夢追い旅

夢人

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会社の歩き方

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 出社の命令が出た。病気療養者に出社命令とは変なものだ。久しぶりに髭をそって、スーツに着替える。人事部に出頭ということで、9時前に人事部のドアを開ける。
「鈴木さんでしたね。案内します」
と言って新入社員のように、長い廊下を右に曲がったり左に曲がったり。
「来られました」
 なんと相談役の部屋だ。
「何時ぞやぶりだね」
 部屋にはカーディガン姿のくつろいだ感じの相談役一人きりだ。
「今度はどこに配属されるのですか?」
「正式には辞令は出ないのだが、相談役付課長かな。机と椅子は今日中にここに運んでくる。推薦者は舅の取締役だよ。会長も社長も了解済みだ。まあ、ゆっくり掛けて」
「私は何をするのですか?」
「慌ててするような仕事はないよ。会社の闇には舅の次に詳しいと聞いている」
「そうでもないですよ。今回思い知りましたから。まあ、歩き方位のレベルです」
「その歩き方が分からない。情けないが、親父が会長だった息子がその会社の歩き方が分からなかったんだからね。だから相談役になった」
「この会社はどうなるのでしょうか?」
 周平は正直な気持ちで聞いてみた。相談役には腹の探れないような鉄仮面のところがない。育ちの良さだろう。
「私にもわからない。もともと今回の話を持ってきたのは監査役だよ。その監査役の後ろに取締役がいた」
「ということは、舅が絵を描いたということになりますね?」
「それはどうかな?」
「あなたは?」
「押し出されてしまったその方があっているようだね」
「お願いがあります。今後いろいろ質問しますが答えてもらえますか?それが唯一条件です」
「そちらも同じ条件で」






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