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Intermission 5 田舎大将、出陣!
田舎大将、新生活!
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side-ドラン 8
あれから。
おらはそのまま冒険者の宿屋『白銀の戦斧亭』に行くなり、その場でスカウトされちまった。そこの女将さんの猛プッシュがあったもんで…どっかで見ていただかな?
おらは思わず頬をつねった。あ、痛ぇ夢じゃねぇ。
「あんたさえ良ければ、なんだけどね?」
にこやかに問う女将さん。うん、良い人そうだしここで大丈夫そうだな。
もちろん返事は一択しかねぇ。そもそも冒険者になろうと思ったきっかけも、オラクル祭を境に小鬼が激減して平和になったこともあるからな。そのことを伝えたら、そこの宿屋の冒険者連中がみんな目を逸らして黙っちまった。ん…なんかあっただか?
村じゃ元々狩りや木こり、あと革や毛皮をなめして加工するのを主な生業として細々と暮らしてた。ゴブリン退治は副業だったんだ。だけども急にそっちの仕事が減っちまって、正直苦しかったってのも本音だ。
「うちの規模は中堅だけど、部屋も多いから空いてるし。これも何かの縁じゃないかね?」
うん、そうだな。これも何かの縁、今さら他の宿に行く気もねぇ。
ただ…おらは一つだけ条件をつけた。激減したといっても村の近くにいるゴブリンだってやたらめったら繁殖力があるんだし、そのうちまた数が増える。もしおらがいねぇ間に増えて暴れ出したら、かなり心配なことになる。だからそん時ゃ、優先的におらの村に救援に行かせてくれるとありがてぇ。そう言ったら女将さんは大きく頷いてくれた。
おらはその日のうちに、冒険者の登録を済ませた。いやあ、まさかあの時一緒に戦ったみんなが、同じ宿屋で同じパーティだとは思わなかっただよ。それまでにおらたちは簡単に自己紹介は済ませてた。みんないいヤツだべ! たまに冒険に組ませて貰うだよ!
歴戦の戦士然とした大男は、デュエル。同じ戦士ってこともあってか、すぐに意気投合した。
最初にこの街の不文律を教えてくれた金髪が、アーチ。今度ナンパ行くか? と誘われただよ。
薬湯をくれた銀髪の弓使いは、ラスファ。なんとエルフ族の出身だってよ! おら初めて見ただ!
可愛い神官娘は、ラグ。将来は教師を目指してるそうだ。これから仲良くして欲しいだ~♪
魔法で蜂を眠らせて回ってたのが、ハーフエルフのアーシェ。ラスファの妹だってよ、びっくりだ。
いきなりおらに開けた進路を他所に、リドの奴はずっと隅っこで動かんかった。声をかけても動きたがらねぇ。…よく見りゃ、仔犬みてぇに小さく震えてるだ。あぁ…怖かっただか、よしよし。
考えてみりゃ当然か。今までおおむね平和な村で村長の威光のもと、セコい悪さに精出してた悪ガキだったんだし、いきなりガチ戦闘を目の当たりにしちまった挙句に毒でやられちゃな。
「帰る…帰る…さっさと帰る…。こんなとんでもねぇとこ、もう嫌だ…! 街中に魔物が出るって何なんだよ…」
ゴブリン退治はよく村の若い衆が数人ついて来てくれていたが、こいつは何だかんだ理由をつけて来たがらなかった。
要は、単なるカッコつけたがりの臆病者だったってことだ。
仕方あんめえ、こいつは単独で帰らせるだ。
宿屋と登録は上手くいった。あとは…。
「通常の生業はどうするか、だな」
デュエルが考え込む。いくら冒険者として軌道に乗った者でも、それだけでは食ってけねぇだもんなぁ。世の中そんな甘くねぇ。デュエルは運河で荷運び、ラスファはこの店で料理人だそうだ。
「木こりや皮なめしが本業って言ってたよな、確か。それなら、良いところがある」
デュエルはおらを職人街に案内してくれた。着いたのはドワーフ族の鍛治職人のところだった。なるほど、武器や防具に使う分なら確かになめし皮の需要はありそうだ!
紹介してもらったガルドさんは、豪快で陽気な妙に親近感ある人だ。おらの曾祖父がドワーフなせいか? そんな鍛冶屋のおやっさんの所になめした革を下ろす契約もして、おらの冒険者生活が始まった!
あとは…うるさいリドにキテレツな土産物やスイーツをいくらか持たせると、乗り合い馬車に押し込んだ。砂埃を上げて走り去って行く馬車からは「二度と来るか、バカヤロー!」ってな悲鳴がこだましたそうだ。おらシラネ。
おざなりにハンカチを振るおらの肩に、アーチの手が置かれる。
「ま、仲良くやっていこうじゃねぇか。お互い女将に騙された者同士、な」
…は?
「いやー、あの女将はああ見えて商魂たくましいぜ。ちょっとばかし苦労するかもだが、まあ頑張れよ!」
その苦笑を含んだ言葉をおらは呆然と聞いた。あんな優しそうな女将さんが?!
一体どうなる、おらの都会暮らしー!!!
…余談。
村に強制送還されたリドは、あれ以来すっかりおとなしくなっちまっただと。建物から出てきた巨大蜂やガチ戦闘が、相当なトラウマになったのかね?
ちょいちょい都会に行きたがった彼も、田舎暮らしに充実を感じてるそうで、クワを手にして働いているそうだ。人間、変わりゃ変わるもんだ…。
んだな、確かに都会は恐ろしいとこだ。
今現在、おらは絶賛実感中だからな!!
あれから。
おらはそのまま冒険者の宿屋『白銀の戦斧亭』に行くなり、その場でスカウトされちまった。そこの女将さんの猛プッシュがあったもんで…どっかで見ていただかな?
おらは思わず頬をつねった。あ、痛ぇ夢じゃねぇ。
「あんたさえ良ければ、なんだけどね?」
にこやかに問う女将さん。うん、良い人そうだしここで大丈夫そうだな。
もちろん返事は一択しかねぇ。そもそも冒険者になろうと思ったきっかけも、オラクル祭を境に小鬼が激減して平和になったこともあるからな。そのことを伝えたら、そこの宿屋の冒険者連中がみんな目を逸らして黙っちまった。ん…なんかあっただか?
村じゃ元々狩りや木こり、あと革や毛皮をなめして加工するのを主な生業として細々と暮らしてた。ゴブリン退治は副業だったんだ。だけども急にそっちの仕事が減っちまって、正直苦しかったってのも本音だ。
「うちの規模は中堅だけど、部屋も多いから空いてるし。これも何かの縁じゃないかね?」
うん、そうだな。これも何かの縁、今さら他の宿に行く気もねぇ。
ただ…おらは一つだけ条件をつけた。激減したといっても村の近くにいるゴブリンだってやたらめったら繁殖力があるんだし、そのうちまた数が増える。もしおらがいねぇ間に増えて暴れ出したら、かなり心配なことになる。だからそん時ゃ、優先的におらの村に救援に行かせてくれるとありがてぇ。そう言ったら女将さんは大きく頷いてくれた。
おらはその日のうちに、冒険者の登録を済ませた。いやあ、まさかあの時一緒に戦ったみんなが、同じ宿屋で同じパーティだとは思わなかっただよ。それまでにおらたちは簡単に自己紹介は済ませてた。みんないいヤツだべ! たまに冒険に組ませて貰うだよ!
歴戦の戦士然とした大男は、デュエル。同じ戦士ってこともあってか、すぐに意気投合した。
最初にこの街の不文律を教えてくれた金髪が、アーチ。今度ナンパ行くか? と誘われただよ。
薬湯をくれた銀髪の弓使いは、ラスファ。なんとエルフ族の出身だってよ! おら初めて見ただ!
可愛い神官娘は、ラグ。将来は教師を目指してるそうだ。これから仲良くして欲しいだ~♪
魔法で蜂を眠らせて回ってたのが、ハーフエルフのアーシェ。ラスファの妹だってよ、びっくりだ。
いきなりおらに開けた進路を他所に、リドの奴はずっと隅っこで動かんかった。声をかけても動きたがらねぇ。…よく見りゃ、仔犬みてぇに小さく震えてるだ。あぁ…怖かっただか、よしよし。
考えてみりゃ当然か。今までおおむね平和な村で村長の威光のもと、セコい悪さに精出してた悪ガキだったんだし、いきなりガチ戦闘を目の当たりにしちまった挙句に毒でやられちゃな。
「帰る…帰る…さっさと帰る…。こんなとんでもねぇとこ、もう嫌だ…! 街中に魔物が出るって何なんだよ…」
ゴブリン退治はよく村の若い衆が数人ついて来てくれていたが、こいつは何だかんだ理由をつけて来たがらなかった。
要は、単なるカッコつけたがりの臆病者だったってことだ。
仕方あんめえ、こいつは単独で帰らせるだ。
宿屋と登録は上手くいった。あとは…。
「通常の生業はどうするか、だな」
デュエルが考え込む。いくら冒険者として軌道に乗った者でも、それだけでは食ってけねぇだもんなぁ。世の中そんな甘くねぇ。デュエルは運河で荷運び、ラスファはこの店で料理人だそうだ。
「木こりや皮なめしが本業って言ってたよな、確か。それなら、良いところがある」
デュエルはおらを職人街に案内してくれた。着いたのはドワーフ族の鍛治職人のところだった。なるほど、武器や防具に使う分なら確かになめし皮の需要はありそうだ!
紹介してもらったガルドさんは、豪快で陽気な妙に親近感ある人だ。おらの曾祖父がドワーフなせいか? そんな鍛冶屋のおやっさんの所になめした革を下ろす契約もして、おらの冒険者生活が始まった!
あとは…うるさいリドにキテレツな土産物やスイーツをいくらか持たせると、乗り合い馬車に押し込んだ。砂埃を上げて走り去って行く馬車からは「二度と来るか、バカヤロー!」ってな悲鳴がこだましたそうだ。おらシラネ。
おざなりにハンカチを振るおらの肩に、アーチの手が置かれる。
「ま、仲良くやっていこうじゃねぇか。お互い女将に騙された者同士、な」
…は?
「いやー、あの女将はああ見えて商魂たくましいぜ。ちょっとばかし苦労するかもだが、まあ頑張れよ!」
その苦笑を含んだ言葉をおらは呆然と聞いた。あんな優しそうな女将さんが?!
一体どうなる、おらの都会暮らしー!!!
…余談。
村に強制送還されたリドは、あれ以来すっかりおとなしくなっちまっただと。建物から出てきた巨大蜂やガチ戦闘が、相当なトラウマになったのかね?
ちょいちょい都会に行きたがった彼も、田舎暮らしに充実を感じてるそうで、クワを手にして働いているそうだ。人間、変わりゃ変わるもんだ…。
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