夢追い旅

夢人

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偶然

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 原稿をKジャーナルに届ける。国崎は不在だ。若いのに聞くと、いつもの沖縄詣でらしい。藤尾部長に連絡を入れて時間を空けてもらう。ところが藤尾も住所が変わったという。新橋の国道沿いのビルを教えてきた。こましなビルだ。
「へえ、今度は社長ですか?」
「いや、まだなりたてのほやほやだよ。一応社長室があるから入ってよ」
「昼から一升瓶はやれませんね」
「ほんまや」
「社員は何人?」
「30人ほどかいな。でも経理などはファイナンス会社からの出向や」
 赤坂の地図が壁いっぱいに貼ってある。
「この事業は今度はファイナンスの方が主体でするようになった。あの会社は上場するらしくこの赤坂はまずいようだ。それでこの会社に」
「この会社ってこれですね」
 先程の原稿のコピーを出して見せる。
「さすがに情報が早いなあ。300億にもなるんだな」
 詳しい数字は知らないようだ。
「作業は小林社長のところでしている。こちらは地上げ部隊の現場管理だよ」
「これからまだまだ買い上げてゆく?」
「だろうね」
「M商事は降りたのかな?」 
「分からないが、買いはぴったり止まっている。面白い話がある」
「2日前、柳沢を赤坂の地上げ現場で見たよ。外車で乗り付けて、現場に向かったんだろうな」
「1人?」
「いや人相の悪い男を連れていた」
 柳沢のママの極道の兄貴だ。
「場所は分かる?」
「あの4階建ての事務所の前の道だ」






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