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跡継ぎ
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珍しく柳沢がM商事の廊下に現れた。
人事部で調べてみたが、分譲マンション専門の不動産子会社の企画部長で都内にいるようだ。今日は周平の書いた記事で会長室に来たようである。この二人の関係はどこまで絡んでいるのかよく分からない。会長室に出入りする幹部はほとんど限られてきている。
周平は携帯を入れてケイ君に柳沢の尾行を頼むことにした。周平はマドンナをマークしようと思う。
「手空いていますか?」
最近時々相談役の息子が部屋を覗く。
舅が使っていた部屋を応接代わりに使っている。課内の女性が気を使ってコーヒーを運んでくる。どちらかというとビールの小瓶を抜いて持ってきてもらう方が肌に合う。
「赤坂について解決の方法を探れと相談役に言われていますが課長はどう思います?」
「そちらの部長の見解は?」
他人ごとに聞こえるがいずれあなたがこの会社を背負うのだ思うと力が抜ける。かといって舅のように次に掛ける気持ちも今はない。
「Sハウスの方は?」
「声をかけたが、火中の栗を拾うところまではいきませんね」
息子は会社の歩き方からやり直しだ。
内線が鳴る。どうやら柳沢が会長室から出てきたようだ。ケイ君にメールを入れる。
「部長は開発部の裏口座を持っているんですか?」
「そんなのあるのですか?」
「部長に聞いてください。この口座は初代の課長が赤坂案件の領収書の出せない売買の資金に使っていたのですよ。それが柳沢開発部長に引き継がれた。ここまでは調べられていますが、柳沢部長から会長に渡ったのかどうかは分かりません」
おそらく舅はその口座の存在は知っているが彼の手元にはないはずだ。息子に伝えるということは暗に相談役に伝えることにもなる。舅であれば闇に葬りかねない。
ケイ君からメールが入る。尾行を始めたとある。次はマドンナだ。柳沢に遅れること1時間後マドンナが定時に退社をした。周平は内線を受ける会社を飛び出した。
人事部で調べてみたが、分譲マンション専門の不動産子会社の企画部長で都内にいるようだ。今日は周平の書いた記事で会長室に来たようである。この二人の関係はどこまで絡んでいるのかよく分からない。会長室に出入りする幹部はほとんど限られてきている。
周平は携帯を入れてケイ君に柳沢の尾行を頼むことにした。周平はマドンナをマークしようと思う。
「手空いていますか?」
最近時々相談役の息子が部屋を覗く。
舅が使っていた部屋を応接代わりに使っている。課内の女性が気を使ってコーヒーを運んでくる。どちらかというとビールの小瓶を抜いて持ってきてもらう方が肌に合う。
「赤坂について解決の方法を探れと相談役に言われていますが課長はどう思います?」
「そちらの部長の見解は?」
他人ごとに聞こえるがいずれあなたがこの会社を背負うのだ思うと力が抜ける。かといって舅のように次に掛ける気持ちも今はない。
「Sハウスの方は?」
「声をかけたが、火中の栗を拾うところまではいきませんね」
息子は会社の歩き方からやり直しだ。
内線が鳴る。どうやら柳沢が会長室から出てきたようだ。ケイ君にメールを入れる。
「部長は開発部の裏口座を持っているんですか?」
「そんなのあるのですか?」
「部長に聞いてください。この口座は初代の課長が赤坂案件の領収書の出せない売買の資金に使っていたのですよ。それが柳沢開発部長に引き継がれた。ここまでは調べられていますが、柳沢部長から会長に渡ったのかどうかは分かりません」
おそらく舅はその口座の存在は知っているが彼の手元にはないはずだ。息子に伝えるということは暗に相談役に伝えることにもなる。舅であれば闇に葬りかねない。
ケイ君からメールが入る。尾行を始めたとある。次はマドンナだ。柳沢に遅れること1時間後マドンナが定時に退社をした。周平は内線を受ける会社を飛び出した。
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