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嫉妬心
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マキの携帯を久しぶりに呼び出した。
「会長室です」
営業用の愛想のよい声が響く。
「周平です」
「久しぶりねえ、少し待ってね」
急に打ち解けた声になっている。
「最近匿名の仕事でどこに潜ってるの?」
「早い情報だね」
「あんたの課の動きは筒抜けだから」
笑い声がする。課の誰かが抱き込まれているのだろう。
「久しぶりに、食事でもと」
「そうね、私も話したいことがあった。いつもの店で、そうね、8時には行けるわ」
そこまで言ったら、他の電話が入ったらしくぷつりと切れた。
周平は、昨日のラフな服を着てそのまま部屋を出た。先ほどのロシアの女の子が管理室に入る背中が見えた。
表に出ると、ホテル街を曲がりながら池袋の北口に向かって歩く。少しは街の構造が理解できて来たようだ。
「狐だね」
思わず、背中から声をかけられて、びくっと振り向いた。ホテルから出てきたようで、女が背中を向けて反対の方に歩いている。
「思わない場所だな?」
「こちらはいつもの逢引の場所だよ」
ケイ君は笑いながら行きつけの喫茶店に案内する。
「案外、狐は本物の詐欺師かもね」
「彼女?」
「まあね。心の掴めない彼女だよ。団長だよ」
「まさか」
「でも内緒に願うよ。仲間のマドンナだからな」
周平は妙な嫉妬心を感じて驚いた。
「会長室です」
営業用の愛想のよい声が響く。
「周平です」
「久しぶりねえ、少し待ってね」
急に打ち解けた声になっている。
「最近匿名の仕事でどこに潜ってるの?」
「早い情報だね」
「あんたの課の動きは筒抜けだから」
笑い声がする。課の誰かが抱き込まれているのだろう。
「久しぶりに、食事でもと」
「そうね、私も話したいことがあった。いつもの店で、そうね、8時には行けるわ」
そこまで言ったら、他の電話が入ったらしくぷつりと切れた。
周平は、昨日のラフな服を着てそのまま部屋を出た。先ほどのロシアの女の子が管理室に入る背中が見えた。
表に出ると、ホテル街を曲がりながら池袋の北口に向かって歩く。少しは街の構造が理解できて来たようだ。
「狐だね」
思わず、背中から声をかけられて、びくっと振り向いた。ホテルから出てきたようで、女が背中を向けて反対の方に歩いている。
「思わない場所だな?」
「こちらはいつもの逢引の場所だよ」
ケイ君は笑いながら行きつけの喫茶店に案内する。
「案外、狐は本物の詐欺師かもね」
「彼女?」
「まあね。心の掴めない彼女だよ。団長だよ」
「まさか」
「でも内緒に願うよ。仲間のマドンナだからな」
周平は妙な嫉妬心を感じて驚いた。
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