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遠征3

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 早くも銃撃戦が始まった。5百のうち3百が騎馬を降りて銃撃を始めている。残りの2百は後方で騎馬に跨って見詰めている。まずどれくらいの兵力か見ているのだろう。もし2千を率いて王といたら大混乱になっていただろう。
 茉緒は望遠鏡を出して残りの2百を見詰めている。隊長としたら若い男だ。まだ20歳代か?茉緒は紙を出してきて似顔絵を描く。
「どうします?」
「攻めてくる気はなさそうだな?」
 それでも半刻は銃撃戦が続いている。
 しばらくすると国境辺りに砂煙が上がる。もし盗賊の別働隊なら大変なことになる。
「下忍は火薬を持ってこちらに走れ!」
 茉緒が先頭を走るのに下忍が続く。だが砂煙は盗賊に向かっていく。やはり騎馬隊だ。赤い兜に鎧を付けた大将が先頭を走る。3百騎だが勢いが違う。見事に騎馬隊を2つに分けて攻め込む。慌てて盗賊が引き上げる。先頭の赤兜の騎馬がヒデのそばに来る。
「ヒデ誰だ?」
「紹介します。カトマンズの王女です。こちらは説明した茉緒です」
 王女は兜を脱いで頭を下げる。まだ17歳18歳の若さだ。
「王が来られるまでに警備の兵を出します」
と言うともう馬を引き上げている。
「ハル王女です。1年前には病弱で亡くなる寸前だったのです。それが異国の医師が治してしまったのです」
 王子が詳しい話を知っているようだ。






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