古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!

人探しもお仕事のうち!

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side-ラスファ 2

 熱気冷めやらぬ暑い空気の中で。 
 手始めに、近くの建物を『掃除』する事になった。周囲には犬獣人たちが目を光らせている。彼らからしてみれば『お手並み拝見』といったところだろうか?

 そういえば…。ふと疑問を持った。
「ところで…紹介状を預かっているが、兄の『ジョナサン』はどこに?」
 それを聞くと、ジョナサンの弟バスチアンはそっと俯く。表情はわかりづらいが、辛そうにしている。

「兄は…行方不明だ」
 絞り出すような声で、バスチアンは答える。穏やかではないな…。
「行方不明? まさか、事故にでもあったのか?」
 私の問いに彼は、静かにかぶりを振る。
「ある朝、急に姿を眩した。書き置き一つ残さずに」
「失踪する理由に、心当たりは?」
 「ない…。この建国計画に誰よりも熱心に動いていたはずなのだが、ある時突然に消えてしまった」

 おかしい。ギルドから紹介状を預かるほどの者が、しかもこの大事な時期にいきなり失踪などするだろうか? 
「先に彼を探した方が良くはないか?」
「…そうはいかない。探しに行きたいのは山々だが、そうしてしまうと下の者に示しがつかない。この建国計画は、我々の悲願でもあるのだから」
 そう言いながら彼は、期待に満ちた周囲の面々を見回す。確かにこれでは言いづらいだろう。

 立場が上の者としては、確かにそれは正しい。だが…。
「少し待ってくれ」
 私はデュエルたちのもとに走った。


「行方不明?」
 話を聞いたデュエルが首をかしげる。
「心当たりも理由も思いつかないんでしょ? 何かあったって事だよね?」
「まさか、妨害を受けていたなんてことは?」
 アーシェとラグが、口々に疑問を口にする。
「わからない。だがこの大事な時期に姿を消す事自体が、不自然な事じゃないか?」
「ああ、嫌な予感しかしないな」
 デュエルが言うのは、明確な根拠がない事だ。だがこれは経験からくるもの。かと言って無視するには大きい。

 それでもこれから『掃除』に出るところだけに、抜けるには難しそうだ…。
「んじゃ、ちょっくらオレが行ってくるか?」
 そこに、珍しく茶々を入れずにいたアーチが口を挟む。何が嬉しいのか、嬉々としてといった風情でさらに言葉を紡ぐ。
「なに、ただの掃除なんてつまんねぇって思ってたとこよ! ついてくるか、弟子?」
「はい!」
 間髪入れずにラグが立ち上がる。続いてアーシェまでが手を挙げた。
「あ、待って! 気になるからあたしも行く! ここのお掃除、ちょっと任せるね兄貴! バスちんのお兄さん、見つけてくるから! あとこれ持ってて!」

 私やデュエルの答えを聞かずに、アーチはラグとアーシェを連れて行った…手馴れたものだ。
「…今回のメンバーは、こんなもんか?」
「…そうだな」
 それでも、アーシェは使い魔の一匹を連絡用に残して行った。ちゃっかりしたものだ。肩の上に乗っかった毛玉をつつくと、じゃれ付くようにして甘噛みされた。地味に痛い。

「さあ、とりあえず『掃除』か。行くぞ」
 愛用の槍を握り直すと、デュエルは歩き出した。その向こうには、多くの犬獣人たちが待っている。
「そうだな。さっさと綺麗にしてやろうか」
 言いながら私も、その背中を追う。バスチアンに事情の説明をするのは頭が痛いが、納得はしてくれるだろう。
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