冥道

夢人

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超常7

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 不動産会社の部長と会ってから妙に緊張感が戻ってきた。この気持ちは妻子と別れてこの会社に入って来たころの緊張感だ。もう戻るところがないと必死で仕事をしたのだ。それに2年ほどで上場するという欲にも囚われていた。もう一度人生をやり直そうとしていたのかもしれない。
 緊張の高ぶりから早めにベットに入ったが今日は眠れない。だが意識はあるのだが部屋の天井がふわりと歪んでくる。まだ夢の中に入っていないはずだが。次の瞬間聖子の部屋の天井に変わっている。
「どうしたのだ?」
 聖子が椅子に座って私を見ている。机の上には聖子の母がいつも飾っている花瓶にコスモスの花が差している。その後ろに聖子の写真が立てられている。二つの世界がここでは重なって見える。
「君を呼び出す方法を色々試しているのよ。今までは私がいるここから念じて呼び寄せていたの。今回は私自身が君の中に移って引き込んでみたの。少し変だった?」
「ふわっと宙に浮かぶ感覚が来る前にここに来ていた」
「そうなるのね?」
 彼女は考え込むように空を見るような目をする。私は会った時からこの目に引きつけられたのだ。だがその頃の私はそんな目をした彼女に恋をしていて思い切り小説の中で気持ちをぶつけていた。
「いいね、その表情は好きだよ」
「そうね、君は私をよくじっと見つめていたね」
「知っていた?」
「もちろんよ。初めは怖い気がしたけど、途中から心に熱いものが伝わって来たわ」
「少しは気にしてもらっていたのだな。嬉しいな」
「恋していたわけじゃないのよ。不思議な熱さだった。私はイラクで囚われた時その熱い視線を思い出したの。でもここに来る命綱になったわ」
 やはり片思いだったのだ。二人の男が片思いの競い合いをしていたのだ。二人は居酒屋に入ると何時も聖子のことばかり話していたと思う。事実より夢物語の起訴居合のようだった。
「やはり彼奴と恋をしていたのだな?」
「あの時はね。でもあの男のことは今はまだ話したくない。まだ話したいことはたくさんあるわ」 
 その時に母親が入ってきてカーテンを開けて障子を開く。薄い秋の光が差し込んでくる。その光が聖子に当たると彼女の輪郭が朧げになる。彼女は困ったように陽の差しこまない日陰に身を寄せる。
「君は少し明るくなったわ。いいことだわ。だけど私には明るすぎて・・・」







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