私の番はこの世界で醜いと言われる人だった

えみ

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同棲編

人族の反撃です

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さっき、ゼブラさんは私とたくさんキスをした。
意識がはっきりしていなかったとは言え、もうたくさんしたのだから、仲直りのキスくらい問題ないだろう。

「さっき、いっぱいキスしたよね」

そう言われて思い出したのか、ゼブラさんは顔を真っ赤にした。

「本当は、怒っているときにゼブラさんが触ったところ、今のゼブラさんに上書きしてもらいたいんだけど・・・」

「さわっ!?」

叫ぶように声を出して、ゼブラさんは私から目をそらした。
今更思い出したのか。
ゼブラさん、私の胸を揉んだし、スカートをちぎって丸裸にしようとしたんだよ。
まあ、下半身は未遂だったけど。

「すすすすすすすすすまない・・・!!!!!私は何てことを・・・!」

正気に戻った後、絶対にゼブラさんは懺悔の時間をとるだろうと思ったけど・・・、そんなに謝ること?
ちょっとゼブラさんは勘違いをしているのではないだろうか。

「ゼブラさん、私たち、いずれは結婚するんだよね?」

「け、結婚!?も、もちろんミーアさえ良ければ、私はミーアを幸せにしたい・・・」

ならこっちを向いて話してくれないかな。
恥ずかしさでいっぱいなのか、ゼブラさんは背中を向けて、壁に向かって話しかけている。



「私、ゼブラさんに手を出されたいんだけど」

「ぐふっ!!!!」

ゼブラさんは胸のあたりを抑えて、唸りだした。


「仲直りのキス、ゼブラさんからしてほしいな」

今日は引いてあげない。
この機会にキスしてもらわないと、いつまで経ってもできないから。

ゼブラさんはうぅ、と唸りながらゆっくりゆっくり、振り返った。


外は薄暗くなってきている。
部屋もそろそろ明かりをつけないといけない。
それでも、ゼブラさんの顔が真っ赤なのが分かった。

「ミーア・・・、本当に私で良いのか?」


「今さらそんなこと言うんだね。ゼブラさんが良いんだよ。ゼブラさんじゃないと、嫌」

相変わらず自信がないゼブラさんは、私の方を見て、迷うように下を向いた。
まだ覚悟が出来ていないのか・・・。
軽くキスをしてくる人よりも断然良いけど、それでも付き合って同棲までしているのに、彼氏からキスをしてもらったことが無いなんて、それはそれで問題なんじゃないかな。


「しかし・・・ミーア・・・」

それでも尚戸惑っているゼブラさんに焦れた私は、強硬手段に出る。

「ゼブラさん、そんな距離をとったままなら、私、この上着落としちゃうからね」

「!!!!!!」

この上着、とはゼブラさんの上着だ。
私の上半身を唯一隠している布。
肩にかけてくれたこれを落とすということは、上半身裸になるということだ。

ゼブラさんは慌てて私との距離を詰めた。
服を脱がないよう、肩に手を置いて、「だめだ!」と必死に止めた。

「なんでだめなの?」

「そ、そそれは・・・!」

ごにょごにょと、「理性がもたなくなる」とか呟いているけど、できればそういう初心な我慢はそろそろやめてもらって、ちょっとくらいは手を出してもらいたい。
そこで、私はずっと言わなかったことを言った。


「私、魅力ない?」


気になってたけど、気にならないようにしてた。
でも、私にすごく魅力があれば思わず手を出しちゃったりすると思うんだよね。
それがないってことは、あんまり魅力がないからでしょ。
番じゃなかったら、恋愛してなかったんじゃないかな。

「それは違う!!!」

ゼブラさんは全力で叫んだ。
思わずびっくりして、ちょっとした怒りが吹っ飛んだ。

「加減ができなくなりそうなんだ!私が私の欲望のままに、ミーアに乱暴なことをしてしまいそうで!!いつもいつも理性が焼き切れてしまいそうなんだ・・・!大切にしたいから、傷つけなくないから・・・」

とても必死な表情だった。
手を出しそうなのを、頑張って抑えてくれてるってこと?
私のために?

そんなの・・・


「私のためを思うなら、ちょっとくらい手を出してくれないかな」

ちゅ、と唇を合わせた。


ゼブラさんは、目を見開いた後・・・、何かに急かされるように、離れかけた私の唇を追いかけた。





どれくらいキスをしていただろう。
唇を合わせるだけのキスだけど、ゼブラさんは止まらない。
時折歯がぶつかるけど、そんなこと気にせずにずっとずっとキスを続ける。

私の方が先にギブアップしてしまったけど、流石竜人。
右手で私の頭の後ろに手を回して、左手で私の腰を支えながら、ベッドに押し倒された。

ずれ落ちそうな上着をかけなおしてくれて、やっぱり紳士だなあとぼんやりと思っていたら、ゼブラさんは両手を私の指と絡める。

「ミーア・・・」

ぽつりと私の名前を呟いて、またキスをする。

力が入らない私はされるがままで、唇がしびれるまで、ずっとキスは続いた。






「ミーア・・・。明日、ミーアのご両親に謝罪に行く」

たくさんのキスをし終えて、ゼブラさんはまるで事後のように、ベッドの中で私を抱きしめた。
抱きしめるのも慣れてくれたようで何よりだ。
かなり強引だったけど、キスを強請ってよかった。

って、待って。
今、変なこと言わなかった?

「ミーアに手を出してしまった・・・。清い関係のまま、結婚まで行くべきだったのに・・・許して同棲継続を認めてもらえるまで、何度だって謝罪する・・・」



「・・・ゼブラさん。竜人って、子どもを産む時って人間と同じ方法をとるよね?」

「な!?」


ミーアの口からそんな言葉を聞くなんて!?と、信じられないという表情をするゼブラさん。
悪かったね。お淑やかじゃなくて。
お淑やか貫いていたら、いつまで経っても結婚できないでしょ。

「それは、そ・・・、そうだが・・・」

布団の中に顔をうずめて、ゼブラさんは「もごもご」と言葉を濁した。
言っとくけど、恥ずかしいのは私もだからね!

「両親に挨拶に行ってくれるなら、最後まで手を出してからにしてね」











その後、ゼブラさんはキャパオーバーしたのか、ベットの上で意識を失い・・・

幸か不幸か、ゼブラさんの寝不足は解消された。



そして・・・、翌朝目が覚めた時、隣で寝ている私(そのまま一緒に寝た)に驚き、土下座と共に私の両親に挨拶してくると城を出ようとするゼブラさんと、また揉めた。

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