けもの

夢人

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二人の家康11

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 家康の軍はもう3百に減っていた。そこに基次の軍が突入した。小姓団が次々と倒されていく。ここにいるのは修験者の中で最も強い茶色装束の一団だ。狗は相手の武将を薙ぎ払いながら基次から離れないでいる。唯一家康を守っている武将がいる。すでに10人ほどの基次の軍が切り払われている。京之助だ。
「あの武将とは戦うな」
と向かいそうになっている狼を押えた。基次も気づいたのか反対側に回り込んでいる。基次の軍は追い付いてくる家康の軍の壁になっている。だが歳と言えどもまだ槍の力は衰えていない。すでに3人を突き落している。
「あの男を始末するのだ」
と基次の声に30人ほどが京之助を取り囲む。狗は手裏剣を首筋に目がけて10ほど投げる。それで押し込められていた京之助が包囲を逃れた。だがそのためにさらに家康から離れてしまった。京之助はこの天海の作戦に気づいたようだ。だがすでに戦いは始まっていた。
「われは後藤基次なり。家康殿の首を頂く」
 基次の声が轟いた。家康の馬が首を上げて声の方に向きを変える。狗は馬の腹を蹴ってその間に飛び込もうとする。ほとんど反対側に入っていた狼も駈けだしてくる。家康の槍が基次の槍を受け止める。
「お前は!」
 その声の後思いがけず飛び上がった基次に天海を見たようだ。基次は軽々家康の首を空中で払った。兜が首ごと飛んでいく。次の瞬間狼がやはり飛び上がって剣を突き出した。狗は少し遅れて飛び上がって下から掬い上げるように剣を出した。基次は家康の首を取った槍を素早く振り回し狼の脇腹を割いた。だが同時に狗の剣が基次の股を切り上げた。
 地面に飛び降りた基次には左足がなくバランスを失って横に倒れる。向こうに秀忠の軍の旗が見えた。狗は倒れている狼を抱えて空馬に飛び乗る。
 どれほど走ったのか。すでに真田軍が城に向かって早足で戻っている。






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