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侵略2

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 その3日後中国の商船がアユタヤの港に入った。その商人が東インド社の商館に入ったと知らせがあった。東インド社の商館には下忍を貼り付けている。その夜に李課長が半島の館に一人馬でやってきた。
「前は助けられました」
「いえ、今度は力を貸してほしいのです」
「どうかしましたか?」
 茉緒は李課長を屋上の私室に案内した。自らワインを入れてテーブルに置く。
「香港の事件聞かれましたか?」
「ええ、ちょうど戻ってきた南蛮船の船長から聞きました」
「あの死亡した総督補佐官が兄です」
「まさか!」
 お父さんから李兄弟の話を聞いたことがあった。言葉が出ない。
「私は東インド社の課長を辞めようと思っている。昔はうまくイギリスと香港の間に入れると思っていた。だが父は難しいと言っていた」
「アユタヤの運命のようですね?」
「次の南蛮船に乗せてほしいのです」
「分かりました。でももう少し待ってください。インド洋から大型の南蛮船が戻ってきます。それまでは商館でいつものように。船が入ったら呼びにいかせます」
 李の背中を送ってすぐに九郎を呼ぶ。
「戻ってきた南蛮船に新しい大砲を積み込め。新船が戻ってきたら3艇で香港に出発だ。今下忍は何人いる?」
「60人は」





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