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遠征10

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 ヒデが中心になって荷の買い付けを始めた。サンベット王とカトマンズ王が狩りに出かけた。もちろん茉緒もハル王女も参加している。双方から兵が5百ずつ出して警備にあたっている。茉緒も下忍を30人すべてを出している。だがここは緊張状態にある弟の国からは反対方向になる。
 カトマンズに注ぎ込む川を森の中に2刻進む。ハル王女との剣の練習も終盤にかかっている。茉緒は見切りを教えている。だから二人の戦いは剣の交わる音が消えた。ハル王女は茉緒を最近は師匠と呼んでいる。
「師匠どうですか?」
 もし真剣で戦ったら茉緒も迂闊に攻めれなくなっている。それでけわずかの間に上達している。果心が茉緒の動きを吸い取らせているようだ。今なら凜ともリーとも互角だろう。狩りが行われて1刻が経った。黒装束の下忍が飛び込んできた。ハル王女の剣が抜かれるのを茉緒が制止した。
「森が囲まれています」
「ハル王女、この国は?」
「カトマンズの忠誠な親族だからありえない」
「どのくらいいる?」
「1千はいると」
「1千も?」
 茉緒はハル王女と馬に跨って王のところに走る。だがすでに覆面を被った一団に襲われている。王は森から出ようとしているが相手もなかなか強い。下忍が二人の王を守って戦ている。茉緒もハル王女も参戦する。1刻半の戦いの中ようやく王たちが森を出た。それと同時に覆面の賊は森の中に消えた。
「茉緒どう思う?」
「あれは賊の剣ではない」
「親衛隊を調べて見る」








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