復讐の芽***藤林長門守***

夢人

文字の大きさ
上 下
123 / 192

伊賀攻め11

しおりを挟む
 獣道を進むと繋ぎが駆け寄ってくる。
「山の南側に伊賀の残党が百人ほど籠っています」
 茉緒は地図を拡げて確認する。
「南側から伊賀の残党とぶつからず攻撃できる位置はあるか?」
「はい。谷から入ると峠にいる伊賀の残党とぶつかりません」
 さっそく谷に廻り込む。ここまで来ると銃撃の音が激しく聞こえる。2人の見張りが近づいてくる。
「もう2刻滝川軍の鉄砲の打ち込みが続いていて、後1刻で峠は攻め落とされそうです」
「鉄砲隊は?」
「2百ほどです」
「よし、鉄砲隊の横まで出て壊滅させたら引き上げる。見張り隊は伊賀の残党は同時に山奥に逃げるように伊賀として伝令を送ってくれ」
 この残党に慎吾や凛が残っていれば伝わるだろうと期待した。
 抜け忍村の鉄砲隊が構える。茉緒が手を上げると一斉に火を噴く。バタバタと滝川軍の鉄砲隊が倒れる。その後火薬玉が投げ込まれる。予想外の展開に滝川軍の先鋒が大混乱に陥る。早々に茉緒は引き上げを開始する。これで残党も生き残るし山奥に滝川軍を引き込んでくれるはずだ。
「予定通り残党は山に入っていきました」
「藤林はいたようか?」
「藤林のお頭の頭巾が見えました」






しおりを挟む

処理中です...