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理由

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レックスと過ごす日々が続いている。

昨日は市場で買い物をして海辺でBBQをした。

現実世界の僕の体はまだ未成年らしく、酒は飲めなかったが。
(仮想世界では成人だったのに)

レックスが大量に花火を買ってきて、1人で大騒ぎしていたな。

僕はそのレックスの様子を思い出し、少し笑った。

(すっかり現実世界に慣れてきたな…)

現実世界では災害や戦争、感染症、そして少子化もあって昔に比べ人口はかなり減少しているようだ。

(進化の過程も最終段階といったところなのか?レックスの説明はいつも曖昧だ…)

市場もほとんど人は居なかった。

(それにしても居無さすぎでしょ…)


現実世界に居ると仮想世界の実感がすり減っていく気がする。

本当にあの世界は存在してたのか、夢だったのではないかと思ったりする。

月明かりに照らされたルナの後ろ姿に胸を熱くしたあの気持ちすら、幻であったのだろうか、と。

窓から入る月明かりは薄い。

「明日は何をしようか?」

「……」

僕はレックスが持って来たコーヒーカップを受け取る。

(苦い…)

(この身体でブラックコーヒーは飲んだこと無かったからな)

「本物のコーヒーだよ。」

「うん?」

(仮想世界じゃないってこと?)

レックスは困ったように笑って見せた。

「今のこの世界で、本物のコーヒー豆で作ったコーヒーは貴重なんだ。生産者がほとんど居なくてね。」

「…?」

「贅沢品はなかなか手に入らないんだよ。需要も少ないしね。こんなの飲めるのは政治家とかよっぽどの実力者くらいで…」

(コーヒーが?)

「レックス、この時代にこんなに人が少ないのは何故なんだ?」

(戦争や災害だけが理由ではない気がする)

「…ま、そうだよね。気になるよね。」

レックスはコーヒーカップを見詰めたまま話を続けた。

「仮想世界の…キミの作ったパーフェクト・ワールドのせいだよ。」

「!?」

「人が居なくなった本当の理由…知りたいかい?」

「……」

「キミの眠っているうちの話だから一概にキミのせいでは無いんだと分かっているんだけれど。頭では理解しているんだけど、心がね。」

「何があった…?」

「人とほとんどすれ違わなかったろう?本当に人が居ないんだ。」

嫌な予感しかしない。
この話の続きを僕は聞きたくないと思った。それでも、レックスは続ける。

「パーフェクト・ワールドの政治家達によって人は減少を余儀なくされた。前政府はパーフェクト・ワールドの政治家に乗っ取られてたのさ。」

「!」

「彼らは自分達の存在の安定の為に現実世界の人間を大量に…」

「待ってくれ…!そんな事されたらさすがに政権が維持出来ないだろう!?」

「形だけは現実世界の政治家が政治を行っていたが、中身はパーフェクト・ワールドの政治家達の操り人形だったわけだ。その現実世界の政治家達は将来パーフェクト・ワールドでの政治家としての存続を餌に使われてたのさ。ヤツらは、革命など起こせないくらい人を減らすことを目指した。パーフェクト・ワールドが維持出来るだけの人間さえ居れば良いと思ってるんだ。」

「なんて…酷い…」

「しかも…ヤツらは生殖もコントロールするようになった。優秀な遺伝子以外は遺伝子操作で生殖機能を奪った。」

「……!」

「そう、僕らは遺伝子を乗せた方舟ですら無いんだよ。」

「僕のせいで…」

「さっきも言ったけど、キミのせいではないよ。」

「でも!」

「確かにキミがあの仮想世界を作らなければ運命は変わっていたかも知れないが…」

「僕は、どうしたら…」

「もし、詫びたい気持ちがあるのなら、僕に協力してくれないか?」

レックスはそう言って僕の肩に手を置いた。

僕は頷かざるおえなくなった。

コーヒーの苦味が口の中に残っていた。



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みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.08.29 mac

ありがとうございますー!
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解除

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