【完結】護衛騎士の忠誠は皇子への揺るぎない溺愛

卯藤ローレン

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19. 主人を侮辱する奴は

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 その日、ブラッドリーには久しぶりの休暇が与えられた。
 皇城勤めの近衛騎士ならば交代で休みも取得できようが、第四皇子唯一の護衛騎士には基本的にその機会は巡ってこない。
 ブラッドリー自身、さほど休みに興味もないので、労働環境に不満はなかった。

 常に誰かしらの気配があり人間の坩堝である城の中では、神経を張りつめていなければならないが、シェルエンの邸の中はいつも穏やかな風が吹いている。
 主人がひとり暮らしということで、使用人たちの仕事量はさほど多くない。
 来客も頻繁ではないので、殺伐と動き回ることもない。
 城のように、極めて厳つい形相で指示出しをしまくるメイド長も執事もいないため、働く人々はのびのびとしている。

 のんびりとしていてストレスもないので、ともすれば毎日が休みのような雰囲気さえある。

 だからこそより一層、ブラッドリーには休みが欲しいという欲求がなくなっていた。

 とはいえ今日は降って湧いた休日だ。
 一昨日の夜にいきなり告げられた。

 理由は、シェルエンが皇帝陛下に定期謁見をしている日であり、その後に皇族の面々と昼食会、さらには演劇鑑賞をする恒例行事があるからだという。
 護衛騎士は必要不可欠だろうから共に行く、と述べたブラッドリーに、シェルエンは静かに首を振った。
 聞けば当日は、鷲と剣二本がモチーフとなった国の紋章入りの馬車が、邸の門の前に横づけされるらしい。
 白い騎士服の集団を伴って。

 「正直、私の知る中ではブラッドリーが一番強いので、そばにいてほしいというのが本音です」と素直な感想をくれた皇子に、自分も一緒に行きたいと切々と訴えたが、結局聞き入れてはもらえなかった。
 準備を整えた皇帝陛下の顔を潰すことになるから従わなければ、と言われれば、それ以上強く意見することは出来なかった。

 その時に、少しだけふてくされた気持ちが芽生えたことに、ブラッドリーは驚いた。

 それは意見が通らなかったことに対してではない。
 シェルエンを護る立場を、誰かに譲らなければならなかったことに対してだ。
 自分でも意外だった。
 あまり何にも深入りしないタイプだと自己分析をしていたのに、そんな自分の心に生まれた説明のしづらい曖昧な感情。
 掴みどころのないそれはじわりと呼吸して、やがて消えた。

「行ってきます、ブラッドリー。休暇を楽しんでください」

 馬車に乗って去って行った皇子の微笑を、門の外でしばらく反芻していた。




 というわけで休みだ。
 こういう日は年に何回かあるようで、使用人一同は気ままに過ごすのが定番らしい。
 通常業務を終えた者から自由解散となる。

「妻と食事に行って参ります」
「私はメイド仲間とカフェ巡りに行ってきます!」
「私は惰眠を貪ろうかと思います。一日しかない休みに動き回ると、肩が凝っちゃいますから」

 家令、メイド、フットマンの三名も思い思いに過ごすらしい。
 シェルエンが邸に戻る夜にまた会おう、と散り散りになっていった。

 さて、ブラッドリーはというと。

「暇だ……」

 騎士団配属だった頃も所々で休みはあった。
 第二にいた頃はシフト制で休暇を取り、第一の頃は遠征に出ると長いので、帰ってきてからまとまった休日を取っていた。
 時間の使い方は正直あまり上手なタイプではない。

 第二の実家、というよりはむしろこっちの方が本物の実家だとさえ感じている叔父のタウンハウスに数日滞在するのが主で、あとはナーファや友人たちと飲みに行くのがほとんどだった。
 特定の恋人を作ってこなかったブラッドリーには、がむしゃらに会いたいと思える愛しい人はいない。
 とはいえ男だししっかりと性欲もあるので、娼館を訪ねて発散することもあった。
 馴染みはいない、後腐れのない一夜限りが好みだった。

 だが今日は不思議なことに、どれをしたい気にもなれない。
 ふいに思い出すのは、銀白の麗人ばかりで、何をしていても集中できなかった。
 自重の筋トレにもいまいち身が入らず、そんな自分に苛々して、庭を百周ランニングした。

 庭園に新しい花を植えていたフィリパに、凄まじく怪訝な顔をされた。
 「不在で手持ち無沙汰になるなんていうのは、それが世界の中心としてチューニングされ始めてるってことだな」と言われて、その意味の理解しきれず、ブラッドリーの方が怪訝な顔になったりした。

 水浴びをして私服に着替えた。
 ただの白いシャツにズボンなのだが、あまりにも久しぶりな感覚がして一瞬目眩がするようだった。
 碧の騎士服に馴染みすぎてしまっている。

 夕方過ぎに邸を出て、小ファーセスを見て回った。
 酒場のある一帯は親友と足を運んだことがあるので知っているが、意外とその他のエリアについては疎かった。
 火事の際に走り抜けた大通り沿いの土地勘もなかったため、今一度巡ってみようと思ったのだ。
 シェルエンが大切にしている場所をもっとよく知りたいというのは、あの火事以降に強くなった思いだ。

 大火に飲み込まれた十六区だったが、その復興は驚異のスピードで行われた。
 シェルエンは十六区と十七区の区長と翌日午後に面談し、被害状況の確認を行った。
 罹災者には国と領主それぞれからの見舞金が送られ、住処が潰れた者には新居が建つまでの期間内に空き家を無償提供すると約束された。
 皇都以外から広く大工が呼び寄せられていて、家屋は日に日に形を成していっている。
 さらに、火事で怪我をした者の治療費は無料とし、商売が出来なくなった店への補償金も支払われた。

 この一連の作業を、シェルエンはたったの三日で滞りなくやり切った。
 その間はアフタヌーンティーの時間をなくして朝から晩まで書斎で過ごし、必要な人物と速やかに会い、皇城とは伝書鳩で何度もやり取りをし、即断即決で住民の生活を整えた。
 その決断力と実行力は、騎士団長の叔父でさえもおそらく舌を巻くであろうものだった。

 後処理においても英雄だった。
 山積する課題を華麗に捌いていく姿に、ブラッドリーは束の間見惚れてしまった。
 手の甲の皮膚を力の限り抓ることで、何とか誤魔化した。

 その時のことを思い出しながら街を歩く。

 復興作業中の十六区、公園や工房の多い十七区、そして酒場やカフェがひしめき合う十九区。
 どこも活気があって、住民たちの楽し気な笑い声に溢れている。
 第二騎士団の頃に郊外の大きな都市に滞在していたが、ここまで人口の多い街も店の多い街もなかった。
 暮らしやすく商売がしやすい、それが小ファーセスが愛される理由だと聞く。

「いらっしゃいませ。お兄さんひとり?」

 ブラッドリーはふらりと路地裏の酒場に立ち寄った。
 初めて訪れた店だ。
 入口は小さく狭いが奥行きのある店内は、七割方が埋まっている。
 夕飯時にはまだ早い時間帯なのに、人気店のようだ。
 知らなかった。

 カウンターの中にいた女性店員に声を掛けられた。

「ひとり」
「カウンターにどうぞ。何飲みます?」
「とりあえず、蜜エールをください」
「お待ちください」

 座りながら注文する。
 臙脂色の髪にシナモンの瞳を持つ女性店員は、背後に並んでいる樽からグラスに移した液体をブラッドリーの前に置いた。

「お兄さん、お腹は空いている?」
「まぁまぁかな。おすすめは?」
「白インゲン豆と鴨の煮込み。あと、チーズもいいのがあるわよ」
「じゃあ、どっちも貰おうかな」

 女性はテキパキとした動作で料理を用意していく。
 ホール担当の店員が伝えにきたオーダーにも手際よく応えていく。
 頬杖をついてなんとはなしに見つめた。

「お兄さん、ここら辺の人じゃないでしょ? 初めて見た、かっこいい」
「うんうん、すっごく美形。ねぇねぇ、彼女いたりするの?」
「あ、ズルい! 私だってお話したいのに!」

 気づくとブラッドリーは、ホール担当の女性たちに囲まれていた。
 殺気のない気配には少々気づきにくい。
 座っているため必然的に上から降ってくる彼女たちの言葉に、ちらりと視線を投げたブラッドリーは、苦笑いだけを零して何も答えなかった。

「あ、なにその意味ありげな微笑み。 やだ、そんなのもかっこいい」
「うんうん、こういうのに慣れてる感じがしてときめいちゃう。ねぇねぇ、彼女は?」
「てか、なんなら一晩だけでもいい! 相手してほしい!」

 やかまし三人娘はオーダーそっちのけでブラッドリーに話しかけまくる。

「仕事しなさーい! ほら、持ってって!」

 それをカウンターの女性店員が大声で一蹴した。
 きゃーっと悲鳴を上げて逃げ出す三人娘。
 静寂が訪れた。

「ごめんなさいね。お兄さんみたいに見た目のいい男性って、この店にあんまり来ないのよ。常連さんは多くて助かってるんだけど、ほとんどおじさんだらけでね。あの子たち面食いだから、すぐ飛びついちゃったわ」
「路地裏なのに常連客が多いってことは、居心地がいい証拠ですね。店の雰囲気もいいし」
「あら、嬉しいことを言ってくれるわね。ありがとう、そしてお待ちどうさま。煮込みとチーズね。白パンはサービス」
「旨そう。いただきます」

 鴨のしっかりした肉を頬張る。
 煮込まれて熟した味の濃さがエールを誘う。
 男所帯仕込みの早食いで皿の八割方を減らした頃、店の中ほどに座っていた大柄な三人組の男性客がうるさく騒ぎ始めた。
 しゃっくり、赤ら顔、目の座り方から判断して、相当に酔っているようだ。
 酒場だから仕方ない、と周囲も寛容な眼差しを向けていたが、とある言葉でそれは一転した。

「でだ。そのシェルエンとかいう四皇子が、ここらに住んでるって噂でな……ひっく」
「知ってる知ってる。王様に嫌われて足切られちまってるらしいじゃねぇか。とんだヘマでもやらかしたか、無能だなぁ、ひっく」
「腐っても皇子だろぉ? 攫って逃げたら身代金とかがっぽりいけねぇか? ……ひっく」

 一瞬にして店内は、剣呑な雰囲気に変わる。
 裏路地にあるとはいえ、ここは小ファーセスの酒場だ。
 領主の悪口は許されない。
 しかもシェルエンは住民のために自らを犠牲にし、さらには皆の豊かな生活のために尽力を惜しまない。
 四区全土に知れ渡っている彼の人徳は、崇拝の対象にもなり得る。

 実際、式典でもない限り姿を見られない、それも遥か彼方の豆粒のような皇帝よりもよっぽど尊敬され感謝されている。
 第四皇子を侮る態度は決して看過できるものではない。
 会話を止めて、その三人組に注目し始めた客は多い。
 針の筵になっている酔っ払いたちだけが、それに気づかない。

「しかもよ、絶世の美人だって聞いたぞ。俺らの国にはいないレベルだとよ」
「そりゃあいい。王様に嫌われたみじめな皇子を可愛がってやるのも一興じゃねぇか。どうせ足悪いから逃げられないだろ」
「うへぇ、お前そっちの趣味あんの? ま、皇子に言うこと聞かせるっつーのはいいかもな。何発か殴りゃへこへこすんだろ」

 我慢できずに何人かが立ち上がった。
 椅子の倒れる音があちこちで響く。

 ブラッドリーもその内のひとりだった。
 食事で満杯になった口の中に無理やりエールを流し込んで嚥下した。

「ごちそうさま。これ代金」
「あら、多いわよ。うちのはこんなにしないって」
「食事代とグラス代」
「……グラス代?」

 空になったグラスを片手に持ったブラッドリーは、大股で店内の真ん中へと移動した。
 同じように移動しようとしている男たちを、視線だけで制す。
 下衆な話を続ける他国の炭鉱夫のような出で立ちの筋骨隆々な男たちのテーブルに、持っていたグラスを中央に置いた。
 小気味いい音は澄んで、けれどそれだけで忌々しい口を止めるにはなぜか十分だった。

「あんたらうるせぇな」
「あぁ? なんだぁ、小僧が?」

 毒を吐いたブラッドリーに、会話を邪魔されたひとりが凄む。
 他の二名も口々に文句を連ねている。
 辺り一面の静けさに、そのテーブルだけが息をしていた。

「第四皇子は俺らの英雄だ。程度の低い最悪な脳で想像することさえ不敬になる、最も高貴な方だ。その醜い口で名前を呼ぶことさえ失礼にあたる。ここで皇子を侮辱するということは、お前たちの命と差し替えになるということを、憶えておけ」

 低い低いブラッドリーの声は、それが決して冗談ではないことをはっきりと分からせる。
 魂を強引に毟り取られて八つ裂きにされるような、地を這う冷酷さがあった。
 三人の内の誰かが生唾を飲んだ。

「何を偉そうに喋ってんだ? 俺らに指図すんじゃねぇ、小僧が! やるか? やんのか? 俺ら三人とお前じゃ力の差は歴然――」

 男が虚勢を吐き出している最中、ブラッドリーはテーブルの真ん中に置いたグラスに手を伸ばした。
 そしてそれを、素手でぐしゃりと割る。

「――ひぃ!」

 それは、あまりにも一瞬の出来事だった。
 酒場のグラスはどこも、分厚く造られたものを採用している。
 酔った客が落としても割れないように、耐久性重視で重たい。
 ちょっとやそっとでは壊れない、硬い床に転がっても容易に割れないというのに。

 喧嘩もしたことのなさそうな若者が、それをまさか素手で割るなんて。
 しかも一切苦労している様子もなく。
 これには周囲の客たちも驚きに息を飲んだ。

 粉々になったグラスの破片で指先から血を流したブラッドリーは、感情の消えた瞳でこう告げた。

「今度、第四皇子で低俗な妄想したら、お前らの肩の関節こうしてやるからな。ぐちゃぐちゃに砕いて、腕なんて一生使いものにならなくしてやる」
「ひぃぃぃぃ!」

 この目はやる、絶対にやる、と誰もが思うほどの殺気だった。

 萎縮した男たちは、肩が無事であるか確かめるように高速で撫でさすっている。
 その滑稽な姿に、もう興味はないとばかりにブラッドリーは踵を返した。

「ごちそうさま。掃除はあいつらにさせてくれ」
「え、あ、ちょ、お兄さん! 待って、お礼を――!」

 続きの言葉は閉まる扉で蓋をされた。
 指先から滴る血を、一度大きく手を振ることで吹き飛ばし、ブラッドリーは夜になり始めた街中を足早に進んだ。
 早く邸に帰りたかった。
 早くシェルエンに会いたかった。

 彼の戻りは夜遅くだと知っていたけれど、邸に足を踏み入れるその瞬間を玄関ホールで待っていたい。
 そんな気分だった。

 シェルエンの麗しさを、誰にも害すことなど出来ない高潔さを、優しさを、ありったけの言葉で称賛したい。
 そんな気分だった。




 邸に帰ると、そのチャンスは意外なほどに早く訪れた。
 観に行くはずだった演劇で主演を務めている俳優が体調不良となり、本日の公演キャンセル、予定が繰り上がったらしい。

 グラスを割って負った手の怪我に仰天していた家令とフットマンの後ろから現れた皇子に、ブラッドリーは一目散に駆け寄り口を開いた。

「殿下。殿下はとても誇り高く、慈悲深い方です。誰にも殿下の真なる価値を傷つけたり出来ません」
「流血しているのを放って他人を褒めている場合ではないでしょう? あなたは強いのになぜこんな有り様になっているんです? ジャックバート、赤い花を持ってきなさい」
「殿下、聞いてください。俺は殿下の真実を――」
「黙りなさい、ブラッドリー。手当が終わるまで口を開くことを禁じます」

 酒場のグラスよりも分厚い想いは、その何十分の一も伝えることが出来ずに一刀両断された。
 しゅんとしながらもブラッドリーは、ぴたりと上下の唇同士を合わせる。
 命令は絶対だ。

 百戦錬磨の剛腕護衛騎士も、主人の前ではただの従順な子犬同然だった。
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