古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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short mission 2 採集師は苦労とともに

ゲットだ、レア材料!

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Side-ラグ 1

「わあ、綺麗な夕焼け…!」
 薬草摘みとメモ書きに夢中になっていて、気がつけば空は暗くなりかけておりました。外に出てお仕事してる時にこんな綺麗な夕焼けが見えるなんて、ちょっぴり得した気分です。

 まさか、こんなタイミングでいいお仕事がもらえるなんて、思ってもみませんでしたわ!
 薬学については前々から興味がありまして、時々ラスファさんから調合や薬草のことを教えてもらっていました。今回の依頼人の採集師さんの意見もたくさん聞けて、いいレポートが書けそうです!

「ラグちゃん、メモ書きすごい量だね。期日までにまとめられる?」
 分厚くなったメモ書きを見て、アーシェさんが心配そうにしています。確かに、気がついたらこんなに分厚くまとめづらくなっています。そっとしまいながら、わたくしは頷きました。
「う…なんとかいたしますわ。…自信はありませんが…」
「ほんと熱心だよね。薬学って面白い?」
「ええ、とっても! アーシェさんはどうですの?」
「あたしはあんまり。細かいの苦手だし、向いてないと思う。あたし召喚術のが好き」
「そうですか…」

 でも今回は、本当に勉強になりますわ。採集師さんも面白くて、神殿で授業してもらってもいいかもしれません! ちょっとだけ期待しながら聞いてみましょう。
「あの…一度知識神の神殿で、薬学や採集について授業をしてもらうわけにはいきませんか? 皆さんもいい機会になると思うんですが…」
そのわたくしの申し出に、オーエンさんは目を輝かせました。

「おお、なんと素晴らしいご提案! 是非とも吾輩、馳せ参じましょうとも!」
「ありがとうございます! そうして頂けると嬉しいです!」
 そんなやりとりの後で、次の場所に到着しました。ここで野営をするようです。
「道すがら薪になりそうな枝は拾っておいた。焚き付けの枯れ草を集めてくれ」
 デュエルさんの号令で、それぞれ自然と動き出します。わたくしもこういうのは結構好きなんですよ。

 さっきの狼さんのお肉を煮込んだシチューで夕食を済ませると、今度は交代で見張りしながら休みます。
「いやあ、先ほどのシチューは素晴らしかった! 吾輩、少々食べ過ぎてしまいましたぞ!」
 焚き火を囲みながらオーエンさんは上機嫌です。
「うちの料理長ラスファさんは腕がいいですからね」
「全くですな! これは後々、白銀亭の常連にならなくては!」
 後片付けも終わり、皆さんは思い思いに過ごしていました。武器の手入れや寝る準備など、することは多いですから。アーシェさんとわたくしは、昼間にメモを取った事柄の整理です。オーエンさんはそれにおつきあいしてくださいました。

「確か、狼の肝は滋養強壮で…。クマの肝が、消化不良に効くんだっけ。どっちも市場に出回りにくい分、高価になりがちっと。あと…」
 アーシェさんと共同レポートということにして二人でまとめると、格段に効率が良くなりました。

「そういえば、採集師として手に入れるのが難しいものって何があるの?」
 アーシェさんは、手を休めるとポツリと素朴な疑問を呟きました。オーエンさんは少し考え込むと、厳かに言います。
「ふむ…吾輩もまだ手に入れたことのない秘薬がありましてな。市場にはまず上ることはなく、幻とさえ言われております。入手するにはまず武力と根気、そして運が必要とされる代物でしてな…」
「何か退治しなきゃダメってこと?」
 アーシェさんの言葉にオーエンさんは頷きます。
「その通りです。それはもう大変なもので、見つけたら業界ではかなり大きい顔ができます」
「そこまで!?」
「そうですとも! その代わり作れる薬は万能薬とも言われる代物で…」
 そんな話をしながら、夜が更けていきました。


 翌朝。
また今日も採集頑張ります!
 オーエンさんの言うカナン草は、十分な量を摘めました。続いては…。
「さあ、今日も頼みますよ!」
「マジかよ…」
 目の前には二足で立ってこちらを威嚇する大きな熊さんが両手を振り上げています…。
「あはは…今度はクマの肝がゲットできるね…」
「現実逃避はやめろ…」

 ほ…本当に頑張りましょう…。
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