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大将軍9

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 大将軍の隊が都を出発した。茉緒はりーと下忍を連れて料亭の屋敷に潜る。そのほかにリーの部下を料亭の周りに50人忍ばせる。サンベット王子には兄の策略を伝えている。だが兄の誘いを断るわけにはいかないのだ。これは王から与えられてた席なのだ。これを受けないと面接はなくなる。
「飲み物に毒や薬を入れることはないのか?」
「すでに調理人は入れ替わっています。薬は兄のものに入れます。もちろん眠くなるだけです」
 天井裏でリーが説明する。部屋にサンベット王子が入ってきた。
「ご無沙汰しています」
「ああ、まあ1杯飲むのだ」
 王子には飲んだら眠るように言っている。天井裏に下忍が現れる。。
「廊下に大将軍の兵が30人すでに集まっています」
「リーは王子を抱えて走ってくれるか?」
「よし、眠り薬を混ぜた煙幕を廊下に放て」
 弟が倒れてすぐに兄が倒れた。ほとんど同時に天井から飛び降りる。横のふすまが開いて下忍が合図をする。リーは軽々と王子を抱えると走り出す。茉緒は入ってきた兵を打ち据える。5人を打ち倒すと茉緒もそのまま屋敷の外に出る。外でも戦いが起こっている。大将軍は万が一を考えてさらに外にも兵を配置していたのだ。
 これに対して茉緒もリーの兵を50人集めておいた。リーの兵は火薬を投げる。大将軍の兵と言ってもここでは民兵に過ぎない。あまり大騒ぎになると警備兵が駆けつけてくる。
「盗賊が襲ったと噂を流します」
 リーの兵が駆け出していく。茉緒は引き上げる合図を送る。



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