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遠謀12

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 デリーはカトマンズに比べ物にならないほどの大きな街だ。あらゆる人種が街を行き交う。あのイランの商人の館もこの中にあるようだ。下忍を使って調べて見たが、この街では中堅ほどの商人だ。大きな旅館に泊まる。茉緒とハル王女は同じ部屋に入る。
「話が付きました。今から出かけます」
 小頭が昨日からデリー一の商人と会う段取りをした。ハル王女を先頭に5人で街中を歩く。下忍2人には背中に黄金を背負っている。その周りを下忍が10人陰で見守っている。その他の兵はイランの商人の館を見張っている。王宮の広場に面したところに寺院のようは商館がある。入口には立派な鎧を着けた私兵が立っている。
「カトマンズのハル王女ですね?」
 きらびやかな衣装をまとったインド商人が入ってきた。横の席にハル王女と同年代の娘が座る。
「私は昔カトマンズに行ったことがあります。あなたは女王に抱かれていた」
「母は私を生んで2年後なくなりました」
「こちらは?」
「アユタヤの南蛮船の持ち主です」
「聞いていますよ。アユタヤはアジアでは有名な交易国です。興味があります」
「今まではイランの商人が独占していましたが、今回はカトマンズと組んでこちらまで交易の道を付けようと思っています。出来ればデリーに商館を置きたいのですが?」
「そうですね。昼から娘に適当な商館を案内させましょう」
「この黄金はその費用で預けておきます」
 夕食をご馳走されてその後私兵を連れた娘に商館を案内された。ちょうど3軒目のカトマンズに向かう街道の入口の砦のような商館が二人とも気に入った。ここならデリーの王宮に目立たなく兵を入れることもできる。ここはカラチに繋ぐ重要な基地になるだろう。
「ここには下忍を10人残していきます。でもアユタヤからあまりも遠い」








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