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「なんか、お前キモい」
「――え?」
学生の頃だ。好きだった男の子と仲良くなりたくて、何かと付いて回っていたら吐き捨てるように言われた。
「……」
教室の隅で黙って俯いているようになったのはあの出来事のせいだ。
「それで糸田がさ~……」
「マジでー? アハハハッ」
何かの集まりに誘われて、何となく参加してしまった結果「誰だソイツ。オレ知らねえよ」と言いたいのを我慢してファミレスの席の隅で黙っているハメになったのはあの出来事のせいだ。
「はぁー……」
高校を中退して引きこもり、ゲイ動画見て賢者タイムを迎えつつストロングゼロを傾けるハメになったのもあの出来事のせいだ。
ストロングゼロでフワフワしているところにスマートフォンのメッセージアプリの通知音が鳴り響く。
確認すると『ヤッホー!😆何してた?😊近いうちにまた会えるカナ?』というメッセージがいやらしい笑みを浮かべた顔の絵文字つきで画面に表示されていた。
「きも……」
と、見事な定型文に思わず独り言ちつつ、大切な収入源だからちゃんとレスをしてからそばにスマートフォンを投げる。
そろそろ寝ようと敷きっぱなしの布団に転がった。カーテンの隙間から昼前の光が差し込んでいる。
――煽り運転したり、女子供を殴り殺したり、どこか燃やしたりなんてしていない。オレ、何も悪くない。なのになぜこんな生活を送っているのか。あの出来事のせいだ。
真っ暗になった部屋の中、ゆっくりと身を起こす。スマートフォンと煙草の箱だけポケットに突っ込み、自室から出ると足音を忍ばせてトイレに寄って尻を洗ってから洗面所へと向かう。
顔を洗い、モサッとした黒髪を手ぐしで申し訳程度に整えてから玄関でサンダルをつっかけ、ドアをできるかぎり静かに開き部屋着のスエットのまま外に出る。
中途半端な田舎の夜道を近所の公園目指して歩いた。
誰もいない暗い公園内でぼんやりとした明かりを発する公衆便所のそばに寄り、ポケットから煙草の箱を取り出し中からライターと煙草を一本抜き取る。くわえて火を点け、箱をポケットにしまうついでにスマートフォンを取り出す。
公衆便所に来るであろう相手と、煙を吐きつつメッセージのやり取りをする。やがて人影が現れ、近寄ってくる。
「クロ君」
もちろん本名ではない名を呼ばれ、短くなった煙草を地面に落とし踏んで、人影に向かってひらりと手を振った。人影のもちろん本名ではない名を呼び、オレなりに愛想をよくしながら人影と一緒に便所に入る。
便所の蛍光灯に人影の禿げあがった頭がはっきりと照らされた。オレは禿げて脂ぎったオッサンに背を向け個室のドアを開け、和式便器を跨ぎスエットパンツを下着ごとおろす。
壁に手をつき、腰を突き出した。すると冷たくとろっとした液体が尻に垂らされるのを感じ、腰がぴくんと跳ねる。オッサンが持ってきたローションであろう。
「んぁっ……」
ごつごつした指が入ってくる。
オレ、ゲイの若いネコでよかった。そういう掲示板を使えばいくらでもセックスできて、金も手に入る。
「ぁ、そこ好きぃ……っ」
客のオッサンは目的がはっきりしているから、まだコミュニケーションも取れる。オッサンはオレの鳴き声に気分を良くしたのか、イイところを集中的に擦ってくれた。
「きもちいっ……」
快感が走り、腰が震える。指をくわえたアナルをヒクつかせる。十分ほぐされると指が抜かれ、ゴムを装着しているのであろう間をあけてからオッサンのチンコが宛てがわれた。
「んぁっ」
オレのナカを押しひろげているのは好みのイケメンだと、テキトーに妄想する。イケメンの棒が前立腺をかすめながら、ナカで上下している。
「イクッ……!」
ピュッと便所の壁に射精した。
「ハァハァハァハァ」
「……」
賢者タイム中にまだイッていないオッサンの豚のような息遣いが聞こえ、現実に戻る。あとは終わるまで真顔になっていたと思う。
六千円もらった。
夜明け前に帰宅し、台所で茶碗に冷えた飯を盛り茶漬けの素をかけて麦茶を注ぎ、かき込んでから自室にさっと引っ込む。
ソシャゲをして時間を潰し、玄関のドアが開き、閉まる音が耳に届いてから床に置いているパソコンを操作した。
第二の収入源にアクセスする。忘れずパソコンのそばに放ってあるマスクをし、ティッシュ箱を手元に引き寄せてから配信を開始した。
「オナニー……します」
スエットパンツを下着ごと脱いで、ウェブカメラを接続したパソコンに向かい座って脚を開く。柔らかいチンコに手をかけた。
「んっ……」
女じゃないし、可愛い男の娘でもないから微妙な視聴者数だが喜ばせようとマスクの中で熱い息をわざとらしく吐きつつシゴく。
『ディルド使ってよ』
わずかながらコメントが流れはじめる。――たいした収入にはならないが、コレをもらえると胸が弾む。
「ん、わかりました……」
熱を持ち硬くなりはじめたチンコから手を離し、立ちあがるとクローゼットの中奥のほうにしまってある吸盤つきディルドを取り出す。アマゾンで買ったものだ。
ついでゴムとローションのボトルを手に取り、パソコンの前に戻って床に吸盤でディルドを固定し、ゴムを被せローションを垂らす。
そしてゆっくりとディルドに座った。
「あっ……んっ……」
ズブズブと慣れたナカに容易に埋まっていく。
パソコンの画面に映る腰を上下させてチンコをフリフリするオレをコメントが煽る。
『ダブルピースして』
「は、いっ……」
前立腺をディルドでえぐり、快楽に震えつつリクエストに応じる。エロ同人みたいだ。
「あっ、イクッ……!」
ダブルピースしていたせいで、ティッシュを手に取るのが間に合わずパソコンに少し精液が飛び散った。
汚れた画面に流れるコメントが増える。
配信を終え、脱衣所へ向かうと洗濯機にスエットと下着を放り込み、浴室に入った。タイルは乾いている。
シャワーを出し、冷水を手に受けているとコメントで上がっていたテンションがなぜか急に下がっていく。
――オレ、なんでこんなコトしてるんだろ?
すべてはあの出来事――「なんか、お前キモい」でヒトに踏み込むのは危ないことなのだと知ってしまったせいだ。
冷水が湯に変わり、鬱血痕の目立つガリガリの体をシャワーで流す。それから浴室を出て、適当にタオルで全身を拭ってから替えの下着とスエットを着て、自室に戻ると敷きっぱなしの布団に倒れるよう寝た。
「――え?」
学生の頃だ。好きだった男の子と仲良くなりたくて、何かと付いて回っていたら吐き捨てるように言われた。
「……」
教室の隅で黙って俯いているようになったのはあの出来事のせいだ。
「それで糸田がさ~……」
「マジでー? アハハハッ」
何かの集まりに誘われて、何となく参加してしまった結果「誰だソイツ。オレ知らねえよ」と言いたいのを我慢してファミレスの席の隅で黙っているハメになったのはあの出来事のせいだ。
「はぁー……」
高校を中退して引きこもり、ゲイ動画見て賢者タイムを迎えつつストロングゼロを傾けるハメになったのもあの出来事のせいだ。
ストロングゼロでフワフワしているところにスマートフォンのメッセージアプリの通知音が鳴り響く。
確認すると『ヤッホー!😆何してた?😊近いうちにまた会えるカナ?』というメッセージがいやらしい笑みを浮かべた顔の絵文字つきで画面に表示されていた。
「きも……」
と、見事な定型文に思わず独り言ちつつ、大切な収入源だからちゃんとレスをしてからそばにスマートフォンを投げる。
そろそろ寝ようと敷きっぱなしの布団に転がった。カーテンの隙間から昼前の光が差し込んでいる。
――煽り運転したり、女子供を殴り殺したり、どこか燃やしたりなんてしていない。オレ、何も悪くない。なのになぜこんな生活を送っているのか。あの出来事のせいだ。
真っ暗になった部屋の中、ゆっくりと身を起こす。スマートフォンと煙草の箱だけポケットに突っ込み、自室から出ると足音を忍ばせてトイレに寄って尻を洗ってから洗面所へと向かう。
顔を洗い、モサッとした黒髪を手ぐしで申し訳程度に整えてから玄関でサンダルをつっかけ、ドアをできるかぎり静かに開き部屋着のスエットのまま外に出る。
中途半端な田舎の夜道を近所の公園目指して歩いた。
誰もいない暗い公園内でぼんやりとした明かりを発する公衆便所のそばに寄り、ポケットから煙草の箱を取り出し中からライターと煙草を一本抜き取る。くわえて火を点け、箱をポケットにしまうついでにスマートフォンを取り出す。
公衆便所に来るであろう相手と、煙を吐きつつメッセージのやり取りをする。やがて人影が現れ、近寄ってくる。
「クロ君」
もちろん本名ではない名を呼ばれ、短くなった煙草を地面に落とし踏んで、人影に向かってひらりと手を振った。人影のもちろん本名ではない名を呼び、オレなりに愛想をよくしながら人影と一緒に便所に入る。
便所の蛍光灯に人影の禿げあがった頭がはっきりと照らされた。オレは禿げて脂ぎったオッサンに背を向け個室のドアを開け、和式便器を跨ぎスエットパンツを下着ごとおろす。
壁に手をつき、腰を突き出した。すると冷たくとろっとした液体が尻に垂らされるのを感じ、腰がぴくんと跳ねる。オッサンが持ってきたローションであろう。
「んぁっ……」
ごつごつした指が入ってくる。
オレ、ゲイの若いネコでよかった。そういう掲示板を使えばいくらでもセックスできて、金も手に入る。
「ぁ、そこ好きぃ……っ」
客のオッサンは目的がはっきりしているから、まだコミュニケーションも取れる。オッサンはオレの鳴き声に気分を良くしたのか、イイところを集中的に擦ってくれた。
「きもちいっ……」
快感が走り、腰が震える。指をくわえたアナルをヒクつかせる。十分ほぐされると指が抜かれ、ゴムを装着しているのであろう間をあけてからオッサンのチンコが宛てがわれた。
「んぁっ」
オレのナカを押しひろげているのは好みのイケメンだと、テキトーに妄想する。イケメンの棒が前立腺をかすめながら、ナカで上下している。
「イクッ……!」
ピュッと便所の壁に射精した。
「ハァハァハァハァ」
「……」
賢者タイム中にまだイッていないオッサンの豚のような息遣いが聞こえ、現実に戻る。あとは終わるまで真顔になっていたと思う。
六千円もらった。
夜明け前に帰宅し、台所で茶碗に冷えた飯を盛り茶漬けの素をかけて麦茶を注ぎ、かき込んでから自室にさっと引っ込む。
ソシャゲをして時間を潰し、玄関のドアが開き、閉まる音が耳に届いてから床に置いているパソコンを操作した。
第二の収入源にアクセスする。忘れずパソコンのそばに放ってあるマスクをし、ティッシュ箱を手元に引き寄せてから配信を開始した。
「オナニー……します」
スエットパンツを下着ごと脱いで、ウェブカメラを接続したパソコンに向かい座って脚を開く。柔らかいチンコに手をかけた。
「んっ……」
女じゃないし、可愛い男の娘でもないから微妙な視聴者数だが喜ばせようとマスクの中で熱い息をわざとらしく吐きつつシゴく。
『ディルド使ってよ』
わずかながらコメントが流れはじめる。――たいした収入にはならないが、コレをもらえると胸が弾む。
「ん、わかりました……」
熱を持ち硬くなりはじめたチンコから手を離し、立ちあがるとクローゼットの中奥のほうにしまってある吸盤つきディルドを取り出す。アマゾンで買ったものだ。
ついでゴムとローションのボトルを手に取り、パソコンの前に戻って床に吸盤でディルドを固定し、ゴムを被せローションを垂らす。
そしてゆっくりとディルドに座った。
「あっ……んっ……」
ズブズブと慣れたナカに容易に埋まっていく。
パソコンの画面に映る腰を上下させてチンコをフリフリするオレをコメントが煽る。
『ダブルピースして』
「は、いっ……」
前立腺をディルドでえぐり、快楽に震えつつリクエストに応じる。エロ同人みたいだ。
「あっ、イクッ……!」
ダブルピースしていたせいで、ティッシュを手に取るのが間に合わずパソコンに少し精液が飛び散った。
汚れた画面に流れるコメントが増える。
配信を終え、脱衣所へ向かうと洗濯機にスエットと下着を放り込み、浴室に入った。タイルは乾いている。
シャワーを出し、冷水を手に受けているとコメントで上がっていたテンションがなぜか急に下がっていく。
――オレ、なんでこんなコトしてるんだろ?
すべてはあの出来事――「なんか、お前キモい」でヒトに踏み込むのは危ないことなのだと知ってしまったせいだ。
冷水が湯に変わり、鬱血痕の目立つガリガリの体をシャワーで流す。それから浴室を出て、適当にタオルで全身を拭ってから替えの下着とスエットを着て、自室に戻ると敷きっぱなしの布団に倒れるよう寝た。
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