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大将軍10

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 半月も待たされて、ようやくビルマ王から謁見が可能になった。宗久の情報では大将軍の遠征は大敗したと言うことだ。それでアユタヤの条件を飲むしか道はなくなったと言うことらしい。宗久の金で明日さらに2千の兵が送られることになった。
 サンベット王子と女官として王宮に入る。茉緒は王子付きの内監と言う肩書だ。ビルマ王の横には経済相が座っている。その後ろに宗久がいる。さすがに宗久だ。いつの間にかビルマ王を取り込んでいる。信長を取り込んだ時のような顔をしている。
「戻られたらアユタヤ王に就任してください。兄王子はしばらくビルマで預かります。ただし、アユタヤは宗久殿と交易費を払い続けること」
 経済相が王の代わりに復唱する。
「その横の女官は茉緒と言う恐ろしい忍者と聞いておる」
 初めて王が口を開いた。どうもそんな話まで宗久はしているのだ。
「大将軍は今のビルマを見ていないのだ。昔のような力がビルマにはない。だから周辺の部族が離れていく。今回5千の兵を出すのに宗久の金を使わないとダメだったのだ」
「アユタヤはビルマと手を結んで歩みます」
 サンベット王子が立ち上がって宣誓する。
「だが、大将軍を儂が押えることはかなわん。彼は王族での力が強い。それにかなりの資産を持っている。これはチャクラバットと組んだ和寇の金だ。この金を使うために大将軍の言いなりにならざる得なかった。これからは宗久を頼りにする」
 宗久が立ち上がって頭を下げる。







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