けもの

夢人

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高虎の死8

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 浜松から街道には至る所に兵が出ていてすべて山道を縫うように走る。すでに2度服部の攻撃を受け、1度川沿いに上がってきた柳生と剣を交えた。狗を加えた8人の行軍が5人に減っている。ここからは薄っすらと雪の積もったの山並みが見える。わざと深い山に入った。
 ここからは服部と柳生の本拠地が近い。相当の数を出してきているはずだ。この道は昔狐達と狩りに出てきたことがある。まだお婆が生きていた頃だ。とにかくお婆にはよく走らされたものだ。伊賀から甲賀の山を経て鈴鹿に入る。
「人の気配がする」
 狗が足を止めた。
「こんな山奥にも?」
 狗は4人を四方に走らせた。狗は大木の上に登る。峰から相当数の人が降りて来た足跡が雪の上に残っている。百は下らないだろう。修験者だ。天海から知らせが飛んだのだ。狗が降りると4人が戻って来ていた。
「半円を描くように修験者が山狩りをしています」
 この奥に深い崖が続いているのだ、そこに追いつめる気だ。だがこの崖にも猟師が通る岩道があった。
「ムササビは猪か鹿を射止めるのだ。殺してはいかんぞ」
 1刻山道を下る。ムササビは下忍を使って鹿を仕留めて追い付いてくる。
「どうするのですか?」
「身代わりになってもらう。崖の岩道も獣道が多数混じっている。唯一の道が1本下の甲賀に続いている。私が戻ってくるまでその崖の大きな岩がある場所で待っていてくれ。鹿の足を走れる程度に切っておいてくれ」
 狗は元来た道を走った。そこで降りて来た修験者先方を5人軽く切って回ってそのまま茂みの中を走った。わざと遠回りをした。これで修験者の網は急に縮まって追い込む形になった。まずくねるような山道まで出る。半分でもこの道を走らせるだけで十分だ。それから崖沿いの獣道を走る。
 大きな岩にムササビが見えた。
「よし降るぞ」
 崖の獣道を4半刻降るとここで4つに獣道が分かれる。ここで傷ついた鹿を放つ。一番急な崖路が下の森に続く。さらに下に降りてもまた3つに分かれる。














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