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遠征1

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 ヒデから報告をしたが一向に返事が王からない。
 遂に開拓地の収穫の秋が来た。現在は南蛮船が岬の港に2艇、1艇は造船所に入っている。港の2艇に3日前から米が積み込まれている。開拓地はようやく予定の半分が水田になっている。収穫は予定より多く荷隊で各地にも送る。東インド会社は新しい課長を送ってきて、イギリス軍は大尉にアユタヤの総指揮を任せた。
「お忍びで館に王が来れれています」
 造船所にいる茉緒に知らせてきた。
「ここの眺めは格別だな。王宮よりいい」
「お一人ですか?」
「酒を貰えるか?」
「リーは?」
「宮廷会議の調整をしている」
 女忍がワインと軽い食事を運んでくる。
「茉緒は知らないが初代の王からの言い伝えがある。北のカトマンズと初代王が戦い敗れたのだ。それで北には行くなと」
「それで時間がかかっていたのですね?」
「貴族たちはそれを盾に」
「だが私にもヒデの言わんとすることは分かっておる。これから海の交易は列国に抑えられる。そのために陸を今と言うのは分かる。だが王が人質になってはな」
「ヒデはいつまでも国があるのではないと。彼の親は一時日本の王だったのです」
「だが私に付いてきてくれないか茉緒が?」
「もちろんいいですよ」






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