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侵略7

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「懲罰委員会の解散を命じる。総督は自殺した。すでに私が次の総督だ」
 統括部長は短銃を李代表に突きつけて言う。
「いえ、総督はすでに解任されております。新しい総督はしばらく私がします。私が東インド会社の社長にこの報告書を提出しますよ」
「私も課長として同席した報告を出します」
 李課長が言う。
「いや、李代表は私が今回の不正を張本人として本国に連れ戻る」
 その時に黒い影が天井から落ちてきた。影は統括部長の短銃を叩き落とし李代表を引き寄せる。同時に3人の警備隊の鉄砲を持つ手を手裏剣で落とされる。だが統括部長は駈けるように外に出た。
「統括部長を戻すと不味いことになる」
 李課長がつぶやく。だが彼は今百人の警備隊に守られて階段を駆け下りている。
「九郎は?」
「港の中のイギリスの商船に潜り込ませた」
 凜が答える。
「李代表は新総督就任を報告してください。統括部長は海で葬る」
 商人隊と警備艇隊員は押されて統括部長を囲む警備隊に道を開けた。やむ得ない流れだ。桟橋からイギリスの商船に乗り込む。茉緒たちも下忍が用意した小舟に乗り込む。まず港の南蛮船に乗り込む。李課長がどうしてもと言うことで同行した。彼は統括部長を恐れている。
 一足早くイギリスの商船が警備艇を押しのけて港を出る。その後ろにぴったり南蛮船が付く。
「新船に乗り移る」
「用意はできているわ」
 やはり凜は黙っていても通じる。








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