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遠征2

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 王の遠征が決まった。冬までに戻るために逆に慌てた出発になった。ヒデが近衛軍2千の総大将となり、荷隊には収穫した新米を積み込んだ。それと万が一を思って鉄砲と火薬も商品に加えた。下忍は茉緒が30人連れた。港の警戒に南蛮船を2艇を残し九郎が近衛軍2千が岬の館に詰めさせた。やはりイギリスが怖い。
 1週間後本隊はシェムリアップに到着した。ここまではアユタヤの街道は出来上がっている。ここで王は一先ずしばらく休憩する。ヒデと近衛軍3百と10人の下忍と茉緒が先陣としてカトマンズの国境に近い町に向かう。実はここで前回はヒデが盗賊に襲われたのだ。
 今回先陣を出したのはこの盗賊が気になったからだ。茉緒はヒデが言うのにはかなり訓練された兵だったと言うのが気になった。今回はシェムリアップの王子を連れてきた。この王子が今はヒデに協力してくれている。茉緒とも面識がある。王子が押えてくれた旅館に泊まる。下忍をこの街にすべて放った。
「カトマンズは祖父の代はアユタヤと戦った大王が治めていました。シェムリアップもその大王に敗れて属国となっていました。その次の王は温厚で戦いはなくなりましたが、シェムリアップはその時代に独立しました。その子が今のカトマンズの王です」
 王子と茉緒とヒデで酒を飲みながら話をする。
「だが今の王には弟がいます。国のさらに北側に城を構えて小競り合いをしています。この国境の町も弟の支配が及んでいると聞いています。経済政策では弟の方が優れているようでヨーロッパとも交易をしています」
「私もそれでどちらと交易するか悩みました。だが人柄で兄の今の王を選びました」
 その時下忍の一人が戻ってきた。
「盗賊が向かっています。5百騎はいます」
「よし、ヒデは鉄砲隊をあの石垣に」
 茉緒は王子を留まらせ集まってきた下忍を連れて森の中に入る。
 やはりこれは盗賊ではなくて軍隊だ。鎧兜に鉄砲を背負っている。






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