65 / 225
没落6
しおりを挟む
弾正は次の朝大和の城に帰った。朱雀は弾正の小物に小猿を紛らせた。兵が動いたらすぐに知らせるためだ。揚羽は自ら秀吉の陣に走った。朱雀は安倍晴明が賀茂家に引越ししたと繋ぎを受け礫を連れて屋敷に潜り込む。慣れた屋敷内を半刻ほど動き回る。晴明は賀茂信行のかつて使っていた部屋に入っているようだ。
寝ているかと思ったが背もたれに凭れて晴明が座っている。その前に座っているのは晴明の双子の息子の吉昌だ。鬼女の弟になる。どちらかと言うと鬼女より女らしい男だ。光栄にしても吉昌にしても2代目はどうだろかと思う。
「どうだ。朝廷の様子は?」
「一条兼良様はすでに関白以上の力をお持ちです。だが弾正様に詔を出すのは天皇自身が慎重なのです」
「信長を恐れているのだ」
やはり兼良は着々と進めているのだ。
「光栄はどうしている?」
「今は天文方から外され和歌に興じているようです。姉さんはやはり安倍に戻らないのですか?」
「あ奴は父を裏切ったのだ。だが式神を使いこなせるのはあ奴しかおらん。連れ戻すか消すしかないな」
晴明は鬼女の力を認めている。捨てた双子の姉だけが父の力を引き継いだのだ。それは賀茂信行とお婆にあまりにも似ている。
「それは・・・」
その返事と同時に晴明から雷のような衝撃が天井裏の朱雀を吹き飛ばした。大婆の力がすでに晴明に及ばなくなっているようだ。体中が痺れている。同時に天井裏に式神達が現れる。礫が朱雀を抱えるように天井裏を走る。転がり出るように庭に飛び降りる。だがそこに竜達が現れる。礫は驚くほどの速さで持っていた小石を投げた。2人3人と小石を当てられて倒れる。
「朱雀か」
現れたのは兜を付けていない竜だ。
「礫、他の者を近づけるな」
朱雀は竜に向かって飛び上がる。竜は持っていた槍を抜いた。だが体が思ったように伸びない。目の前を槍が向かってくる。殺される!
寝ているかと思ったが背もたれに凭れて晴明が座っている。その前に座っているのは晴明の双子の息子の吉昌だ。鬼女の弟になる。どちらかと言うと鬼女より女らしい男だ。光栄にしても吉昌にしても2代目はどうだろかと思う。
「どうだ。朝廷の様子は?」
「一条兼良様はすでに関白以上の力をお持ちです。だが弾正様に詔を出すのは天皇自身が慎重なのです」
「信長を恐れているのだ」
やはり兼良は着々と進めているのだ。
「光栄はどうしている?」
「今は天文方から外され和歌に興じているようです。姉さんはやはり安倍に戻らないのですか?」
「あ奴は父を裏切ったのだ。だが式神を使いこなせるのはあ奴しかおらん。連れ戻すか消すしかないな」
晴明は鬼女の力を認めている。捨てた双子の姉だけが父の力を引き継いだのだ。それは賀茂信行とお婆にあまりにも似ている。
「それは・・・」
その返事と同時に晴明から雷のような衝撃が天井裏の朱雀を吹き飛ばした。大婆の力がすでに晴明に及ばなくなっているようだ。体中が痺れている。同時に天井裏に式神達が現れる。礫が朱雀を抱えるように天井裏を走る。転がり出るように庭に飛び降りる。だがそこに竜達が現れる。礫は驚くほどの速さで持っていた小石を投げた。2人3人と小石を当てられて倒れる。
「朱雀か」
現れたのは兜を付けていない竜だ。
「礫、他の者を近づけるな」
朱雀は竜に向かって飛び上がる。竜は持っていた槍を抜いた。だが体が思ったように伸びない。目の前を槍が向かってくる。殺される!
0
あなたにおすすめの小説
輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~
四谷軒
歴史・時代
【あらすじ】
美濃の戦国大名、斎藤道三の娘・帰蝶(きちょう)は、隣国尾張の織田信長に嫁ぐことになった。信長の父・信秀、信長の傅役(もりやく)・平手政秀など、さまざまな人々と出会い、別れ……やがて信長と帰蝶は尾張の国盗りに成功する。しかし、道三は嫡男の義龍に殺され、義龍は「一色」と称して、織田の敵に回る。一方、三河の方からは、駿河の国主・今川義元が、大軍を率いて尾張へと向かって来ていた……。
【登場人物】
帰蝶(きちょう):美濃の戦国大名、斎藤道三の娘。通称、濃姫(のうひめ)。
織田信長:尾張の戦国大名。父・信秀の跡を継いで、尾張を制した。通称、三郎(さぶろう)。
斎藤道三:下剋上(げこくじょう)により美濃の国主にのし上がった男。俗名、利政。
一色義龍:道三の息子。帰蝶の兄。道三を倒して、美濃の国主になる。幕府から、名門「一色家」を名乗る許しを得る。
今川義元:駿河の戦国大名。名門「今川家」の当主であるが、国盗りによって駿河の国主となり、「海道一の弓取り」の異名を持つ。
斯波義銀(しばよしかね):尾張の国主の家系、名門「斯波家」の当主。ただし、実力はなく、形だけの国主として、信長が「臣従」している。
【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる