けてくれている、大切な部下だ。心配をかけてしまって本当にすまない。
「じゃあ、一刻も早く天の国に戻っていただきたいのですが、よろしゅうございますか?」
堂宮神が頭を下げて、恭しく問うてきた。
「ああ、もちろん。今すぐ参ろう」
「はっ。かしこまりました」
「はい。私も一緒に行くですぅ」
そうだ。隣の拝殿には、凪桑神殿が時空を止めたままの神凪さくらとその父がいる。
「ちょっと待ってくれ。さくらの顔を見てから天の国に行きたい」
拝殿に戻り、凪桑神殿の術によって動きが止まった巫女姿のさくらの顔を見つめる。
──美しい。そして愛おしい。
さくらの顔を脳裏に焼き付ける。大変な大仕事をするにあたり、さくらの姿を思い出すことは我の力になるはずだ。
「さあ待たせたな、空司守、堂宮神。そろそろ参ろうか」
「はっ、天頂神様」
「はい~、天頂神様」
「凪桑神殿。我々が完全に立ち去ってから、さくら達にかけた術を解いてやってくれよ」
「はい、かしこまりました。お気をつけて」
「うむ」
◆◇◆
私はいったいどうしてたんだろう? 確かお父さんと一緒に、天心君たちに祈願をしてたはずなのに。気がついたら拝殿の中にはお父さんと私しかいなくて、天心君も日和ちゃんも二階堂君もいなくなってた。
みんながいつの間に帰ったのか、全然記憶がないんだけど……
それにしても、特に天心君、ひどくなーい?
ああやって告白してくれたのは凄く嬉しかった。だけどその相手を、知らない間にほったらかして帰るってどういうこと?
この後ジェラートを奢ってくれる約束はどうなったの? ジェラート食べたぁい!
でももしかしたら何かあったのかも。
とりあえず『どうしたの? 帰った?』ってラインを送ってみよっと。
夜まで待ったけど、天心君からは何の返事もない。メッセージに既読もつかない。
もう一度『大丈夫?』っていうメッセージを送る。日和ちゃんと二階堂君にも、『無事に帰れた?』というメッセージを送った。
だけど夜の12時になっても、三人とも既読すら付かない。なんで?
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