夢追い旅

夢人

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危険な臭い

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 嫌がる轟に最近のKジャーナルの調査を頼んだ。
 いよいよカオルの出産がまじかになってきたので、団長は見舞いの後赤ちゃんの衣類などの買い物に出かけた。カオルが最近周平がお昼に来ないので食事を食べ残しているという。
 周平は小林の関係者を裏の会社から外し、新しく5社の新会社の受け入れを終えた。それから各子会社を自分の足で回ってみる。裏金作りが柱で運用されているので、事業として考えられたことがない。周平は訪ねて回るたびに問題点をメモに書きとめる。問題点は多いが事業として面白いものも多い。その点、ミーは淡白で放任主義だ。おそらく会社の運営経験がないからだろう。
「運営についての意見書は社長に見せてくれた?」
 二日酔いで薬を飲んでいるミーに声をかける。
「任せたってよ」
「ほんとに見せた?」
「ベットの上で表でも使えたなあと言っていたわ」
「ホテルに行く時間があるのに、ここに来る時間がないとはなあ」
「社長にそう伝えておこうかしら。そうそう忘れてしまうところだった」
 ミーはバンドバックから折りたたんだ雑誌を出してきた。
「例の黒崎が株を分けてもらえなかったと愚痴をこぼしてたそうよ」
 赤坂の記事にS銀行と旗手社長の繋がりが書かれてある。もちろん田辺記者の記事だが、これは舅の持っている情報ではない。黒崎自身がS銀行と旗手社長を結びつけた内容だ。黒崎は赤坂の情報をどこから仕入れて来たかは不明だが、S銀行がM商事に融資したと同時に旗手社長に持ち込んだと思える。わざわざ『第二の赤坂地上げ』と見出しまでつけて、2400憶というS銀行経由の借入額を公表している。
「黒崎から電話は?」
「留守電にして取ってないようよ」
「Nビルには?」
「2度あった。繋いでいない」
「黒崎を調べろということだな」
 旗手社長と黒崎はどこかで道を変えたのだろう。旗手社長は超合理主義で黒崎は独自のお金の臭いでそれぞれの道を選択したように思える。とくに今の黒崎は妙に焦っているから危険な臭いがする。




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