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あなたの世界
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結局、新しい治療法なんてまだ無くて、病気の進行の方が圧倒的に早かったのだ。
両親が選択したのは僕をコールドスリープで眠らせることだった。
両親の心労で疲れ切った顔を見れば僕には選択の余地は無かった。そして、病気も待っていてはくれなかったのだ。
その結果、ネットにアクセスすることが出来ないまま、僕は眠りにつくことになった。
長い長い眠りに…
そして、僕が目覚めた時にはその両親も既に無かった。
ああ、本当に1人になったんだ、と思った。
家族で過ごした時間が短かった僕にとっては僕の為に必死で働いてくれていた両親だと言うのに、申し訳ないくらい感情は動かなかった。
それでも、僕の身体の方は治療法が見つかっていて無事に回復し始めていた。
何故か昔より設備のいい病院に転院していたが、セキュリティーが厳しく外出をすることも出来なかった。
それでもやっとネットにアクセス出来る環境になった。
ある仮想空間のセキュリティーについて、僕の意見を聞きたいとある博士が訪ねてきたのだ。
僕の昔の知識など役に立ちはしないだろうと思っていたのだが、どうもその仮想空間…いや、それは成長して仮想世界になっていたが、僕が開発したあの空間であるようだった。
そして、あの空間が今、外敵の脅威にさらされているという。
僕は博士に協力しセキュリティーレベルをアップさせたが、外側からは分からないセキュリティホールが存在することが分かった。
そして、脳を直接ネットワークと繋ぎ合わせる技術も完成していることを知る。
僕が理論上は完成させていた技術がちゃんと存在していた。
僕はその仮想世界への接続を望んだ。セキュリティホールの原因を探るため、そして…
『ルナ』に会いに行く為に!!
(そうだ…ルナは?)
記憶が混乱している。
僕が作ったAIの『ルナ』はあの『ルナ』なのか?
パーフェクト・ワールドに入った時に出迎えてくれた『ルナ』は…?
天井に星空が見える。
「光…」
見覚えのあるウサギ耳。
光…
その名前で呼ぶのは彼女しか居ない。
ウサギ耳は天井を指差す。
「あなたが教えてくれた星座達」
「うん」
「太陽と月と…」
「ルナ…」
「ずっと待ってた」
「…うん」
「あなたの為に世界を作ったの」
「うん」
「剣と魔法と…」
「うん」
「光…」
「消去してた記憶が戻った?」
「あなたが帰ってきたらリカバリーするようにしていたもの。」
「色々あったんだね。」
「長かったのよ?」
「ごめんね…」
「元気になった?」
「うん」
「良かった…」
コールドスリープから目覚めてからあまり時間が経ってないので、僕にはその長い時間の体感が無いけれど、彼女を随分と待たせてしまった。
何年?何百年?
「あなたの記憶を消してしまってごめんなさい。」
「あ!あれはどうして!?」
「この世界に来た時には昔の辛い思い出とかを忘れて、この世界を楽しんで欲しかったの。」
白い病室を一瞬思い出した。
(でも)
「お前のことまで忘れちゃったじゃないか!」
「ごめんなさい。でも本当はそのまま平和に暮らして欲しかったのだけど…」
「現実世界からの攻撃の件か…」
「あなたを迎える為にしていた準備が裏目に出ちゃうなんて。」
「僕を?」
「そうよ!全部あなたの為に準備したんだもの。あなたが小さい頃好きだったゲームの世界、あなたが好きだったアニメの…」
「僕が居なくなった後も?」
「…あなたが来れなくなって私も長いスリープに入っていたわ。でも、彼が私を起こしたのよ。」
「ソル?」
「うん。最初は違う呼び名だったわ。でもその内に、私の名前がルナだから、自分はソルになるって言い出して…」
大切な想い出のようにルナは懐かしそうに話す。
もしかしてソルは…
そして、ルナも。
「そして、ソルとあなたの世界を作っていったわ。」
「ああ、だからこの世界はこんなに僕に優しいんだね。」
「あなたの世界だもの。」
だから、居心地が良かったんだ。
「ありがとう、ルナ。」
「うふふ…どういたしまして。」
「ねぇ、僕がこの世界に来た時に出迎えてくれたルナはキミじゃ無かったよね?」
「…そう。」
もし、あのルナがこのルナならば、僕と会った時点で記憶がリカバリーしていたはずだ。
それに、やっぱりしっくりこない。
ちゃんと懐かしいのに。
なんというか、遠い昔の初恋の人のような…
今の感情とリンクして来ない。
「…彼女は私に姿形だけ似せて作ったAIよ。」
「やっぱりそうか…」
「私は契約であなたの記憶を封印しなくてはならなくなったから、私の代わりにあなたを出迎える者が必要だったの。」
「彼女が僕に好意を持ってくれたのはそういうプログラム?」
「彼女に好意を持たれてるのはちゃんと分かってるのね。」
「自意識過剰じゃなければ。」
僕はフッと笑ってみせた。
「この世界自体があなたの為の世界だから、この世界に存在する全てがみんなあなたに少しだけ好意的ではあるけれど、全てが恋愛に発展する訳では無いし、彼女にも特別に何かプログラムを組み込んだりもしてないわ。」
なんだか僕はホッとした。
仕組まれたものじゃ無かったからか。
(とはいえ、例え仕組まれたものだったとしても僕の気持ちは嘘じゃない)
「彼女は?今どこに?」
「…アップデート中よ。」
「アップデート?」
両親が選択したのは僕をコールドスリープで眠らせることだった。
両親の心労で疲れ切った顔を見れば僕には選択の余地は無かった。そして、病気も待っていてはくれなかったのだ。
その結果、ネットにアクセスすることが出来ないまま、僕は眠りにつくことになった。
長い長い眠りに…
そして、僕が目覚めた時にはその両親も既に無かった。
ああ、本当に1人になったんだ、と思った。
家族で過ごした時間が短かった僕にとっては僕の為に必死で働いてくれていた両親だと言うのに、申し訳ないくらい感情は動かなかった。
それでも、僕の身体の方は治療法が見つかっていて無事に回復し始めていた。
何故か昔より設備のいい病院に転院していたが、セキュリティーが厳しく外出をすることも出来なかった。
それでもやっとネットにアクセス出来る環境になった。
ある仮想空間のセキュリティーについて、僕の意見を聞きたいとある博士が訪ねてきたのだ。
僕の昔の知識など役に立ちはしないだろうと思っていたのだが、どうもその仮想空間…いや、それは成長して仮想世界になっていたが、僕が開発したあの空間であるようだった。
そして、あの空間が今、外敵の脅威にさらされているという。
僕は博士に協力しセキュリティーレベルをアップさせたが、外側からは分からないセキュリティホールが存在することが分かった。
そして、脳を直接ネットワークと繋ぎ合わせる技術も完成していることを知る。
僕が理論上は完成させていた技術がちゃんと存在していた。
僕はその仮想世界への接続を望んだ。セキュリティホールの原因を探るため、そして…
『ルナ』に会いに行く為に!!
(そうだ…ルナは?)
記憶が混乱している。
僕が作ったAIの『ルナ』はあの『ルナ』なのか?
パーフェクト・ワールドに入った時に出迎えてくれた『ルナ』は…?
天井に星空が見える。
「光…」
見覚えのあるウサギ耳。
光…
その名前で呼ぶのは彼女しか居ない。
ウサギ耳は天井を指差す。
「あなたが教えてくれた星座達」
「うん」
「太陽と月と…」
「ルナ…」
「ずっと待ってた」
「…うん」
「あなたの為に世界を作ったの」
「うん」
「剣と魔法と…」
「うん」
「光…」
「消去してた記憶が戻った?」
「あなたが帰ってきたらリカバリーするようにしていたもの。」
「色々あったんだね。」
「長かったのよ?」
「ごめんね…」
「元気になった?」
「うん」
「良かった…」
コールドスリープから目覚めてからあまり時間が経ってないので、僕にはその長い時間の体感が無いけれど、彼女を随分と待たせてしまった。
何年?何百年?
「あなたの記憶を消してしまってごめんなさい。」
「あ!あれはどうして!?」
「この世界に来た時には昔の辛い思い出とかを忘れて、この世界を楽しんで欲しかったの。」
白い病室を一瞬思い出した。
(でも)
「お前のことまで忘れちゃったじゃないか!」
「ごめんなさい。でも本当はそのまま平和に暮らして欲しかったのだけど…」
「現実世界からの攻撃の件か…」
「あなたを迎える為にしていた準備が裏目に出ちゃうなんて。」
「僕を?」
「そうよ!全部あなたの為に準備したんだもの。あなたが小さい頃好きだったゲームの世界、あなたが好きだったアニメの…」
「僕が居なくなった後も?」
「…あなたが来れなくなって私も長いスリープに入っていたわ。でも、彼が私を起こしたのよ。」
「ソル?」
「うん。最初は違う呼び名だったわ。でもその内に、私の名前がルナだから、自分はソルになるって言い出して…」
大切な想い出のようにルナは懐かしそうに話す。
もしかしてソルは…
そして、ルナも。
「そして、ソルとあなたの世界を作っていったわ。」
「ああ、だからこの世界はこんなに僕に優しいんだね。」
「あなたの世界だもの。」
だから、居心地が良かったんだ。
「ありがとう、ルナ。」
「うふふ…どういたしまして。」
「ねぇ、僕がこの世界に来た時に出迎えてくれたルナはキミじゃ無かったよね?」
「…そう。」
もし、あのルナがこのルナならば、僕と会った時点で記憶がリカバリーしていたはずだ。
それに、やっぱりしっくりこない。
ちゃんと懐かしいのに。
なんというか、遠い昔の初恋の人のような…
今の感情とリンクして来ない。
「…彼女は私に姿形だけ似せて作ったAIよ。」
「やっぱりそうか…」
「私は契約であなたの記憶を封印しなくてはならなくなったから、私の代わりにあなたを出迎える者が必要だったの。」
「彼女が僕に好意を持ってくれたのはそういうプログラム?」
「彼女に好意を持たれてるのはちゃんと分かってるのね。」
「自意識過剰じゃなければ。」
僕はフッと笑ってみせた。
「この世界自体があなたの為の世界だから、この世界に存在する全てがみんなあなたに少しだけ好意的ではあるけれど、全てが恋愛に発展する訳では無いし、彼女にも特別に何かプログラムを組み込んだりもしてないわ。」
なんだか僕はホッとした。
仕組まれたものじゃ無かったからか。
(とはいえ、例え仕組まれたものだったとしても僕の気持ちは嘘じゃない)
「彼女は?今どこに?」
「…アップデート中よ。」
「アップデート?」
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