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世界の大波10

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 王の名で租界地の指定がされて、九郎が近衛軍を2千を指揮して租界地の柵を張り巡らせる。そのためには相当数の家屋の引越しが必要だ。これにはゴラクが当たる。王宮から補償費も出すことにした。イギリスとフランスが口を挟まないうちに片づけようとなった。これは徳川の長崎の政策をまねた。
 ほぼ半月で柵ができた。柵には何か所か門がありここで租界地に入る検問をする。スペインを初めにオランダ、ポルトガルと商館を認めた。だがここから内陸へはアユタヤが交易を独占している。この柵がある意味ではアユタヤの壁になっている。この壁でいつまで生き残れるだろうか。
 今日はヒデが今年初のカトマンズの荷隊を編成した。
「今回は兵を半分の1千にし荷を倍にしました。それとあのフランスの下士官が作った大砲を4門を運びます」
「ハル王女の要望だったな?」
「困ったことに王も行かれると?それでリーが必死で引き止めたらしいです」
 茉緒もハル王女には会ってみたいと思っている。ハル王女と言うより果心にだ。
「今回はカトマンズのハル王女にこの手紙を届けてくれ」
「王の恋文ですか?」
「まさか。カトマンズから北の交易をアユタヤと共同で行わないかと言う誘いだ」
「共同で?」
「カトマンズは中継地だが他の国の商人が主導権を握っていて、カトマンズは使用料程度しか入っていない。ここは自ら交易するのを勧めてみた」
 それはアユタヤの今後の生き残りの道なのだ。海での交易はどんどん追いつめられている。列強が海を牛耳る前に内陸を固めるのがいいように思う。
「では必ず返事をもらってきます」











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