上 下
159 / 233

東インド会社6

しおりを挟む
 朝鮮まで行っていた南蛮船が戻ってきた。これに付いては構造の改修をし新型の大砲を積むように指示した。それに代わり新船を思い切ってアラブまで進めることにした。それとゴラクとの申し合わせで商人隊をシェムリアップと合同でさらに北へ交易の道を開こうと王の許可を取った。ブータンまで今回は考えている。
 朝馬を走らせて王宮広場に行く。荷隊の出発だ。今回はヒデが総隊長として2千の近衛軍と3百の荷車が動員された。
「これはいいことですね?」
 李課長が後ろに立っている。茉緒から彼を酒場に誘った。もう東インド会社の商館も完成してそこに移っている。
「陸路に力を入れるのはいいですね?」
「どうしてですか?」
 茉緒は今日は男装をしている。
「海はヨーロッパの国の戦場ですが、陸路はまだ民間の商人のものです。私たちが運んだものは港からは残念ながら係われません」
「イギリスとうまくやれますか?」
 彼はしばらく黙って酒場の中で騒いでいる警備隊長を見ている。
「私は交易だけで十分会社は儲かると思っていますが、でも会社には国の意志を組み込んで交易以上の考えがあります」
「国の意志?」
「アヘンを使った交易で国自体を・・・」
と言いかけて言葉を切った。その時警備隊長がアユタヤ人を張り倒した。誰も手が出せない。そこに人夫に変装した九郎が立ちふさがった。李課長が立ち上がったが腕を抑えた。力だけでは忍者とは戦えない。何度も警備隊長のパンチをすり抜ける。それでついに剣を抜いた。だが交わった瞬間九郎の手にその剣が握られていた。
 どうしてこの火花を鎮めるのか。








しおりを挟む

処理中です...